国立長寿医療研究センターの認知症先進医療開発センター分子基盤研究部のグループは、米国メイヨー・クリニックとの共同研究により、認知症の「肥満パラドックス(高齢期の肥満が認知症発症を防ぐ説)」はAPOE遺伝子で異なることを明らかにしました。
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高齢化社会の大きな課題でもある「認知症」。中でも、アルツハイマー病は、原因(アミロイドβ)に対する抗体治療薬が米国で承認されましたが、まだまだ予防・治療対策は十分ではありません。
一方、中年期の肥満が認知症の危険因子とされていながら、高齢期の肥満においては認知症の発症を防ぐ可能性が指摘されています。このような逆説的な現象を「肥満パラドックス」と呼びます。
アルツハイマー病になりにくい ↕ アルツハイマー病になりやすい |
E2多型 |
E3多型 | |
E4多型 |
アルツハイマー病の最大の遺伝子的な危険因子はAPOE遺伝子の遺伝子多型(ある遺伝子における個体差)です。上記表の通り、多くの人が持つE3多型を起点にE2多型はアルツハイマー病になりにくくし、E4多型はなりやすくします。しかし、これらAPOE遺伝子型と肥満パラドックスとの関係性については、これまで明らかにされていませんでした。
国立長寿医療研究センターの研究グループは、米国メイヨー・クリニックとの共同研究を実施。初調査時60歳以上の約2万人を対象に、BMIが30以上の人を肥満と定義し、認知機能の変化や認知症発症との関係性を解析しました。
その結果、肥満は初老期の認知機能の低下と正に相関し、特にE4多型を持っていない人、特にE2保因者で顕著であることが分かりました。一方で、肥満は認知症の発症とは負の相関があり、特にE4保因者で認められました。肥満が認知機能の低下を促進する一方で、病的な認知症の発症を抑制する「認知症における肥満パラドクス」がデータベース上で示唆され、その作用はAPOE遺伝子型で異なることがわかりました。
この研究により、分子レベルでのさらなる作用機序の解明や、治療薬開発に結びつけられるものと期待されています。
また、APOE遺伝子は検査でわかるものでもあります。検査の活用により、個々のリスク評価や予防策が講じられることで、認知症対策が大きく前進するとも考えられます。
国の推計によると、高齢者の4人に1人が認知症またはその予備軍とされており、今後も増加すると考えられています。そのような中、日本における認知症予防は「認知症にならないのではなく、認知症になるタイミングを遅らせる、なっても進行を遅らせる」という考え方のもと行われています。
今回のような研究成果により、ご自身のタイプにあわせた精度の高い認知症対策が講じられる期待感があります。
なお、認知症対策は早期発見・対策が重要と言われる背景に、認知症の前段階にあたる軽度認知障害(MCI)という状態の影響があります。この段階で対策を講じることで回復したり、進行を緩やかにできる可能性があると考えられています。まず、軽度認知障害(MCI)への理解から進めてみることもおすすめします。
軽度認知障害(MCI)
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国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「認知症における肥満パラドックスはAPOE遺伝子型で異なることを発見」
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