高齢者のうつ病は、他の疾患のリスクを高め、介護が必要になる可能性を増大させると言われています。
そのため、うつ病の予防は、高齢者の健康維持にとって重要な課題です。
そんななか、東京都市大学人間科学部の早坂信哉教授が行った6年間の追跡調査が、高齢者のうつ病予防に浴槽入浴が有効であることを示しました。
その結果が、これからの高齢者の生活習慣に大きな影響を与えることでしょう。
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約3,200人の高齢者を対象にした今回の調査結果によると、週に7回以上浴槽に入る人は、週に0~6回しか入らない人に比べて、6年後のうつ病の発症リスクが0.76倍に低下することが分かりました。
特に冬の入浴回数による解析で有意差が見られたとのこと。
つまり、毎日湯船に浸かることで、高齢者のうつ病発症を予防する可能性があるというわけです。
なぜ浴槽入浴がうつ病予防に効果的なのでしょうか。
その理由として、浴槽入浴の温熱作用が自律神経のバランスを調整し、睡眠を改善することが挙げられます。
これらの作用により、浴槽入浴がうつ病予防に寄与すると考えられます。
今回の研究により、浴槽入浴がうつ病予防につながる可能性が初めて明らかになりました。
これは、浴槽入浴が高齢者の心身の健康維持にとって重要な生活習慣であることを示す証拠となります。
また、「気持ちが良い」「良く眠れる」といった入浴の短期的な効果だけでなく、長期的なうつ病予防効果も期待できることが示唆されました。
これからは、医療や保健、福祉関係者だけでなく、一般の高齢者にも、毎日の浴槽入浴の重要性を広く認識してもらうことが求められます。
「うつ病患者の7割以上に何らかの不眠症状が見られる」という報告があります。
高齢期に入ると心身の機能が徐々に衰え、健康上の問題が起こりやすくなるのが一般的です。
加齢に伴い活動量が減少し、睡眠を深めるホルモンの分泌も少なくなるため、良質な睡眠を得にくくなります。
このような状況が、高齢者のうつ病リスクを高める一因とされています。
以前、九州大学病院別府病院でおこなわれた調査結果に注目が集まりました。
その内容は「温泉の入浴習慣がある高齢者はうつ病になりにくい」というものです。
今回の東京都市大学の調査では、自宅での浴槽入浴も同様の効果をもたらすことを示しています。
浴槽に入ることで得られる温熱作用が、ストレスを軽減し質の高い睡眠を促す効果があるため、うつ病予防に役立つと考えられます。
温浴は単に身体を清潔に保つだけでなく、高齢者の心身の健康に重要な役割を果たします。
高齢により一人で入浴することが難しい場合は、介護サービスの「訪問入浴介護」や「デイサービスでの入浴」という方法もあるので、ぜひ温浴習慣を取り入れてみてください。
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