アダチさん、ご希望の予算で老人ホームを見つけることができてよかったですね。でも老人ホームって本当に価格が様々ですよね。同じ地域にも関わらず入居一時金が数十万円から数億円まで幅があります。月額費用も10数万円から50万円超の物件まで多種多様。
日々スーパーのチラシをチェックし、節約が得意なアダチさん。しかし、安いと思って選んだ父の老人ホームは思ったよりも高くて…
アダチさん、ご希望の予算で老人ホームを見つけることができてよかったですね。でも老人ホームって本当に価格が様々ですよね。同じ地域にも関わらず入居一時金が数十万円から数億円まで幅があります。月額費用も10数万円から50万円超の物件まで多種多様。
有料老人ホームになぜここまで価格差が生じるのか、詳しく解説しますね。その主な理由は次の5つです。
大手マンションデベロッパー各社は「ブランドマンション」を展開し高い人気を誇ります。これと同じように、有名な運営会社が手がける一部の老人ホームはブランド価値が高いとされ、それが料金に反映されます。
老人ホームのブランド価値とは、提供するサービスや施設の質、スタッフの質などの評価に加えて、施設の運営会社やその名称、評判によって生じる価値のことを指します。
以上のような複数の要素が料金に影響し、有料老人ホームの価格差が生じます。
様々な老人ホームの価格を見ていくと、高級価格と低価格の二極化が進んでいるなと感じます。
高価格帯と低価格帯、需要が二極化しているためですね。また、多様化する高齢者向け施設は増加の一途をたどり、施設間の「入居者獲得競争」も激化しています。一部の地域では高齢化のピークが過ぎ、少ない費用負担で入れる特養(特別養護老人ホーム)でさえ入居者確保に苦労しているくらいです。
この競争の中で、一部のホームは他と差別化を図るために、特定の価格帯やサービスレベルに特化することを選びます。これにより、一部の施設は高級路線に、一方の施設は低価格路線に特化していくことも二極化の進行理由です。
なるほど…。でも老人ホームは「高いほど良い」「安かろう悪かろう」ではないんですよね。
そう。老人ホームは「合うか・合わないか」相性の問題なので、複数の老人ホームを見比べて検討することが重要です。
アダチさんのお父様は、最初はオプションサービスが多いホームにお住まいでしたね。アダチさんご家族としては予算オーバーでしたが、こうしたホームが適した方もいらっしゃいます。
そうですね。有料老人ホームのオプションサービスとは、介護保険外の追加サービスのことで、ホームが独自に設定しています。都度料金は掛かりますが、入居者のニーズや希望に応じた個別サービスを受けられる利点があります。
下記は一例です。費用は老人ホームにより異なります。オプションサービスを用意していても、人員体制の関係で提供できない事もあるため確認が必要です。また、一般的に有料で提供するサービスを無料で提供しているホームもあります。
・買い物代行 500円/回
・入浴(週3回目以降) 1,500円/月
・協力外病院の送迎 2,000円/回
・オムツ廃棄料 1,000円/月
・寝具レンタル料 1,500円/月
・訪問理美容(カット) 3,000円/回
・その他 生活支援サービス 2,500円/30分
老人ホームの費用は、パンフレットやウェブサイトだけでは正確にわからないところが難しいですね…。
はい。老人ホームのパンフレットには「入居一時金」と「月額費用」が大きく表示されています。月額費用の主な内訳は①居住費(家賃)②管理費③食費で構成されています。この三つを合算して、「当ホームは月額費用20万円です」などと表記しています。
ここで多くの人は「20万円あれば収まるのか」と思ってしまいますが、決してそうではないんです。
この金額には肝心の「④介護保険自己負担分」が含まれていないからです。介護保険の自己負担分とは介護サービスを利用する費用のこと。要支援1、2。要介護1~5まで7段階あり、それぞれに概要する費用を支払います。また、介護保険は原則一割負担ですが、一定額以上の所得者は2~3割負担となります。
さらに、サービス加算、毎月の医療費、レクリエーション/サークル活動費など、利用した分が加算されるんですよね。だから、パンフレットに記載されている月額費用に+3~5万円程度は想定しておくことをオススメしています。
アダチさんのように、見学の際に入居される方と同じ介護度の方が大体いくら支払っているのか聞いてみると、より正確な費用が見積もれそうです。
アダチさんのお父様が入居しているホームには入居金の返還制度がありましたね!
はい。老人ホームの入居金には「償却期間」という独自の返還制度が設けられています。入居者が老人ホームに支払った入居金が、一定期間を経過するごとに順次償却され、その期間終了時点で返還額が0になる制度を指します。
例えば、5年間の償却期間が設けられている場合、入居から5年経過すると、原則として入居一時金の返還はされません。5年未満で退去または亡くなった場合、未償却分が家族に返還されます。ただし、その際には居室の修繕費用などが差し引かれるのが一般的です。
この償却期間、実は施設により異なるんですよね。償却期間「3~5年」が一般的ですが、自立者向けの老人ホームでは長期の居住期間を想定し「15~20年」という所も。
また、入居時に「初期償却」として、入居金の10~30%が施設に引かれます。残った金額が償却される仕組みです。ちなみに「初期償却」の制度は自治体によってない場合もあります。
ちなみにアダチさんのように安い老人ホームに住み替える方は多いんですか?
コロナによる不況、近年の物価高騰により、住み替えの話も珍しくはありません。
もしも検討する際は、以下のポイントをご確認ください。
住み替えにより本当に負担が減るのか。「パンフレットの金額が全て?費用の調べ方」でお伝えしたように、諸費用も含めてトータルでいくらかかるのか。ここをよく確認しましょう。「安くて空室があるから」と安易に飛びつかず、慎重に検討いただきたいと思います。
横浜市出身。主な著作として聖徳太子の伝説をギャグにした四コマ『かみびと太子!』、輪廻転生をテーマにしたBL『さつき待つ』など。コスメと飛鳥時代が好き。
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