老人ホーム運営会社に気になることを聞いてみた- あなぶきメディカルケア株式会社編

老人ホームはどのような運営がされているのか、実態について知らない方も多いのではないでしょうか? そこで、LIFULL 介護では2021年9月17日に、老人ホーム運営会社が登壇するウェビナーを開催しました。

運営会社の視点から見た「いい老人ホーム」とは?さらに虐待を防止するためのスタッフ教育や、入居後のトラブル事例など、気になっていてもなかなか聞けない話題をたっぷりお伺いしたウェビナーの中から、あなぶきメディカルケア株式会社のご担当者にお話しいただいた内容をレポートします。

あなぶきメディカルケア株式会社とは?

あなぶきメディカルケア株式会社は2009年に設立されました。本社は香川県にあり、西日本を中心に33の介護施設を運営している会社です。東証一部上場のあなぶきグループであり、関連会社では不動産関連事業や分譲・賃貸マンション管理なども展開しています。

運営施設の多くは「アルファリビングシリーズ」で、利便性高い立地と24時間の看護体制で自立度高い方からお看取りの方まで幅広く対応されております。また、スタッフの教育や採用に力を入れていることも特徴でして、誰でも見られるウェブ社内報「Yawaragi(やわらぎ)」を公開しており、アルファリビングでの日々が毎日更新されています。

答えてくださった方
あなぶきメディカルケア株式会社 リビング事業部エリアマネージャー 戎さん
あなぶきメディカルケア株式会社 リビング事業部エリアマネージャー 戎さん 現場の介護スタッフを経験したのち、現在は香川県の6つの施設を担当しているエリアマネージャー。祖父が重い難病となった経験も持ち、入居者やその家族に寄り添う仕事を心がけている。

Q1.運営会社視点で見る「いい老人ホーム」とはどんな所でしょうか? 見学での見極め方などを教えてください。

戎さん:見学前に希望条件の優先順位をしっかりとつけておくことが大事です。例えば、お看取りまで可能かどうかや、家族さまの面会時間、大好きなお酒をやめたくないなど、いろいろなご希望があると思います。つまり、ご入居を決めることがゴールではないということです。

「今なら割引しますよ」に惑わされるのは危険ですね。一生懸命につくりあげて運営している施設さまは自らの価値を理解しているので安売りはしませんし、入居を急かすこともありません。

私の考えるポイントを2つ、お伝えします。1つ目は、老人ホーム側からトラブルが起きた場合を想定した防衛線を張ってくる、また一方的な提案があった場合は危険だなと思います。ご入居者さまを中心としてご家族さまの思いをしっかりと聞き取って、それに対してさまざまな提案をしてくれる施設であれば、ご入居後も丁寧な提案をしてくれると思います。

2つ目は、見学時に老人ホーム側がすでにご入居されている方に配慮できているかどうかです。施設は見学を最優先にしがちですが、入居している方の歩行の妨げになっていないか、ご入居されているお部屋を配慮なく開けていないかなどを見てみてください。

この2点を意識すると、ご入居後も入って良かったと思える施設に出会えるのではないかと思います。

Q2.身体拘束や虐待防止の取り組みについて、職員への教育・指導はどんな風に行っていますか? 

あなぶきメディカルケアのスタッフ研修での1コマ。

戎さん:職員には一番大事なのは目的と意味だと伝えています。なぜ水分が大事なのか。なぜこのお薬を飲んでいらっしゃるのか。なぜ、お客さまがあなぶきの介護を選んでくださったのか。そして、職員があなぶきで介護の仕事をしている理由。そういった本質を考えることが大事です。

組織体制としてもトップダウンではなく、お客さまに一番近い職員の試行錯誤や対応力を大事にしています。身体拘束、虐待については、事例検討会や研修を継続して行っていますが、風通しを良くする環境づくりも大事にしています。

Q3.老人ホームに入居すると生活の自由度がなくなりそうなイメージがあります。実際はどうなんでしょうか?

戎さん:あなぶきの施設には、毎晩お酒を楽しんでいる方や仕事を継続されている方もいらっしゃいます。自由を大切にする一方で、最低限の入居者さまの安心・安全を優先して、集団生活をするための一定のルールは必要だと考えています。


見学の際には、漠然とした自由度よりも、自分らしさを維持できるかどうかを確認していただきたいと思います。認知症の症状が進んだり、目や耳が不自由になったりしても、ご本人さまを中心としたご家族さまの思いをしっかりと聞き取って、それに対してさまざまな提案をしてくれるかどうか。できること・できないことをはっきりとさせながら寄り添って話をしてくれるかどうか。自分らしく過ごすための提案や選択肢をたくさん出してくる施設がいいと考えています。

スイーツに舌鼓を打つ入居者のみなさま

Q4.入居後のトラブル事例を教えてください。 その対処方法は?

戎さん:トラブルを回避するためには日々のコミュニケーションが重要だと思っています。家族さま、ご本人さまと施設長などが話し合いを繰り返し、納得した上でご入居をすることが必要です。そして、施設での生活の中でどれくらい会話の時間があるか。ご家族さまがいらっしゃった時に、職員がご家族さまに近寄っていき、会話をする。そういったコミュニケーションをとる事で、ギャップを埋める事ができ、トラブル回避や軽減に繋げられると考えます。

Q5.コロナ禍で入居者家族との面会はどのように行なっていますか? 

戎さん:アルファリビングでは希望した入居者さま、職員ともにワクチン接種は完了しています。まずは入居者さまやご家族さま、職員を守ることが最優先です。その上で、何ができるかをしっかりと整理しています。事前に相談し、オンラインでの面会や対面面会を密にならない環境で行なっていますが、情報を得て、都度対応を見直しています。情報収集不足が不安を招き、過剰な制限をかけることにつながるので、情報をしっかり取るように努めています。

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