歯の数と嚥下機能がフレイル・サルコペニア予防にも影響！？

岡山大学の研究グループが、高齢者の栄養状態に影響を与える要素として、歯の数と嚥下機能の重要性を明らかにしました。この研究成果は、2023年10月17日にイギリスの学術雑誌「Gerodontology」に掲載され、世界中の研究者から注目を集めています。

歯の数と嚥下機能は栄養状態に強く影響する

加齢に伴って心身が虚弱になる「フレイル」や筋肉量や筋力が低下する「サルコペニア」は、高齢者の健康問題として注目されています。

低栄養は、フレイルやサルコペニアのリスクを高めると言われており、今回の研究により、歯の数が多く嚥下機能が良好な人は、2年後の栄養状態が良好であることが明らかになりました。これは、歯の数と嚥下機能が、栄養状態を維持する上で重要な要素であることを示しています。

フレイルやサルコペニア予防に期待

この研究結果は、フレイルやサルコペニアの予防にも期待がもてます。歯数や嚥下機能を維持し、良好な栄養状態を保つことで、これらの症状を予防できる可能性があるからです。

健康長寿社会への一助

この研究は、健康長寿社会を目指す日本において、健康寿命を延伸する一助となる可能性があります。歯の数と嚥下機能が、栄養状態だけでなく、全体的な健康状態にも影響を与えることがわかったことで、これらの要素を重視した健康管理がより重要となるでしょう。今後の研究により、より具体的な予防策や対策が明らかになることが期待されます。

LIFULL 介護編集長 小菅のコメント

みなさんは「8020（ハチマルニイマル）運動」をご存知でしょうか？これは30年以上前、平成元年に当時の厚生省と日本歯科医師会が提唱した取り組みで、「80歳になっても20本の自分の歯を維持しよう」という運動のことです。

実際に、80歳で歯が20本以上残っている人は、生活の質（QOL）を高く保ち、社会的な活動に対する意欲が維持されること、さらには、残っている歯の数が多いほど長寿であるという調査結果があるそうです。

実は、高齢者が要介護状態になる主な原因の一つに低栄養が挙げられます。特に、脳血管疾患、骨折や転倒、加齢による衰弱、認知症などは、高齢者の低栄養状態と密接に関連しています。健康寿命を延ばすためには、食事に関心をもつことが重要です。歯科の定期受診で口腔環境を整え、栄養豊富な食事を心がけながら、元気な身体を維持していきましょう。

情報出典元

国立大学法人岡山大学「＜プレスリリース＞【岡山大学】歯の数が多く、嚥下機能が良好だと、2年後の栄養状態が良好！フレイルやサルコペニア予防に期待」

編集長プロフィール

小菅秀樹 LIFULL 介護編集長。老人ホーム、介護施設の入居相談員や入居相談コールセンターの管理者を経て現職に就任。「メディアの力で高齢期の常識を変える」をモットーに、さまざまなアプローチで介護関連の情報を発信しています。

https://kaigo.homes.co.jp/manual/editor/kosuge/