かっこいいお年寄りから学ぶ、インターネット世代が「いい感じに老いる」ために必要な3つのこと

どうもこんにちは、しんざきと申します。最近はほぼリモートワーク生活を送っておりまして、基本的にはそれほど支障なく仕事ができているんですが、運動不足だけはちょっとどうにもならない感じでして、体力の衰えをひしひしと感じております。40kgの亀の甲羅とか背負って生活した方がいいでしょうか。

というのは実は漫画「ドラゴンボール」にまつわる小ネタなんですが、この前「誰もがドラゴンボールネタを理解できると思っているのが昭和生まれの悪いところ」というお言葉をいただきました。返す言葉もございません。

年を取るのってイヤですよねえ。できることなら老けたくないなーと私も思っていますけれども、毎年必ず年を取るというのは人類に普遍の宿命でして、泣いてもわめいても老境は向こうからやってきます。

コロナの件をはじめ、昨今の経済状況だとか社会状況だとか、「今の世の中で年を取るのは不安だ」と思う点も多々あります。すっごい分かります、その不安。

ただ、ウィークポイントがあればストロングポイントもあって、実は「今の世の中で年を取るからこそ享受できるメリット」というものもいろいろあるんじゃないかなあ、と思うんですよ。この時代でないとできなかった年の取り方、というのは間違いなくある。ウィークポイントの把握は重要だけど、ストロングポイントについて考えて、そのストロングポイントをどう生かすか、というのもそれはそれで重要な思考です。

そこで今日は、この時代だからこそできる「Web時代のいい感じの老い方」について、私なりに考えてみたいと思います。

Web時代に生きる、われわれの強みとは何か?

まず一つ間違いなく言えるのは、「現代ほど『老いのハンデ』を帳消しにできる可能性がある時代というのは、今までの人類史で一度もなかった」ということです。

いやだって、今って当たり前にインターネットがあって、手軽に使えるWebサービスも山ほどある。IT技術も50年前に比べればマジかよって思うくらい発達していて、昔少年の夢だった「時計型の電話でお話」だとか「バーチャル空間でモンスターと戦う」なんてのも漏れなく実現している時代です。スピーカーに声をかけただけでいろいろできるとか、21エモンか? って感じです。

VTuberを見れば分かる通り、なんなら自分とは全く異なった美男美女になっていろんなコンテンツを配信する、なんてこともできる。何せ3Dモデルは動かし放題なので、老いて体がうまく動かなくなったり頭の動きも鈍くなってきたりするところ、やりようによっては若い人とほぼ変わらないパフォーマンスを出すこともできるかもしれない。

もちろん肉体の老化、思考の老化というものは避けられませんが、技術の進化によって、その老化をかなりの部分カバーできる可能性があるのです。スマートスピーカー一つとっても、これがあるかないかで老後の生活の便利さってダンチだな、と思います。

一方、「生まれた頃から身近にインターネット、Webがあった」いわばWebネイティブの「インターネット世代」が初めて壮年に差し掛かるのも、今からの時代です。つまり、「老い」と「老いに伴うライフハック」が、Web上での非常に大きなコンテンツになる可能性もある。

老人YouTuberなんて、今後どんどん増えていきますよ絶対。高齢化社会ってもちろん問題も多いですけど、一方その中にこそ見出せるチャンス、その中でこそ人気になるコンテンツ、みたいなものも多分あると思うんです。

いろんなチャンスがある。チャンスを生かすための手段もある。

ITスキルに関して、われわれは現在の多くのお年寄りよりも格段に有利な立場であることは間違いありません。そう考えていくと、「今の時代に老いるの、案外悪くない部分もあるんじゃ?」とちょっと思えてもきます。もちろん不利な点も大いにあるんだけど、有利な点もある。有利な点については目いっぱい生かしていかないと損ですよね?

「いい感じ」に年を重ねている今のお年寄りから学ぶ

「Web時代のいい感じの老い方」について考えるとき、実は先人のスタンスに学べる部分もかなりあるんじゃないか、と私は思っているんです。

私が今までお会いした中で、特に「この人すごくいい感じにお年を召しているなー、かっこいいなー」と思った二人のお年寄りの話をします。

ケーナの練習で「できない」を出力することを全く恐れなかったおじいちゃんの話

一人目は、生涯学習教室で出会ったおじいちゃん。御年70歳くらいだったでしょうか。

もうかなり前の話ですが、以前都内の某区で、生涯学習教室にお呼ばれして講師のアルバイトをさせてもらったことがありました。最初の一回はPCの使い方教室みたいなやつだったんですが、その時自分が「南米の民族音楽をやってる」と言ったら、後でもう一度呼んでいただけて、「ケーナ」という民族楽器の吹き方教室・演奏教室みたいなことをやりました。

ケーナって皆さんご存じですか? 尺八みたいな縦笛で、曲としては特に「コンドルは飛んでいく」なんかが有名です。もし気が向いたら「リャマの道 ウニャラモス」っていう単語でググって曲を聴いてみてください。損はさせません。

ケーナって楽器、音が出るようになるまでが一番難しくって、最初はスースーって息の音しかしないし、なかなかきれいな音にならないんですよ。ただそのおじいちゃんは、とにかく辛抱強く練習されて、生涯学習教室の短い期間でも段々曲が吹けるようになってきましてね。最初に練習してたのは「赤とんぼ」か何かだったかな。「ゆうやーけーこやけーーの」のところがきれいに吹けたときの会心の表情は、今でも覚えています。

このおじいちゃんの言葉ですごーーく印象に残っている一言があって、「教えてもらうんじゃなくて、私は学んでいるから」っていう言葉なんです。

この人、とにかく主体的というか、教わる立場なのに受け身な部分がまるでないんですよ。質問をするときも「何を試みて、何がダメだったのか」をすごく明確かつ率直に表現されて、私から的確に情報を引き出そうとする。「察してもらう」ことを待たない。かつ、「自分ができない」ことを全く隠さない。

特にお年を召してくると「できない」ということを出力するのがすごーく苦手になる方、多いんですよ。自分より年下の人に質問なんて恥ずかしくてできない。だから受け身になるし、こちらが「できていない」ことを察してあげて、的確にサポートしてあげないと不機嫌になっちゃう。生涯学習教室に来る時点である程度「学ぶ」意識がある人のはずなんですが、それでもそういう方、全然珍しくありませんでした。それはそれで、教える側としてもすごーく勉強になったんですけどね。

けれどそのおじいちゃんは「できない」を出力することを全く恐れなかった。あれは本当にすごかったと思います。ご自分で演奏グループにも参加されて、今でもFacebookでケーナの演奏動画をちょくちょくアップされていまして、これもすごいと思っているんですが。

町内会のタスクを自らIT化した、凄腕おばあちゃんの話

もう一人は、町内会のまとめ役をやっているおばあちゃん。こちらは、多分もう御年80歳を過ぎてらっしゃるんじゃないかと思います。

私、この方については以前も別のブログで書いたことがあるんですが、とにかくこの人、フットワークの軽さと、知らない技術を取り込むことへの貪欲さがものすごいんですよ。

普段は電動自転車で街中を駆けまわっている名物おばあちゃんなんですけど、息子さんにiPadを買ってもらったことを契機に、いろんなWebサービスを利用し始めました。メーリングリストを作って町内会の連絡を回したり、Instagramに街のイベントの写真をアップし始めたり、会合の資料をGoogle ドキュメントにアップし始めたり、WordPressで町内会メンバー限定公開のブログを自分で作ったり。

2020年にコロナで緊急事態宣言が出たころ、私はこの人にZoomの使い方をお教えしたんですが、「困った事態が起きたけれど、それに対する解決法も必ずあるはず」っていう思考法が染みついている方でしてね。「こういうこと(遠隔でお話すること)ができるもの、何かあるでしょ?」って聞かれたんで「ああ、Zoomってのがありますよ」って伝えたんですけど、あのお年でそこまで柔軟にIT技術を取り入れられるの、さすがだなーと思うばかりでした。

この人のすごいところは、吸収力、学ぶ姿勢もさることながら、「それを他人に押し付けない」ということだと思うんです。お年寄り同士でも「こんなにいいものなんだからあなたも使いなさいよ」とは絶対言わない。業務効率化っていう点だけからいうとメールやGoogle ドキュメントに統一した方が絶対いいんですが、「使える人が使ってくれればいい」ってことで、スマホはあるけどメールがよく分からない、みたいなお年よりにはちゃんと紙で連絡を回す。その一方で、ナレッジを文書化して共有するようなことについては本当に全く躊躇(ちゅうちょ)しない。

あるとき「まあまあ、そうは言っても難しいわよやっぱ、高齢になってからこういうの使うのって」とおっしゃったので、「Mさん(このおばあちゃんのこと)はできてるじゃないですか?」って言ったら、さらっと不敵に微笑みながら「私は例外」って言われたのが「このおばあちゃんかっけぇ……!!」ってなったポイントなんですけどね。

二人のお年寄りに学ぶ「いい感じに老いる」ためのヒント

私、このお二人のお年寄りには共通点が3つあるなーと思っています。

・自分を初学者の立ち位置に置くことを躊躇しない
・学んだことを何らかの形で発信する
・他人に対する期待値を高くし過ぎない

これって、「『現在に老いる』ということを最大限利用した、いい感じの老い方」の秘訣(ひけつ)といってもいい3点じゃないかなと、少なくとも私は思っているんですよ。

まず、常に「学ぶ側」に自分を置いているから情報の吸収に貪欲になり、そうすると「できない」ことがある意味当然になるので、衒(てら)うことなく「できない」を発信できて、結果さらに学ぶのがうまくなる。

だから、自分の知識や経験にあぐらをかくこともなく、常に新しいものを取り入れ続けられる。一方「学ぶ側」の気持ちも分かるから、求められれば「これから学ぶ人」に的確なアドバイスをすることもできる。

そして、「発信」することに対する躊躇のなさ。

私、発信って成長の源泉だと思っているんですよ。楽器でも、「新しい楽器を買ったら、まずコンサートの予定を入れろ」って言いますよね。「みんなの前で演奏するんだ」と思うと否応なく練習することになるし、自分を磨くことになる。演奏だけじゃない、運動でも、イラストでも、文章でも、どんなことでもそうです。

発信するチャンネルを持ってるかどうかって、技術を身に着ける上でめちゃくちゃ大きいポイントなんです。その点で、「何かを発信することに貪欲であるかどうか」って、特に老境に入っては途方もない差になると思うんですよね。

最後に、「他人に期待し過ぎない」。他人の行動を変容させようと思わない。

よくある老害ムーブって、そのほとんどが「俺の考え方は正しい! だから、こいつも俺と同じような考え方ができるように説得してやらねば!」ってところから始まると思うんですよね。相手の行動、相手の考え方を変えてやろうと思っている。言ってみれば、「話せば分かってくれる」とか「察してくれるだろう」とか、他人に対する期待値が高過ぎなんですよ。

けれど、期待ってある意味では押し付けでもあります。期待に応えてくれないと思うと不満になってしまうし、攻撃的にもなってしまう。「お前のためなんだ」っていう攻撃を始めてしまう。

それに対して、「まあ、他人の考え方なんてよっぽどのことがないと変わらない」「他人は何もしてくれないのがデフォルト」と最初から思っていれば、そこまで波風も立たないし、一方何かしてもらったときに大きく感謝することもできる。「他人に期待し過ぎない」って、冷たいようで、案外重要なことじゃないかと思うんですよ。

「学ぶ」「発信する」「期待し過ぎない」。この3点は、まさにこれからの時代にもベストマッチするんじゃないかと考えています。

少なくとも私は、この先もさまざまに進化を続けるであろうWebのIT技術をいい感じに利用しながら老いるに当たって、先ほどのお二人のようなスタンスに学びたいと思っているし、そうすれば案外いい感じに老いることができるんじゃないか、と思っています。今後、さらに自分の知らない技術がどんどん出てくる中でも、どんどん知らない分野に突っ込んで、どんどん発信して、一方他人に過度の期待をかけるのはやめておこう、と思っています。

最近になって、今まで全く触れていなかった料理を始めたりもしました。まだチャーハンとカレーくらいしか作れませんけど、70になる頃はキャリア30年くらいにはなってるはず……!

あなたはいかがでしょう? 「老いのモデルケース」って持ってますか?

おわりに

直近で私が楽しいなーと思っているのは、「子どもから学ぶこと」でして。しんざき家には長男と双子の長女次女がいるんですけど、この子たちがいろんなコンテンツを本当に貪欲に引っ張ってきてくれるので、「全く知らない分野に突っ込む」「知らなかったコンテンツに触れる」機会については幸い不自由していません。

デッサン人形の模写とか、この年になって初めてやりましたよホント。壊滅的な出来でしたけど。あと「すみっこぐらし」って全然知らなかったけど、長女次女と一緒に劇場版を見に行ったらマジ面白かった。

まあ、「いい感じの老い方」について考えてみるのもたまにはいいかもなあ、という話でした。

最後に、この記事で言いたかったことをまとめておきます。

・「知らない」を躊躇なく発信するためにも、常に初学者の立ち位置に自分を置いておくことは大事
・「発信」を積極的に行っていくかどうかで、成長度合いにめちゃくちゃ差が出る
・老害ムーブ防止のために「他人に期待し過ぎない」というスタンスも大事
・「今の時代に老いることの不安」もあるけれど、一方「今の時代に老いるからこその有利さ」もあるはず
・ストロングポイントを生かしていくためにも、「いい感じの老い方」を追求していきたい
・すみっこぐらしのとかげはかわいい

そんな話でした。よろしくお願いします。今日書きたいことはそれくらいです。

編集:はてな編集部

しんざき
しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。 レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以後インターネットの片隅で雑文を投下し続けている。週一でファミコン版イー・アル・カンフーを遊び続けているが特に上達はしていないのが悩み。

Twitterしんざき (@shinzaki)ブログ:不倒城 しんざきさんの記事をもっとみる

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