
昨今の物価高や地価上昇の影響もあり老人ホームの費用相場も変化している今、適正な費用感をつかむことは、老人ホーム探しの第一歩となります。
そこでLIFULL 介護では、関東・関西の主要都府県ごとの有料老人ホーム費用を調査し、2018年と2026年とを比較した相場変動について、LIFULL介護編集長 小菅秀樹による解説を交えて発表します。あわせて、老人ホーム探しにおいて費用面で後悔しないために押さえておくべきポイントについてもご紹介します。
【サマリー】
<関東エリア有料老人ホーム費用について>
<関西エリア有料老人ホーム費用について>
「LIFULL 介護」に掲載された東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県の1都3県の有料老人ホームの費用相場について2018年と2026年とで比較しました。

入居時費用については、東京都が720万円から1,001万円(+39.0%)と約300万円近く上昇しました。これは、神奈川県の716万2,500円(+13.7%)、千葉県の466万5,000円(+11.1%)と比較しても大幅な上昇であることがわかります。また、埼玉県は330万円で8年前と比較して変化が見られず、1都3県内での費用格差がますます広がっています。

一方で月額費用は、入居時費用の傾向とは異なり、関東全域でコスト増の傾向がみられました。東京都が+14.7%で約4万円上昇し、29万7,820円と30万円に迫るほか、神奈川県が+19.1%(26万4,370円)、千葉県が+15.5%(21万9,500円)、埼玉県が+13.6%(22万0,894円)と、すべての都県で13%〜19%上昇しました。

このような東京都の老人ホーム費用の高騰の状況を受け、東京都内在住の入居希望者本人がどのエリアの老人ホームに問い合わせしているのかを集計したところ、東京都外の施設への問い合わせが全体の約4割を占める結果となりました。都内の費用高騰を受けて近郊エリアへの転出の動きが定着している様子が窺えます。
東京都の老人ホーム費用が上昇している背景には、地価や建築費の高騰があります。加えて月額費用には、食材費や光熱費だけでなく、介護職員に加え、事務や清掃スタッフなどを雇用する人件費も含まれており、幅広い運営コストの上昇が影響していることが考えられます。
一方、埼玉県の入居時費用が8年前とほぼ変わらなかった理由は、今回のデータだけでは断定できませんが、都内と比べて土地代を抑えやすいことや、入居金を低く設定する施設が一定数あることが一因として考えられます。
県境を越えることで、費用を抑えながら条件に合う施設が見つかることもあり、都内在住者の約4割が都外の施設へ問い合わせていることを踏まえると、東京都に限定せず、神奈川県・埼玉県・千葉県まで選択肢を広げる動きは、今後も続くとみています。
ただし、費用だけでなく、家族の通いやすさや、本人に必要な介護・医療体制まで確認してこそ、納得できる施設選びにつながります。
大阪府、京都府、兵庫県、奈良県の関西の主要2府2県の有料老人ホーム費用相場を2018年と2026年で比較しました。

入居時費用については、京都府が1,390万9,000円と2026年1月時点の都道府県別で最も高い相場となりました。また、大阪府が2018年時点では137万7,000円と比較的手頃な費用相場でしたが、2026年には506万3,000円となり、8年間で約3.7倍に跳ね上がりました。奈良県も31.7%上昇し1,034万円と1,000万円の大台に到達しています。

さらに月額費用では、関西全域で非常に高い上昇率を記録しています。
奈良県が2018年比で+40.3%(24万6,875円)、京都府が+34.8%(26万7,000円)、大阪府が+33.5%(24万6,880円)と、いずれも3割以上の大幅な値上げとなっています。兵庫県も27万5,725円(+19.4%)と、東京都を上回る上昇率となっています。
大阪府の入居時費用が8年間で約3.7倍となった背景には、地価や建築費、人件費の上昇だけでなく、高価格帯の新設ホームが増えたことも影響しているとみられます。さらに、入居時にまとまった費用を支払うことで月額負担を抑える料金プランが増え、相場を押し上げた可能性があります。
京都府は、その地形から京都市内を中心に建設可能な土地が限られるため、建築コストも高くなりやすい地域です。また、歴史や文化、自然を身近に感じられるいわばリゾートに近い京都ならではの住み替え需要があり、京都府内だけでなく、大阪府や兵庫県など関西圏の比較的資金に余裕のある層からも人気を集めています。こうした広域からの需要に応える高価格帯ホームの存在が、全国でも高い費用相場につながっていると考えられます。

老人ホームの費用を見る際は、パンフレットに記載された「月額費用」だけで判断しないことが大切です。介護保険の自己負担分や医療費、薬代、日用品費、理美容代、おむつ代、個別の生活支援費などが別途かかる場合があり、実際の支払額は記載額より高くなります。何が月額費用に含まれ、何が追加費用になるのかを、施設ごとに確認することが必要です。
また、「入居時費用0円プラン」は、初期費用を抑えられる一方で月額費用が高く設定されていることがあり、必ずしも総額で安いとは限りません。入居時費用の有無だけで比べず、3〜5年程度の入居期間を一つの目安に「総支払額」で比較することが重要です。
突然家族の介護が始まり、短期間で老人ホームを探さなければならない方も少なくありません。急ぐあまり、月額費用以外の細かな追加料金や退去要件、医療・介護状態が変化した際の対応まで確認できず、入居後のトラブルにつながるケースもあります。
だからこそ、親が元気なうちから費用の仕組みや希望条件を話し合っておくことが大切です。早めに情報を集めておけば、いざというときにも選択肢を狭めず、本人と家族が納得できる住まいを選びやすくなります。

【調査概要】
・有料老人ホーム費用相場
集計時期:
各年1月時点のLIFULL 介護費用相場ページにて掲載していたデータを引用
集計対象:
LIFULL 介護に掲載された介護付き、住宅型有料老人ホームが持つ、入居時費用ありの料金プラン
集計方法:
対象の料金プランデータから、中央値を算出して相場とする
・東京都内在住者の問い合わせ先について
2026年1月〜6月にLIFULL 介護にお問い合わせいただいた方のうち、東京都内在住のご本人による問い合せを集計し算出
※グラフは小数点第二位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります
※一部グラフは推移を分かりやすくするため、縦軸の目盛りを調整しております。

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