日本の人口が1億2000万人というのは、多くの方がご存じの情報です。日本に近しい人口を保有する国に目を向けると、メキシコ・エチオピアがあります。どちらも日本の3~5倍の国土を持っていることを考えると、日本は国土が狭い割に人口が大きく増加した国のひとつといえるでしょう。
ところが、近年日本の人口は少子化や超高齢化社会の影響で減少してきています。2050年には、日本の総人口が1億468万人となると推計されていることはご存じでしょうか。
この推計は国立社会保障・人口問題研究所が公表した、2050年までの「地域別将来推計人口」によるものです。2020年と比較すると、2146万人もの人口が減少することになります。
2020年時点の人口は外国人の増加を受けたため、2018年の前回推計よりも減少率は緩和されているものの、人口減少を食い止められるような増加率ではありません。
推計通り日本全体で、人口減少が起こることは明白です。そこで人口減少がどのように進んでいくのか、地域的な特徴はあるのか、都道府県全体・地域ブロック・各都道府県の視点で解説します。
都道府県全体で見ると2020年から2025年にかけて東京都を除く 46 道府県で総人口が減少し、2040年以降はすべての都道府県で人口が減少すると推計されています。
2020年から2050年の間で人口減少率の高い地域ブロックを見ると、東北(−1.2)、中部(−0.6)近畿(-0.7)、中国(−0.5)、四国(−0.4)となっています。
次に、各都道府県の人口減少にどのような差が見られるのかを紹介します。
下記は2020年~2050年の間で、人口減少率が高い都道府県を表したデータです。
「青森県」「岩手県」「高知県」「長崎県」「山形県」「徳島県」「福島県」「和歌山県」「山口県」「新潟県」は、総人口の減少は3割を超えると推計されています。
顕著な減少率を見せているのが、宮城以外の東北6県です。6県は人口減少率トップ10位以内にランクインしています。また、秋田県の人口は2020年から2050年までに4割程度減少と他県に比べて高い減少率と推計されています。
2020年から2050年までの間で人口増加の見込みがあるのは南関東のみとなっています。
なかでも東京都の人口は2020年の1,404万人から、2050年には1,439万人に増加すると見込まれています。東京都の人口はすでに2020年時点で全国の11.1%を占めていましたが、2050年には13.8%に上昇すると推計されており、東京一極集中の状態になることがわかります。
南関東の東京都を抜いた「神奈川県」「千葉県」「埼玉県」の3県は、2050年までの人口の減少率を10%未満に留めています。
しかし、一極集中状態の東京でも人口が増えるのは2040年まで、それ以降は減少に転じると推計されています。
現在、少子化が国の重要課題となっていますが、皮肉なことに、かつての日本は少子化を目指す政策を推進していました。戦後、人口増加を抑制するためにGHQによる指導が行われたり、1974年の第1回日本人口会議では「子どもは2人まで」という方針が打ち出されたりした事はよく知られています。そして、第二次ベビーブームの最後の年である1974年をピークに、出生率は減少し続け現在に至っています。
2025年には団塊の世代が75歳以上となる「2025年問題」に直面し、介護人材不足による「介護難民」が大きな問題と言われています。
今後、人口による地域格差が広がることで、介護サービスを受けるために移住や住み替えが必要となるかもしれません。これに対応するには、地域ごとに柔軟な介護サービスの提供体制を構築することが重要です。
また、介護人材の確保はもちろんですが、慢性的な人手不足は今後もつづくでしょう。少ない人員でより多くの要介護者に対応する技術革新も望まれます。
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