要介護認定業務をDX化！NTTデータ関西が提供する「介護認定支援アプリ」

株式会社NTTデータ関西は、2024年1月から全国の自治体へ「介護認定支援アプリ」の提供を開始しました。このアプリは、要介護認定における訪問調査から調査票作成までの一連の業務を効率化することを目指しています。訪問調査時の聞き取り内容の入力支援や、調査内容の整合性チェックをリアルタイムで行うことが可能で、調査員の作業や手戻りが軽減されます。また、オプションツールを導入することで既存システムを改修することなくデータ連携が可能となります。

調査員の業務負担軽減と調査内容の平準化を実現

このアプリを利用することで、一連の要介護認定業務を迅速かつ正確に行うことができ、調査員は本来の「人」と向き合う専門業務に時間を費やせるようになります。

また、アプリ内にある厚生労働省のマニュアルを参照したり、調査項目の記入不備や抜け漏れがあるとアラートが表示されて手戻りを防止したりする機能で、調査員の経験や技量の熟練度にかかわらず調査内容を平準化できます。

介護認定業務の現状と課題

介護保険制度が開始されてからおよそ20年で要支援・要介護認定者数は約3倍に増えています。一方で、2025年以降、現役世代が急減すると予測されており、介護認定業務に携わる一人当たりの業務量は増加することが予想されます。また、全国の市町村を対象にしたアンケートによると、介護認定調査時の記録方法は「紙に手書き」が90％以上と、依然として膨大な業務を手作業で行っていることが推察されます。これらの課題を解決すべく、「介護認定支援アプリ」の開発に至りました。

LIFULL 介護編集長 小菅のコメント

介護現場にデジタル技術を取り入れ、介護業務の効率化させて生産性を上げる取り組みが業界全体で進んでいます。2024年の介護保険制度の改正でも、業務のデジタル化はポイントとなっています。

2024年は、三年ごとに行われる介護報酬の改定年で、「介護現場の生産性向上」がテーマの一つとなっています。大都市圏では特に、高齢者数の急増に伴い、要介護認定に二か月以上を要するケースが増えており、早期サービス利用を希望する高齢者やその家族にとって深刻な問題です。

この一因として、要介護認定調査員の人手不足が指摘されています。介護ニーズの増加に、専門職の供給が追いついていない背景があります。この課題に対処するには、デジタルトランスフォーメーション（DX）の推進が欠かせません。今回の「介護認定支援アプリ」の活用で事務作業を簡素化し、高齢者の状況を効率的に把握することが期待されます。

一方、効率化を進めるうえで忘れてはならないのが、高齢者へのきめ細やかな配慮です。DX化により、より効率的な支援が実現する一方で、それは高齢者の尊厳を支えるための手段であることを忘れてはなりません。人手不足の中で多くの高齢者をどのように支援するか、DXの推進は今後の介護の質を大きく左右すると思われます。

情報出典元

株式会社ＮＴＴデータ関西　「介護認定支援アプリ」を2024年1月から提供開始　～要介護認定の訪問調査業務をDX化し、作業の効率化と調査内容の平準化を実現～

編集長プロフィール

小菅秀樹 LIFULL 介護編集長。老人ホーム、介護施設の入居相談員や入居相談コールセンターの管理者を経て現職に就任。「メディアの力で高齢期の常識を変える」をモットーに、さまざまなアプローチで介護関連の情報を発信しています。

https://kaigo.homes.co.jp/manual/editor/kosuge/