「お世辞抜きでここに入居できて最高に幸せ」―。都会型シニア住宅「クラ―チ溝の口」で酒を飲む

こんにちは。LIFULL 介護 編集長の小菅です!

老人ホームはいろんな制限があって暮らしにくい?いえいえ。今や老人ホームは、安心安全な環境の中で「自分らしい暮らしを叶える」ための選択肢の一つとなっています。

この連載では、“いくつになっても大好きなお酒を楽しめる”自由な空気の老人ホームに、LIFULL 介護 編集長の小菅秀樹が突撃訪問。今回は神奈川県川崎市にある「クラ―チ溝の口」にお邪魔し、遊び心満載な館内の共用施設と、ご入居者の仲良しご夫婦との楽しい宴の様子をお届けします!

<LIFULL介護 編集長・小菅秀樹>
ウィスキーの沼にハマり15年。訪ねた蒸留所は10ヶ所以上。好きな蒸留所は「ニッカ余市蒸留所」。バーでお酒を飲むときの雰囲気が好き。人生の大先輩であるご高齢者のお話を聴くのをいつも楽しみにしている。

小菅秀樹プロフィール

屋上から桜の名所を望める、緑に囲まれたホーム

東京・神奈川どちらの中心部にもアクセスしやすい、JR南武線「津田山駅」。大型商業施設や飲食店が集まる、にぎやかな「溝の口駅」から一駅とは思えないほど、のどかで落ち着いた雰囲気です。

ちょうど4月上旬とあって、美しい桜並木を愛でながら歩くこと4分。今回訪問する介護付き有料老人ホーム「クラ―チ溝の口」のエントランスにたどり着きました。

クラーチ溝の口の外観

「この辺りは緑が豊かで、近くに桜の名所もあるんです。先日は『春の宴』と称して、ご入居者の皆さんと屋上でお花見イベントをしたんですよ」

そう話すのは支配人の高橋憲一郎さん。その楽し気な語り口から「クラ―チ溝の口」の活気ある暮らしぶりが伝わってきます。

大人の遊び心と好奇心を満たすスペースが満載

「まずは館内をご案内しましょう」と、高橋さんのガイドのもと訪れたのは、エントランスに隣接する「図書室」。小説や実用書、エッセイなどの蔵書がズラリと並び、大人の知的好奇心がかき立てられます。

この場でくつろぎながら気になる本を手に取ったり、貸出帳に記載すれば自室に持ち込んだりもできるそう。本好きの方にはたまらないスペースです。

図書室。ご入居者のリクエストで読みたい本を並べてくれることも

次に向かったのは、アート好きの好奇心を満たしてくれる「アトリエ」です。デッサンや水彩画などの作品づくりを楽しめるほか、本格的な陶芸体験もできるそう。なんと陶芸窯まで完備されているというから驚きです。

アトリエではデッサンや絵手紙、陶芸教室などさまざまな教室が開かれる

「とっておきの場所をご紹介しましょう」と高橋さんが連れて行ってくれたのが、この4月にオープンしたばかりの「eスポーツラウンジ」。最新のゴルフシミュレーターで、コースさながらのプレーができるというのです。

炎天下のゴルフ場に行かずともコースを回れるからシニアにも優しい

ほかにも、麻雀ルームにシアタールーム、カラオケルーム、水中エクササイズができる運動浴プールと、回り切れないほどの設備が満載。まるでアミューズメントパークのようなワクワク感があります。

「ダンスや剣術、絵画、カラオケなどのサークルや教室活動が20種類以上もあり、基本ご入居者の自主運営で行われています。もちろん参加は自由なので、皆さん思い思いにクラ―チでの生活を楽しまれていますね」(高橋さん)

麻雀ルームではマダムたちが和気あいあいとゲームを繰り広げていました

介護が必要になっても変わらない暮らしを

趣味や運動設備の充実度に驚くばかりですが、暮らしの面はどうでしょうか。モデルルームを見せてもらうと、明るく開放的なリビングダイニングが目に飛び込みました。リビング、寝室、洗面所ともに広々としていて、夫婦2人でもゆったりと過ごせそうです。

「介護が必要になった場合でも、『介護棟』など別の棟に移ることなく、引き続き同じ部屋でお暮しいただけます。その点も皆さんから好評を得ているポイントかもしれません」(高橋さん)

お風呂、トイレ、リビング、寝室の4カ所に緊急用のナースコールがついているので安心

ホーム内には「大浴場」もあり、早朝から朝風呂を楽しむ人も多いとか。老人ホームでは珍しい「露天風呂」も併設され、いつでも温泉気分に。これはかなり希少です。

お風呂は温泉と同等の効能がある「光明石」を使用。露天風呂で温泉気分に

続いて、ご入居者の皆さんが利用されるレストランへ。予約なしで食事がとれるので、その日の気分で利用できるのもうれしいポイント。メニューも豊富で、通常の食事のほか、おつまみやお酒もあるんだそう。

窓の外には季節の花々が楽しめるイングリッシュガーデンが

>「クラーチ溝の口」の料金プラン、アクセスなどを詳しく見る

ご入居者の「声にならない声」に寄り添う

レストランの奥に進むと、バーカウンターのあるキッチンラウンジが。スタッフの神田艶子さんが優しい笑顔で迎えてくれました。

スタッフの神田艶子さん。ナイトバーのイベント時でコック長を務める
小菅 秀樹
小菅

神田さん、そういえば受付でお仕事をされていましたよね? 先ほどと装いも雰囲気も違うのでびっくりしました(笑)

神田
神田

普段は受付で「コンシェルジュ」の仕事をしていまして、ナイトバーなどのイベント時に「コック長」としてお料理を提供しているんです。ちなみに、バーテンダーはお酒に詳しい支配人の高橋が務めているんですよ。

小菅 秀樹
小菅

スタッフの皆さん、多才なんですね。神田さんは調理のお仕事をされていたとか?

神田
神田

いえいえ。調理どころか、家事もほとんどしたことがなくて(笑)。料理が上手なナースがご入居者に美味しい料理を振舞っている姿を見て、「私も作ってみたい!」とチャレンジし始めたのがきっかけです。そこからいろんなレシピを試していくうちに、どんどん料理に目覚めていきました。

ご入居者の皆さんにも食べていただけるように、食品衛生の資格を取って、ナイトバーのイベント時などにお酒に合うおつまみや創作料理をお出ししています。

小菅 秀樹
小菅

いつもどんな料理を作られるんですか。

神田
神田

イベント時は“非日常”を演出するべく、ホーム内のレストランでは出ないようなイタリアンやメキシコ料理などを作ることが多いですね。栄養バランスや塩分は度外視の、素人が作る家庭の味を楽しんでいただいています(笑)

小菅 秀樹
小菅

それもまた喜ばれそうですね。神田さんは日々ご入居者と接するお仕事をされていますが、何か心がけていることはありますか。

神田
神田

ここでは季節のイベントも多いのですが、スタッフである私自身がまず楽しむことですね。やっぱりスタッフも一緒になって楽しまないと、ご入居者も心から楽しめないと思うんです。

もう一つは、ご本人が本当は何を思っているのか、心の内を慮ることでしょうか。お顔は笑っていても、内心はお辛い方もいらっしゃいます。そうした声にならない声に耳を澄ませ、寄り添えるようになりたいです。この仕事を始めて18年が経ちますが、まだまだ修行の日々です。

素敵なご夫婦と赤ワインで乾杯!

ここで本日お酒をご一緒してくださる、ご入居者のご夫婦がいらっしゃいました。お会いした瞬間、「素敵なご夫婦!」と思わず感嘆してしまうほど、華のあるお二人。まずは、支配人選りすぐりの赤ワインで乾杯です。

小菅 秀樹
小菅

このワイン、すごく美味しいですね! 飲みやすくて、早くも酔っ払ってしまいそうです(笑)。お二人はいつもどんなお酒を飲まれるんですか?

Mさん
Mさん

私はビールから始まって、ワインや焼酎、最後は定番のウイスキーで締めますね。ウイスキーの好きな銘柄は「グレンフィディック」。以前、スコットランドのウイスキー蒸留所を訪れた際に「グレンフィディック」に出会いまして、それ以来、虜になりました。

小菅 秀樹
小菅

グレンフィディックは世界で一番売れているスコッチのシングルモルトですね!僕もウイスキー大好きなので、本場の蒸留所で味わってみたいです。奥様はどんなお酒を?

Yさん
Yさん

私はワインが好きで、ついつい飲み過ぎてしまうので、普段はグラス2杯にとどめておくようにしています(笑)

小菅 秀樹
小菅

お酒は共通の趣味なんですね!ご夫妻は、こちらに入居されたのはいつ頃になりますか。

Mさん
Mさん

2019年ですね。実はそれまで7、8年ほどマレーシアで暮らしていたんです。本当は10年滞在するつもりだったんですけど、一年中暑い国にいるとやっぱり日本の四季が恋しくなって、少し早めに切り上げて帰国しました。

60代から理想の老人ホームをリサーチ

小菅 秀樹
小菅

「クラ―チ溝の口」は、どういうきっかけで入居されたのでしょう。

Yさん
Yさん

Yさん:マレーシア滞在中の2014年頃に、たまたま「クラ―チ溝の口」のホームページを見つけたんです。スタッフさんたちのブログに季節ごとの行事のレポートや入居者さんたちとの触れ合いの様子が書かれていて、とっても楽しそうなホームだなと。
何よりスタッフさんたちの温かみが伝わってきて、「私もいつかここで暮らしたい!」とファンになったんです。それから狙いを定めて、入居できる日を夢見ていました。

小菅 秀樹
小菅

だいぶ前から老人ホームへの入居を考えていらっしゃったんですね。

Yさん
Yさん

当時、ニュースで「2025年問題」について取り沙汰されていて、これから先、老人ホームに入るのはますます厳しくなるんだろうなと。早いうちから探しておけば、理想のホームに出会えると思い、60代からリサーチを始めました。

Mさん
Mさん

帰国時にこちらの施設を見学させてもらったんですけど、施設のハード面もスタッフさんの対応も想像以上に素晴らしくて。

帰りのシャトルバスで一緒になった入居者の男性に、「実際暮らしてみてどうですか?」と聞いたら、「こんないいところはなかなかないよ。入るんだったら早いほうがいいんじゃない?」と即答されたんです。年齢的にホームに入るにはちょっと早いかなと思いつつも、その一言で決心が固まりました。

小菅 秀樹
小菅

失礼ですけど、お二人のご年齢を伺っても?

Mさん
Mさん

私がもうすぐ78歳で、妻が71歳になります。施設の平均年齢は86歳なので、僕らはまだまだ若手です(笑)

小菅 秀樹
小菅

ホントにお若くてお元気なお二人!実際に暮らしてみて、いかがですか。

お世辞抜きでこのホームに入れて幸せ

Mさん
Mさん

楽になりました。食事を作るのが面倒なときはレストランに行けばいいし、お風呂も大浴場がありますからね。鍵一つで長旅にも出られるので、ますます旅行もしやすくなりました。

Yさん
Yさん

90代になっても毎日を謳歌している先輩方が多いので、人生のお手本が大勢いるのがうれしいですね。思っていた通り、スタッフさんたちの気遣いも素晴らしくて、お世辞抜きでここに入れて幸せだなとしみじみ感じています。

小菅 秀樹
小菅

なんだか僕まであったかい気持ちになりました。お二人はこれからやりたいことはありますか。

Mさん
Mさん

妻よりも先に逝くことかなぁ。

Yさん
Yさん

あなた、それは「やりたいこと」じゃないでしょ(笑)?

Mさん
Mさん

ああ、そうか。足腰が丈夫なうちに遠出したり、皆さんとゴルフや趣味の活動をしたり、とにかく生きているうちに遊び尽くしたいです。

Yさん
Yさん

私も同じかな。最近、ゴルフのシミュレーターが導入されたので、そこで練習して皆さんとコースを回りたいです。

それから、新しく入ったスタッフさんが成長する姿を見るのも楽しいので、応援していきたいですね。私も主人も、スタッフさんのことをこの施設をより良くしていく“仲間”だと思っているので、何でも協力したいと思っています。

小菅 秀樹
小菅

いやぁ、素敵です。最後に老人ホームへの入居を考えている方々にメッセージがありましたら。

Mさん
Mさん

いろんなタイプの施設があるので、自分が何を一番望んでいるのか、よく吟味した上でお決めになるのがいいのだろうなと。慌てて決めて入居したら、条件も雰囲気も合わなくて、結局退去せざるを得なくなった方も多いと聞きます。早いうちからいろんな施設を見学して、情報収集しておくのはおすすめです。

Yさん
Yさん

「最後に『本当にいい人生だった』と終われる場所はどこかな?」と考えたとき、「ここだったらきっと心地よく過ごせるだろう」と想像できる場所がいいと。見た目の豪華さだけじゃなく、自分が本当に居心地よく暮らせる空間を見極めることが大事かなと思うんです。

それを探すのはとっても難しいことだと思いますが、少なくとも私たちは、ベストの住まいに出会えた幸せを実感しています。

編集後記

「理想の老後」という言葉を耳にすることはありますが、実際にどんな風に過ごしたいかを具体的に考え、それを実現する人は意外と少ないかもしれません。

今回お話を伺ったYさん・Mさんご夫婦は、早い段階から計画を立て、最期まで安心して暮らせる住まいを元気なうちに選びました。入居当時Mさんはまだ60代。Yさんは友人から「老人ホームに入るのは早すぎるのでは?」と言われたこともあったそうです。しかし、早期の決断が功を奏し、現在は毎日晩酌を楽しむ一方で、複数のサークルで入居者同士の交流を深め、ときには都心へ遊びに出かけるなど、思い描いた日々を送っています。

老後の生活を考えることは「緊急ではないが重要」なこと。計画を立て、情報を集め、多くのホームを見学するには時間も体力も必要です。また老人ホームも多様化し、その選択も容易ではありません。「理想の老後」を実現するには、お元気なうちから少しずつ準備を進めることが望ましいですね。

(記事中のサービス内容や住宅に関する情報は2024年4月時点の情報です)

>「クラーチ溝の口」の料金プラン、アクセスなどを詳しく見る

伯耆原良子
伯耆原良子 インタビュアー、ライター、エッセイスト

日経ホーム出版社(現・日経BP社)にて編集記者を経験した後、2001年に独立。企業のトップから学者、職人、芸能人まで1500人以上に人生ストーリーをインタビュー。働く人の悩みに寄り添いたいと産業カウンセラーやコーチングの資格も取得。12年に渡る、両親の遠距離介護・看取りの経験もある。介護を終え、夫とふたりで、東京・熱海の2拠点ライフを実践中。自分らしい【生き方】と【死に方】を探求して発信。

Twitter@ryoko_monokakinotenote.com/life_essay 伯耆原良子さんの記事をもっとみる

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