安心して下さい、大丈夫です。八重さんは、持ち家を売ることなく、生活ができるようになりました。この話は、私が公務員だった時の実話です。要支援2の八重さんは、言葉は悪いかもしれませんが、役所の他の窓口を「たらいまわし」になっていました。
私が最初にしたことは、泰三さんの障害者控除等対象者認定申請書を記入し、役所で障害者控除等対象者認定書を交付してもらうことです。83歳で要介護3は、障害者控除の対象ですから。
貯金が、底を尽きそう! その時、おばあちゃんは⁉
「公的な救済を受けるべき人が、必要な救済に辿りつけていない。そのための情報が、今の世の中には足りていない!」。そんな現実を何とかしようと、「賢約サポート事業」をスタートさせたのは、藪内祐子さんです。なぜ、藪内さんは、その事業を始めたのでしょうか?
――4コマを読むだけでドキドキしました。この、おばあちゃん、どうなったんですか?
安心して下さい、大丈夫です。八重さんは、持ち家を売ることなく、生活ができるようになりました。この話は、私が公務員だった時の実話です。要支援2の八重さんは、言葉は悪いかもしれませんが、役所の他の窓口を「たらいまわし」になっていました。
私が最初にしたことは、泰三さんの障害者控除等対象者認定申請書を記入し、役所で障害者控除等対象者認定書を交付してもらうことです。83歳で要介護3は、障害者控除の対象ですから。
――「障害者控除」……。そもそも、「控除」って、何ですか?
「控除」という言葉自体、聞き慣れませんよね。控除とは、「差し引く」という意味の日本語です。税金は、「税金を負担する能力に応じて課税をする」という基本理念にもとづいて徴収をされています。
たとえば、「医療費がかかった年は、確定申告をしたら払い過ぎた税金が戻ってくることがある」といった話を聞いたことがありませんか?あれは、「医療費をそんなに支払ったのであれば、税金を負担するのは厳しいですよね。軽減しましょう」と、医療費控除を受けた結果、税金が安くなったという話なんです。
――税金が安くなるんですか!
はい、そうです。所得控除は、全部で12種類あります。所得から、所得控除を受ければ受けるほど、税金をかける対象である「課税所得」は、小さくなります。
①社会保険料控除 ②小規模企業共済等掛金控除 ③生命保険料控除 ④寡婦、寡夫控除 ⑤勤労学生、障害者控除 ⑥配偶者控除 ⑦配偶者特別控除 ⑧扶養控除 ⑨基礎控除 ⑩雑損控除 ⑪医療費控除 ⑪寄付金控除
――所得控除って、何だかポイント集めみたいですね。
本当に(笑)。でも、所得控除には、どんな種類があるのか? といったことは、学校では教えてくれません。学校で教えてくれないから、「知らない」。「知らない」から、本来、受けられる控除を受けていない人は、たくさんいます。
現役世代や、生活に余力がある人は、まだ、いいのかもしれません。でも、八重さんみたいに、「本当に困っている人」が、「知らない」がゆえに困窮してしまうという現実は、何とかしないといけないと思うんです。
――そうなんですね…。
八重さんの場合、実は「税金が安くなる」ということが、話の本題ではありません。障害者控除のところに、話を戻しますね。
結論からお伝えすれば、泰三さんが障害者控除を受けたことにより、木村家は住民税非課税世帯となりました。
――非課税⁉反対に言えば、年金生活でも、税金って、支払うんですか?
はい、そうです。年金生活であっても、本人が健康で一定以上の所得があれば、段階的に減免措置はあるものの、税金は支払います。けれども、一定の要件を満たし、前年中の合計所得金額が125万円以下であれば住民税が非課税となるんです。
そして、ここが最大のポイントですが、非課税世帯は、税金がかからなくなることで、それに付随する様々な公的なサービスの軽減制度が利用できるんです。
――公的サービスの軽減制度‥‥‥。たとえば、どんなものがあるのでしょうか?
泰三さんの老健(介護老人保健施設)の費用ですが、毎月20万円の負担額が10万円になりました。木村家の年金収入は月額20万円ですから、毎月10万円が八重さんの生活費に充てられる計算になります。
――それは、すごく大きいですね!
老人世帯の場合、医療費も大きな支出になりがちです。この医療費も、非課税世帯には軽減制度があります。また自治体によっては水道代が安くなるなど、水道光熱費などの軽減制度がある場合もあります。こんなふうに非課税世帯となると、公的な救済を受けるべき人として、様々な救済制度があるんです。
――そんなに色々あるんですか?
はい、そうなんです。さらに、泰三さんの場合は6年前から要介護3の状態、つまり障害者控除が受けられたので、還付請求(確定申告)をすれば、税金も戻ってきます。税金の時効は5年なので、5年前まで遡って確定申告をしたので80万円戻ってきました。
介護保険料も非課税世帯は、軽減制度があります。余分に支払った保険料を、時効分の2年遡って還付請求をしたので、夫婦二人で15万円戻ってきました。
――全部で、どれくらいオトクになったんですか?
下記の図の通りです。ただ、ここでひとつ問題があるんです。お金を戻してもらうためには、還付請求(確定申告)の手続きが必要なんです。お子さんがいらっしゃれば、お子さんに還付請求手続きについての説明をします。けれども、身内がいない要支援2の八重さんが行う作業として、還付請求はハードルが高すぎると思いませんか?
――うわぁ‥‥!
公務員は、個人に奉仕はできません。私は、思わず次の日に休みをとって、一個人として、手続きに付き添いました。公務員として、それをしてはいけないのは重々、承知しています。けれども、「あのおばあちゃんは、どうなってしまうのだろう?」という気持ちで、いてもたってもいられなくなってしまって……。
八重さんは、私の名前を覚えていらっしゃらないだろうから、バレないだろうという気持ちもありました。けれども、八重さんは、市長に御礼の手紙を書かれたんです。上司から、「こんなことをするのは、お前しかいないだろう」と、怒られました(笑)。
私が賢約サポート(公的支出の適正化サポート)という事業を立ち上げたのは、この1件が理由のひとつにあったのは事実です。公務員という立場だと、思うようには動けない。「このままの状態であれば、本当に困っている人を救済できない」と、私は感じ、行動を起こすことにしました。
1)戻ってきたお金 総額 95万円
・所得税住民税の還付 80万円
・介護保険料の還付 15万円
2)毎月10万円の年金が自由に⇒生活費に充当
・泰三さんの老健(介護老人保健施設)自己負担金が
20万円から10万円に
1)税金は支払い能力に応じて徴収されるので非課税になることも
2)非課税世帯は、様々な公的サービスの軽減制度がある
3)軽減措置を受けるためには、諸手続きをする必要がある
【次回予告】
『父が負担をしていた祖母の老人ホーム代が、月10万円減った!――知っているか否かでは差が大きい公的制度』
公的な軽減制度を知っているのと、知らないのでは大きな差があります。その負を解消したいという想いで藪内さんが立ち上げた「賢約サポート」(公的支出の適正化サポートサービス)についてお話いただきます。
税金、保険料、介護費、医療費などご不安な方は、一度ご相談ください。
▼賢約サポート相談窓口はコチラ
ウェブサイト「主婦er」運営。夫は長男、私は長女。「親の介護」が集中する(であろう)家庭の主婦です。双方の両親は、お陰様で「まだ」元気。仕事をしながら息子3人を育てている今、「介護」は脅威でしかありません(笑)。そんな私が、「知りたいこと」を記事にしていきます。
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