高齢者の健康増進には外出習慣が重要である一方、地価が高いと高齢者の外出頻度が低い傾向があるとの新たな研究結果が明らかになりました。
この研究は、東京圏郊外の高齢者を対象に行われました。
高齢者の外出を促す居住環境の指標として地価に着目した点が新しいです。
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高齢者の健康増進には、外出習慣が重要とされています。
しかし、地価が高いと高齢者の外出頻度が低い傾向があるという新たな研究結果が明らかになりました。
本研究は、高齢者の外出を促す居住環境を把握するための指標として「地価」に着目し、高齢者の外出頻度と居住地の地価との関連を分析したもので、対象者は東京圏郊外(八王子市・横浜市・松戸市・柏市・船橋市)の 809 小地域に在住する 19,270 人の要介護認定を受けていない高齢者です。
本研究の目的は、高齢者の外出を促す居住地環境を把握するための指標として、「地価」の利用可能性を検証することにありました。
これまでの健康まちづくりにおいては、「ウォーカビリティ(徒歩での生活しやすさ)」を向上させる居住地環境をいかに創出するかということが議論の中心であり、「まちを歩く」という行為の前提にある「外出する」という行為について、「どのような居住地環境が高齢者の外出を促すのか?」という点は充分に議論されていなかったからです。
分析の結果、「地価が高い」ほど高齢者の外出頻度は低い傾向があり、「最寄り駅までの遠さ」と比較して 1.03 倍、「地価が高い」ほど外出頻度は低い傾向があることがわかりました。
これは、地価が高い地域では物価も高く、高齢者が外出を控える傾向があると考えられます。
上記の結果に基づくと、高齢者の外出頻度を促す居住地環境を把握するためには、「駅や繁華街との近さ」といったウォーカビリティとの関連だけでなく、地価も考慮することが重要と言えます。
また、「駅や繁華街から近いわけでもないが、地価は高い」といった地域では、他の地域に比べて閉じこもり傾向をもつ高齢者が存在する可能性が高いと考えられます。
東京大学と千葉大学の共同研究により、「地価の高さが高齢者の外出頻度を低下させる可能性」があることが明らかになりました。
「最寄り駅までの遠さ」が外出頻度を1.03倍低下させる一方で、「地価の高さ」も外出頻度の低下に影響を与える傾向にあることが示されています。
日本では、コロナウイルス感染症の流行に伴う外出自粛の影響で、フレイル状態の高齢者が増加しました。
高齢者の外出は、社会とのつながりを維持し、身体的・精神的健康を保つ上でも不可欠であり、自立支援や生活の質(QOL)とも直結しています。
それらを踏まえ、高齢者が安全に外出できるよう支援することが重要といえます。
具体的には、公共交通機関のアクセス改善や、歩行者に優しい環境の整備など、外出機会を増やすための取り組みが求められています。
坂本 慧介(東京大学)地価が高いと高齢者の外出頻度が低い可能性 JAGES Press Release NO:400-23-32
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