45歳からの新常識?「介護脱毛」のメリット、施術内容に迫る

おおっぴらに「私、やっています」と話す人は少ないけれど、着実に増加中という「介護脱毛」。一見遠そうな「介護」と「脱毛」ですが、それはどんなものでしょうか。介護脱毛を数多く手掛ける美容皮膚科『リゼクリニック』の新宿院院長・大地まさ代さんにお話しを伺いました。

今回のtayoriniなる人
大地まさ代さん
大地まさ代さん リゼクリニック新宿院院長。1988年に近畿大学医学部卒業後、近畿大学付属病院呼吸器・アレルギー内科学教室入局。大学付属病院および長岡赤十字病院等で呼吸器・アレルギー内科の診療に携わり、1993年予防医学・公衆衛生を志すため東京都へ入都。以降、特別区保健所保健予防課長、東京都福祉保健局情報解析担当部長、港区保健所長を歴任。2015年、美容皮膚科リゼクリニック新宿院院長に就任。

介護脱毛とは?希望者が増えている背景にある思い

――介護脱毛や終活脱毛という言葉を耳にするようになりました。どのようなものですか。

大地

将来、介護されることを想定してアンダーヘアの脱毛(VIO脱毛)をすることです。この行動をリゼクリニックは2017年に「介護脱毛」と命名しました。介護脱毛が増えている背景には、介護者の負担を少しでも軽くしたいという思いがあります。

――将来を見据えて脱毛をする人は、実際に増えているのでしょうか。

大地

当院の場合ですと、45歳以上の男女の患者さまの数は2010年から2019年にかけて23.91倍と急増していて、現在もその来院者数は増え続けています。

――すごい! この10年ほどで急増しているのですね。

大地

もちろん、すべての45歳以上の患者さまが介護を見据えて脱毛しているわけではありません。でも、介護を理由に脱毛される方の多くは45歳以上の方です。また、当院が行ったアンケート調査(40~50代女性対象、2019年8月実施)では、53.9%の女性が「介護脱毛をしたい」と回答していて、介護脱毛を希望する人は着実に増えていると思います。年代的に子育てが一段落したり、自分のために使う時間や金銭的な余裕ができたりといった要因もあると考えられます。

――40~50代は、親や家族の介護を経験する年代でもあります。

大地

そうですね。親の介護でオムツ交換や身体を拭く際にムダ毛があることで、身体の清潔を保つことが大変だったという方が多くいらっしゃいます。だからこそ、「自分が介護を受ける立場になった時には、介護者の手を煩わせたくない」と思われるのでしょう。

――排泄に関する介助には、どんな大変さがありますか。

大地

デリケートゾーンは、拭き取ったつもりでも毛の間や皮膚に排泄物が残りやすい部位で、炎症や感染症を引き起こすこともめずらしくありません。

――高齢で介護を必要としている状態だと、大きなリスクになりますね。

大地

免疫力が低下している場合も多いですし、オムツなどでは菌が増殖して感染症のリスクが高まります。そのため、介護者はより丁寧に清拭(せいしき)をする必要があるわけですが、ごしごし拭いて肌を傷つけてしまってはよくありません。脱毛をしておくことで、感染症や皮膚トラブルのリスク、オムツ交換の際の臭いを軽減することができるんです。介護脱毛は、介護される人、介護する人の双方に大きなメリットがあると思います。

介護脱毛の気になる施術の方法、いつから検討すべき?

――アンダーヘアの脱毛(VIO脱毛)は、具体的にはどのような施術になりますか。

大地

当院のようなクリニックで行う医療脱毛では、医療用のレーザー脱毛機を使用して脱毛します。医療用のレーザー脱毛機は、強いエネルギーで毛根組織を破壊しますから、少ない回数で脱毛することができるんですよ。医療脱毛は医師が、または医師の監督・指導のもと看護師が行いますから、脱毛時に何かしらの皮膚トラブルが起きてしまった場合でも、適切に対応することができます。

――どんな形に脱毛するか、選ぶことはできるものですか。

大地

アンダーヘアをすべてなくすこともできますし、毛量や形を調整することもできます。逆三角形、I型、無毛型などのデザインが選べて、なかでも逆三角形は、自然な印象であると同時に清潔感があります。温泉のような公共の場にも気兼ねなく行けるので、逆三角形は人気が高い形です。

――デリケートゾーンということで、痛みを伴うイメージがあるのですが……。

大地

痛みの感じ方は、照射部位や毛の密度、濃さなどで個人差があります。デリケートゾーンは痛みを感じやすい部位ですが、我慢できる程度の痛みです。また、施術を何回か行うと毛が薄くなってくるので、それとともに痛みが減っていく傾向にあります。

――それでも痛みが心配という人には、何か方法はありますか。

大地

例えば当院では、笑気ガス麻酔と麻酔クリーム、2タイプの麻酔を用意しています。より痛みを軽くしたいという場合や痛みに弱いという方は、クリニックで相談されると不安なく施術できると思います。

――とはいえ、自分がいつ介護されるようになるかはわかりませんよね。いつから考えればいいか、おすすめのタイミングなどはありますか?

大地

医療用のレーザー脱毛機は、毛の黒いメラニン色素に反応して発毛組織を破壊することで脱毛の効果を得ます。そのため、レーザーのターゲットとなるメラニン色素のない白髪は、十分な効果を得ることができません。脱毛するタイミングといいますか適齢期は特にありませんが、白髪が増える前の脱毛をおすすめします。

――すでに介護脱毛を経験された方からは、どのような感想が聞かれますか。

大地

お父さまの介護を経験した60代の女性の患者さまで、介護する人・される人の双方にメリットがあると実感して介護脱毛をされた方がいらっしゃいます。その方からは、「思いのほか快適で、もっと早くしておけば良かったと思うほどです」というお声をいただきました。

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元気なうちは、自分が介護を受けるときのことはなかなか想像しづらいものですが、介護脱毛は、将来に向けた準備の一つといえます。介護者の負担だけでなく、感染症などのリスクの軽減につながる介護脱毛。今後もその需要は高まっていきそうです。
 

酒井牧子
酒井牧子

新潟県生まれ。ライター、編集者。求人広告の制作会社、編集プロダクションなどを経て2003年よりフリー。会員誌、会社案内、環境報告書、社内報、学校案内、通販カタログ、企業Webサイトなどの制作に携わる。趣味は散歩。大通りから商店街、路地裏まで歩き、小さな発見を心の栄養にしています。

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