【はじめての方へ】介護療養型医療施設(介護療養病床)とは
介護療養型医療施設とは、比較的重度の要介護者に対し、充実した医療処置とリハビリを提供する施設です。
医療法人が運営する施設で、看護師の人員配置が他の施設より手厚く、「インスリン注射」や「痰の吸引」、「経管栄養」などの医療処置に対応しています。
また、多床室もあることから比較的少ない費用負担で利用できます。「介護療養病床」とも呼ばれます。
介護療養型医療施設とは
介護療養型施設は、急性疾患からの回復期にある寝たきり患者を受け入れる施設です。
食事や排泄の介助などの介護サービスは提供されるものの、医療的ケアが中心であくまでも医療機関という位置付けです。
そのため、特別養護老人ホームのような終身制ではなく、心身の状態が改善してきた場合には、退所を求められることもあります。
特別養護老人ホームについて詳しく見る入居にかかる費用
介護療養型医療施設の費用は、初期費用の必要はなく、月額利用料が必要になります。
月額利用料は、居室の設備、世帯収入や課税状況によって差があるものの、おおよそ9万~17万円程度と介護老人保健施設よりも高めに設定されています。
※下記は目安となります
初期費用 | 月額費用 |
---|---|
必要なし | 9万~17万円 |
提供されるサービス
介護療養型医療施設で提供されるサービスは、医師による診療、医師や看護職員による医療的ケア、看護師、機能訓練指導員によるリハビリテーション、介護職員による介護などです。
痰の吸引、胃ろう、経鼻栄養、酸素吸入といった医学的管理下でのケアは充実している一方で、掃除や洗濯、買い物やレクリエーションといった生活援助系サービスはあまり提供されていません。
生活の援助 | 身体の介護 | 身体の機能回復 | 医療処置 |
---|---|---|---|
△ | ○ | ○ | ○ |
入所基準
介護療養型医療施設の入所対象者は、医学的管理が必要な要介護1以上の高齢者(65歳以上)という基本条件のほか、「感染症など治療の必要な疾患がない」などがあります。詳細は施設に問い合わせる必要があります。
また、65歳以下でも介護認定がある場合には入居の相談が可能です。
年齢 | 介護レベル | 認知症 | 共同生活 | 収入・資産 |
---|---|---|---|---|
65歳以上 | 要介護1~5 | 対応 | 必要 | 特に影響なし |
介護療養型医療施設のメリット・デメリット
メリット
- 医療ケアが充実している
- 機能訓練が充実している
- 利用料が比較的安い
- 入居一時金が必要ない
デメリット
- 入居難易度が高い
- 多床室が多い
- レクリエーションなどは少ない
介護療養型医療施設は医療ケアが充実していることが魅力ですが、その分需要があり、入居難易度が高いようです。
医療ケアを受けることができる施設にすぐに入居したい場合は、医療体制が充実した有料老人ホームもおすすめです。
看護・医療体制が充実した有料老人ホームを探す介護療養型医療施設の設備
介護療養型医療施設は、居室、浴室・トイレなどの共同設備、機能訓練室や診療室、食堂と共同リビングを兼用する共同生活室などで構成され、病院に併設されていることも珍しくありません。
入居者100人につき医師3人が常勤といった、医療機関としての色が強い介護療養型医療施設は、サービス提供の対象者により、重度の要介護者向けの「介護療養病床」、重度の認知症患者向けの「老人性認知症疾患療養病床」に分けられます。
居室は従来型の多床室が多く、居室の約5割が4人部屋となっています。
入所に必要な手続き
介護療養型医療施設の入所申し込みは、施設に行います。入居を希望する施設への申込書を記入し、窓口に提出します(複数の施設への申し込みも可能です)。
それを施設スタッフや医師、行政担当者などで構成される委員会が、「要介護度」「介護の必要性」「介護者の状況」「待機期間」「資産や収入額」などから、総合的に判断して、入所が決定されます。
入所難易度
厚生労働省は介護療養型医療施設を廃止する方針で、2012年から新設を認めなくなりました。
そのため、現状の介護療養型医療施設は、定員の9割以上が埋まっており、入所まで通常、数か月程度の期間を要すると言われています。
入居を希望する場合には、待機人数や待機期間などを各施設に確認し、可能であれば早めに複数施設に申込を行った方がよいでしょう。
医療ケアの手厚さを重視する場合は、民間企業が運営している有料老人ホームの中で、看護・医療体制が充実した施設を探すことも、選択肢のひとつです。
看護・医療体制が充実した有料老人ホームを探す 新設された「介護医療院」とは 看護・医療体制が充実した有料老人ホーム特集イラスト:安里 南美
この記事の制作者
監修者:森 裕司(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、障がい支援専門員)
株式会社HOPE 代表取締役
医療ソーシャルワーカーとして10年以上経験した後、介護支援専門員(ケアマネジャー)に転身。介護の相談援助をする傍ら、医療機関でのソーシャルワーカーの教育、医療・介護関連の執筆・監修者としても活動。近年は新規事業やコンテンツ開発のミーティングパートナーとして、企業の医療・介護系アドバイザーとしても活動中。