高齢の両親のために、僕が「実家のIT化」を目指してやったこと

飲み会の席で自虐的に「俺はもうおっさんだからな~」って言うと「まあ、そうッスよね」みたいなリアクションが返ってくるようになりました。こんにちは。ヨッピーです。38歳、完全無欠の、どこからどう見ても、純度100パーセントの、紛れもないおっさんです。

そんな完全無欠のおっさんになったことを象徴するのが、「自分以外の心配をするようになった」ということであります。

社会人になりたての頃は慣れない仕事に振り回されたりとか、会社から支給されたクレジットカードを機嫌よく使いまくり、莫大な請求金額を見て「不正利用されてる!」といきり立つも、明細をよく見ると全部身に覚えがあったり、「家主に家賃を支払うという仕組みは意味不明で完全なる搾取である。家主の財産を全部没収して資本家から権利を勝ち取らねばならない」とか革命思想にハマったりするわけですが、この年になってくると自分のことよりも仕事の後輩や家族、特に自分の親に対する心配ごとが増えるわけであります。

 4年前の2015年に、実家の前で父親と撮った1コマ。体格が違いすぎて本当に同じ遺伝子が流れているのかが疑わしくなる。

「親」という存在は、僕が若かりし頃には「ごめん、クレジットカードの請求がヤバいから5万円貸して」というお願いを聞いてくれたり、金欠で冷凍うどんともやしばっかり食べてるところに食料品が詰まった段ボールをドンと届けて命を救ってくれたり、いわば「僕を庇護してくれる存在」でありました。家庭環境が良くない人や両親との折り合いが悪い人など、もちろん例外はあるでしょうが、少なくとも僕にとって親というのはそういう存在であったわけです。

ところがこの年になると、むしろ「親を庇護しなくてはいけないのだな」という思考回路に変わっていきます。

僕の場合は、父親が定年後に老年期精神病と呼ばれる病気になってしまったことも要因として大きく、具体的な症状で言えば「幻聴が聞こえる」「不安を事実だと思い込んで行動に移してしまう」というようなものがあります。

夜中に急に「警察が逮捕しに来る!」と騒ぎ始め、腹を立てた父親が近所の警察署に「私、何も悪いことをしていないのに何で捕まえに来るんですか!」と怒鳴り込みに行ったりもしました。

父親は長らく教職に就いていたのですが、病気が分かったのは定年後の再雇用も終わり、本格的に仕事から離れた直後。やりがいを失ったことや、収入が減ることに対する不安からきたストレスが要因なのかもしれないと思っております。僕からしたら「言うてめっちゃ年金もらっとるやんけ!」って感じなんですけど。

息子の母校で、「息子が、インターネットで下品な記事を書くことを仕事にしている」という事実を知って机に突っ伏してしまう父親。この辺もストレスの要因になったのかもしれない。

そんなこんなで無事、自分の親が「庇護してくれる存在」から「庇護する存在」に格上げされたわけですが、僕は東京、両親は大阪と離れて暮らしているため、常に細かく面倒が見られるわけではありません。

そんな中で両親が今後さらに年齢を重ねていくにあたって、今のうちからできること、特にデジタルデバイスやインターネットを活用できることって実はけっこうあるんじゃないかと思っているので、その辺について今日は書きたいと思います!

高齢の親に、スマホやタブレットに慣れてもらう

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iPadで「パズドラ」にハマる母親。

僕は「両親のデジタルリテラシー向上」をもくろんで、4年ほど前に父親にはスマホ(iPhone SE)、母親にはiPadをプレゼントしました。同時に実家にネット回線を開通してWi-Fi環境も整えてあります。

高齢者こそ、デジタルデバイスを活用するべき

今はスマホに代表されるデジタルデバイス全盛期ですが、われわれの親世代となると「スマホ」や「インターネット」というものに拒否感を示す人が少なくありません。昔僕が会社を辞めた時、父親に「インターネットの仕事をする」って言ったら「お前もホリエモンみたいに逮捕されんのか」って言われましたからね。「インターネット=うさんくさいもの」的なイメージを持っている世代でもあります。

しかしながら、今後どんどん社会のIT化が進むにつれて「スマホが無いと不便」という場面は間違いなく増えていくでしょう。僕は以前から、日常に不便が多い高齢者こそ、デジタルデバイスやインターネットを活用するべきだと思っています。パッと思い付くだけでも、下記のようなたくさんのメリットがあるからです。

・調べものがすぐにできる
・仮に足腰が弱って外出しづらくなっても、ネットショッピングで買い物ができる
・LINEなどのメッセンジャーアプリで、離れて暮らす子供や孫ともテレビ電話ができる
・写真共有アプリなどを活用して、孫の成長をこまめに確認できる
・仮に認知症になって徘徊するようになっても、スマホを持ち歩くことが習慣になっていれば、家族が現在地を確認できる
・家事代行なんかもアプリで簡単に頼める
・好きな映画や音楽がいつでも見られる・聞ける

自分だって、仮に今事故に遭って下半身不随、寝たきりの状態になってしまったら、手元にスマホがあるのかないのかでQOLに圧倒的な差が出ることは簡単に想像できます。入院中なんかもそうですよね。入院中にスマホを取り上げられたら暇過ぎて発狂すると思う。

スマホでできることはもっともっと増えていくでしょうから、スマホが使える、使えないというのは、今後けっこう致命的な差となって現れるのではないかと思っています。

まずは「触る習慣」を。タブレットに慣れたらスマホへ

両親にスマホとタブレットを渡してどうなったか。結論から言うと、父親はスマホの電話機能とLINEくらいしか使っていない状態のまま病気になってしまったので、スマホの利便性を理解してもらうところまでいきませんでした。しかし冒頭の写真の通り、母親は「パズドラ」や「ツムツム」を機嫌よくやっており、そのうちYahoo!ニュースを毎日チェックしたり、検索サイトで調べものをしたり、なんとなくiPadを使えるようになりました。

大事なのは「触る習慣をつけること」だと思っています。母親は昔から「ぷよぷよ」や「テトリス」といったパズルゲームが好きでよくやっていので、「パズドラ」もハマるんじゃないかと思ってインストールして渡したのですが、それが功を奏したようです。なので、皆さんも両親にデジタルデバイスを渡すのであれば、何かしらの「触る習慣」をつけることを意識すると良いのではないかと思います。

スマホよりタブレットの方が画面も大きいので、高齢者にはまずタブレットに慣れてもらってからスマホに移行した方がスムーズかもしれません。いきなりスマホだと画面も文字も小さくて扱いづらそうなので。

靴に仕込むGPS端末とスマホで、父親の現在地を把握

以前に比べると薬のおかげでだいぶ落ち着いたとはいえ、今でも父親が突発的に家を出て行って母親が困ることがあるので、高齢者の位置情報を確認できる専用のGPS端末をゲットしました。

 こうなる前に父親自身がスマホを持ち歩く習慣さえできていれば、現在地なんてスマホの設定をしておけば簡単に調べられるのですが、残念ながらスマホに慣れる前に発症してしまいました。そんな父親でも使えるように、選んだのは靴に仕込むタイプのGPS端末です。これなら裸足で出て行かない限り、現在地を把握できる。

別売りの専用シューズの靴底に、GPS端末を仕込んで使います。

「いつも同じカバンを持って出る」「財布は絶対持って出る」とかならカバンや財布に仕込むタイプでも良いと思うのですが、僕の父親の場合は出かける時に持ち歩くものがいつも違うので、このタイプにしました。

 こんな感じでスマホ、タブレット、PCなんかで位置情報を調べられる。逆に言えばデジタルデバイスが使えないと、こういうのが利用できないのです。

ただし、靴を履いた人が屋内にいるときは、残念ながらそこまで精度が高くありませんでした。屋内だと数百mくらいの誤差が出ることもしばしばあったので、率直に言って「iPhoneを探す」みたいなスマホに付随している機能の方が精度が高いように思われます。とはいえ、あるのとないのとでは大違いなのでしばらく運用してみることにします。機器がもっと進化したら、そのうち精度も上がるでしょうし。

利用したのはこちらの「いまどこちゃん」というサービスで、月額利用料が1,800円(税別)。「高ぇな!」と思わなくもないのですが、今後こういうジャンルへの参入は増えるでしょうし、もうちょっと値段がこなれてくるかも。これを僕の靴底に仕込むと「あいつ、やたらと歌舞伎町に行ってるな」とかが全部バレます。

そして、父親の居場所をいつでも確認できるよう、iPadに慣れてきた母親にスマホを渡しました。母親の携帯電話はガラケーなんですが、そこから完全移行するのはちょっとリスクあるかな、と思うので慣れるまではガラケー・スマホの2台持ちで運用しようと思います。

別にゲームとかするわけじゃなく、出先で父親の居場所を調べる用っていうイメージなので、中古のiPhone 6sを2万円くらいでゲット。

 それをLINEモバイルの格安SIMで運用。通話はガラケーがあるので、データ通信とSMSができる月1GBのプランで月額620円(税別、2019年7月時点)! これくらいの金額ならあんまり気にならない。GPS端末がなくても、親がスマホを持ち歩く習慣さえつけてくれれば、スマホと格安SIMの組み合わせで現在地を調べることができます。

Amazon Echo Showで、スマートホーム化を目指す

「アレクサと母」フィンセント・ファン・ゴ◯ホ(2019年 油彩)

 あとは、スクリーン付きのスマートスピーカー「Amazon Echo Show」を、東京の自宅と大阪の実家の両方に導入しました。

「アレクサ 今日の天気教えて」とか言えば声で教えてくれるアレです。最近はGoogle Homeとかいろんなスマートホームデバイスがありますが、こういうふうに液晶画面がついてる方がとっつきやすいかと思ってこちらを買うことに。試しに「アレクサ お金をちょうだい」と言ったら「銀行と間違えてませんか?」って言われました。銀行だってお金はくれないと思う。

これについてはぶっちゃけ、僕自身がまだ全然使いこなせていません。母親に偉そうに教えるというところまでいけないのがアレですが、これもスマホと同じく「今後これでできることはどんどん増えるだろうから、今のうちに慣れておいた方がいいやろ理論」によって導入が決定。

気に入ったのが、液晶画面があって簡単にビデオ通話ができるところ。父親は病気になってから僕の様子をこまめに把握しないと不安がるようになって、過去には僕が事故で亡くなったと思い込んで電話してきたこともありました。いつでも顔を見て話せるようになれば、安心させられるかなと思っています。

ただし、テレビ電話するにしても事前に「おーい、今からかけるで~」みたいに連絡を入れてからかけているので、「まあ、LINEのビデオ通話でも別によくね?」みたいな感じではあります。子供が出来たりするとまた違うんだろうけど。

現時点では僕も使い始めたばかりで、天気予報を聞いたり音楽を流したり、「アレクサ、30分後に起こして」とか言ってアラームをセットして仕事中に仮眠する(アラームが鳴っても結局2度寝して担当編集にキレられる)くらいの使い方しかしていないのですが、もっと僕が使いこなせるようになれば、これで家電の操作もできるようにしたりして、実家をスマートホーム化しようと画策中です。

ちなみに東京の自宅では、僕が「アレクサ 癒しの音楽かけて」とか「アレクサ 山梨の天気教えて」とかやっているうちに、僕の奥さんが「ヨピクサ お茶を淹れて」とか「ヨピクサ タオルケット持ってきて」とか、僕のことをAIアシスタントと勘違いしてコキ使い始めるという事案が発生しました。

「実家をIT化するまでのプロセス」をおさらい

以上、「なんとか両親をIT化しよう」とあれこれやっているのですが、僕自身もまだ手探りの状態なので、「こういうサービスもええよ」とかあるならぜひ教えていただきたいところです。

ちなみにAmazon Echo Showの導入と同時に実家でもAmazonプライムに加入したのですが、無類の韓国ドラマ好きの母親が「えっ、これ全部見れるん!?」と言いながら喜々としてiPadで韓国ドラマを見まくっているので、IT化によって母親のQOLが上がっていることは間違いないかと思います。

そんなわけで参考までに、「実家をIT化するまでのプロセス」をあらためて書いておきます。

1.実家にネット回線を開通

高齢の両親だけで住んでる家だと、そもそもネットが通じてないことも多いかと思うので、まずはネット回線を通しましょう。うちの実家の場合、月額費用は3,000円~5,000円くらいです。

2.支払いがスムーズになるクレジットカードの契約

高齢者の場合、クレジットカードは持たず支払いは現金のみ、っていう人もいると思います。インターネットサービスの料金支払いなどはクレジットカードが無いとめっちゃ不便なので、1枚くらい作っておきましょう。

3.まずはタブレットを導入して、触る習慣を

両親に使ってもらって、「いきなりスマホ」はけっこうハードル高いな、と実感しました。まずは最初のステップとして、タブレットを渡した方がとっつきやすいかもしれません。タブレットを導入したら、テレビ電話をしたり写真を共有したり、ゲームでも株価情報でも読書でも何でもいいんですが、ご両親の趣味、習慣に合わせて「触る習慣」を作ってあげることが大事です。

4.タブレットに慣れたらスマホを導入

タブレットの操作に慣れたら、スマホを持ってもらっても良いかと思います。基本的な操作感はあんまり変わらないですし。あとは、Amazonの買い物にしろYouTubeの動画視聴にしろ、ブラウザのお気に入りとか検索から変遷するのはけっこう分かりづらいみたいなので、全部アプリをインストールしてあげるといいと思います。

この辺までやってあげて、徐々にIT機器に触れる習慣ができてくれば、ネットショッピングとか、スマホでできる便利なことをいろいろ教えてあげるといいんじゃないかと思います。自分でできることを増やしてあげれば、たぶん認知症の予防にもなるんじゃないかなと。

自分の両親がこれからも元気に楽しく暮らせるように、皆さんも「実家のIT化」を検討してみるといいんじゃないでしょうか。
 

編集/はてな編集部

ヨッピー
ヨッピー

大阪出身。「オモコロ」「トゥギャッチ」「ジモコロ」「SPOT(スポット)」など、さまざまなWebメディアで活躍中の無職。「Webでウケること」の第一人者として、たまに偉そうなことを言ったりもする。

ブログ:ヨッピーのブログTwitter@yoppymodel ヨッピーさんの記事をもっとみる

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