「”いい老人ホーム”はありません」!? 伝説の老人ホーム入居相談員あらわる

舞台は、老人ホームを探しをお手伝いする「らいする老人ホーム紹介センター」。相談カウンターで、「老人ホームランキング」が掲載された雑誌を片手に声を荒げる男性がいます。そこへ現れたのはーー。

コラム

LIFULL 介護編集長の小菅です。漫画に出てくるノスゲさんとは名前がよく似ており、経験してきたことも似ていますが別人です(笑)。

このコラムでは、漫画の内容を詳しく解説していきますのでよろしくお願いします。

監修・コラム
小菅秀樹
小菅秀樹 老人ホーム、介護施設の入居相談員として1500件以上の入居相談に対応。入居相談コールセンターの管理者を経て現職。

「合う老人ホーム」を探すために把握しておきたい、入居対象者のこんな情報

入居相談の席では、多くの方が「いい老人ホームを紹介してほしい」と口にします。しかし、「いい老人ホームとは、具体的にどんなイメージですか」と返すと「ちゃんと介護をしてほしい」くらいしか出てきません。

どの老人ホームでも、生活に最低限必要な介護サービスは提供しています。単に「介護さえしてくれればいい」のであればすぐに見つかるはず。しかし、それだけだとミスマッチが生じる可能性があります。例えば、「比較的元気な状態で入居したら、介護度の高い入居者が多く、周囲と交流をもてずに寂しい思いをした」といったことです。

ミスマッチを回避するため、入居対象者の「介護度、持病、必要な医療行為」を必ず把握するとともに、性格や趣味嗜好も考慮に入れると良いでしょう。例えば、散歩が好きなら「散歩のために柔軟に個別対応してくれる施設」。カラオケが好きなら「趣味のカラオケが続けられる」、交流が好きなら「お元気な入居者が多く交流も盛んな施設」。認知症の症状でお困りの場合は「認知症ケアを得意としている施設」、医療面で安心を得たい場合は「クリニック併設で主治医が近くにいる施設」などが上げられます。

このように、納得できる老人ホーム選びには「合う老人ホームを見極める」ことが重要です。そのためには、入居対象者の身体状態や趣味嗜好の把握がポイントとなります。どんな生活を望むのかまずは書き出してみましょう。

老人ホーム入居を考える際に確認しておきたいこと

その他、老人ホームを探す前に明かにしておきたいことは次の3つです。

(1)入居の目的

(2)予算

(3)探すエリア

(1)入居の目的を明確にする

老人ホームは「長期入居」が一般的ですが、一か月未満の「短期入居」や、数か月から一年程度の「中期入居」というプランを用意するホームもあります。

そもそも何のために老人ホームに入るのか。家庭の事情で一時的に任せたいため短期入居を検討する人もいれば、退院後に介護が必要で自宅介護は考えず最初から長期入居を検討を進める人もいます。また、「特養の入居待ち」「退院後のリハビリ目的」「自宅のリフォームが終わるまで」などの理由で、数か月だけの中期利用を検討する方もいるでしょう。

入居期間や目的により選ぶ施設も異なります。まずはどれくらいの期間入居する予定なのか明確にしましょう。

(2)予算を明らかにする

毎月いくら支払えるのか明確にする必要があります。多くの入居者は年金と、預貯金を切り崩しながら支払っています。親の経済状況を把握できるとベストです。

予算から3〜5年住み続けられそうな資金計画が立てられる施設を探してみましょう。また、料金プランも複数あり入居の際に一時金が必要な場合と、月額費用のみの場合があり、施設により異なります。この点は資金計画に影響するので必ず確認してください。

(3)探すエリアを決める

どのエリアで老人ホームを探せばいいのかを決めておきましょう。多くの場合次の3つです。

  1. 本人がもともと住んでいた地域で探す
  2. 子どもの自宅付近に呼び寄せる
  3. 家族、親戚がアクセスしやすい中間地点

1.本人がもともと住んでいた地域で探す

入居する本人の希望で住み慣れた地域で探します。配偶者がいれば面会に行く頻度も高いことが予想され、自宅近くで探すことが現実的です。

2.子どもの自宅付近に呼び寄せる

子どもが遠方に住んでいる場合は、面会が一日がかりになる事もあります。その場合、実家ではなく子どもの自宅付近の老人ホームに呼び寄せることになります。

3.家族、親戚がアクセスしやすい中間地点

少数派になりますが、家族や親戚みんなが通いやすいように中間地点で探すこともあります。しかし、いざ入居すると面会頻度も人によってまちまちです。基本的に、契約書の「身元引受人」にサインをした人のアクセスを優先するケースが一般的です。

大まかなエリアが決まったら、「緑の多い住環境がいい」や「電車で30分圏内」「居室から海が見える施設」など、より細かい希望があれば書き出してみましょう。

そもそも介護度とは?

ノスゲさんが相談者に聞いていた「介護度」についても解説しておきましょう。

介護度とは、介護が必要なレベルを数値化したもので、「自立、要支援1・2、要介護1~5」までの8段階に分けられます。在宅介護、施設介護を問わず、保険適用で介護サービスを利用するには要支援・要介護認定が必要です。

要支援よりも要介護の方が、また数値が大きいほど介護の必要性が高い状態を示します。

要支援と認定された方は日常生活において、主に「掃除や買い物」など身の回りの支援が必要な状態です。一方の要介護と認定された方は、三大介助と呼ばれる「食事・入浴・排せつ」への介助が必要とされますので、これらを介護保険サービスとして受けられます。

要介護認定を受けるには、次の手順が必要です。

(1)本人または家族などが、役所の介護保険課または地域包括支援センターへ申請書を提出

(2)委託職員による訪問調査を受ける

(3)訪問調査結果と主治医意見書をもとにコンピュータによる一次判定を行う

(4)介護認定審査会による二次判定をもって要介護度が決定

(5)本人または家族のもとへ結果の通知(申請から概ね一か月程度)

要介護認定を受けるには、まず地域包括支援センターや、自治体の福祉課の窓口などに相談してみると良いでしょう。

マサまさる
マサまさる 漫画家

横浜市出身。主な著作として聖徳太子の伝説をギャグにした四コマ『かみびと太子!』、輪廻転生をテーマにしたBL『さつき待つ』など。コスメと飛鳥時代が好き。

Twitter@masa5masaru マサまさるさんの記事をもっとみる

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