高齢者はスマホが使えないというのは思い込み!?マーケターが祖母のスマホデビューを手伝った経験を語る

はじめに

こんにちは。LIFULL seniorでマーケターをしています、虎太郎です。

現在、父と祖母との三人暮らしをしています。

祖母
祖母

「スマホがほしいわぁ」

とつぶやいた祖母のスマホデビューをサポート中です。

しかし私自身、高齢者のスマホデビューという観点ではWeb上に十分な情報がなく、祖母を手伝うに当たり、苦労する面が多々ありました。

この記事では高齢者のスマホ利用について、私と祖母の経験を踏まえて、カジュアルにお話ができればと思います。

【祖母】
最近はフィギュアスケートが好き。
特に羽生結弦選手が好き。
スマホを手にしてからは羽生選手について熱心にYouTubeで調べるが、決して自分がファンであるとは認めない。

できることが減っていく祖母の「チャレンジ」の機会

虎太郎
虎太郎

「ばあちゃん、いま何歳だっけ?」

祖母
祖母

「う〜んと、88かしらね」

虎太郎
虎太郎

「88歳。」

あれ、もしかするとそれは米寿ってやつでは…?

最近祖母の正確な年齢を知り、少なからず衝撃を受けました。そうか、祖母は私のちょうど4倍も生きていることになるのか。

それは確かに動くのがおっくうになっても仕方ないのかもしれません。人間誰しも年を取るごとに、身体的にも、精神的にもできることは減っていきます。

しかし、「できることが減っていく」ことと「やらせないようにする・代わりにやってしまう」のは全く別の話。

子供から高齢者まで、どんな年代でも「自分でできる」こと、「自分でできると思える」ことは、自立して生きていくうえで本当に大切なことです。

今回、「スマホがほしい」と口にした祖母にとって、これはできることを増やすことができる良い機会と捉え、私も祖母のスマホデビューを手伝うことにしました。

高齢者にスマホは「使える」のか問題

さて早速ですが、まず祖母のスマホデビューにあたってはじめにぶつかったのは「懸念」でした。特に当事者である祖母も、見守る側である私と父も心配していたのはこの点です。

「高齢者にそもそもスマホは使いこなせるのか?」

私達に限らず、おそらく多くの方がこの点でお悩みになるのではないでしょうか。

なぜなら、電話の延長であった携帯電話とは異なり、スマホは持ち運び可能な「コンピューター」だからです。

今までコンピューターをほとんど使ったことがない祖母からすれば、たくさんのカタカナと英語の「用語」にイチから向き合うことになります。

「インターネットって何?」「アプリって何?」や「アカウントって何のこと?」という、それはそれはとてつもない量の疑問と向き合うのは、祖母であり、何を隠そうそれを手伝う私なのです。

もちろん、「用語」の説明に加えて、危険性についてもきちんと説明が必要です。危ないWebサイト、詐欺メールや広告、そしてコンピューターウイルス。

そういった一つ一つのリスクに対して、危険を退けるための設定をしておくこと。してはいけないことを本人に伝えておくこと。

当事者である祖母も、見守る私たちも、ある程度安心してスマホを利用するためにはここまでする必要があると思います。

利用をサポートできる人がいることは重要かもしれない

しかし、ここまで考えたうえで個人的な所感として抱いたのは、高齢者のスマホデビューを「この段階で見送る人が大勢いても不思議ではないな」という点です。

本人の認知能力や、家族がどれだけスマホやインターネットに対する理解があるかによっても導入の難易度は変わってきますが、利用のガイドとなる人が本人の周りにいるかどうかは大きなポイントだと思います。

大手通信キャリアが主催している「スマホ教室」などをうまく利用できるとよいのでしょうが、最終的には家族が主としてサポートしていく場面が多いのではないのでしょうか。

その面では、「家族の同意を得られること」も重要かもしれません。

我が家では、父が当初「高齢者にスマホは使えない」と考えていましたが、私が祖母のサポートをすることを伝え、「それならば」と同意を得ることができました。

私がある程度の時間を割けるだけの余裕と、わからない点を教えてあげられるだけの知識や慣れがあったことは導入の上で重要な点だったと思います。

機種選びでの一悶着

虎太郎
虎太郎

「じゃあ機種だけど、俺の使ってたiPhoneでいい?」

さて、父の同意を得たところで、遂に祖母のスマホの機種を選ぶことに。

ちょうど私が機種変更をする時期だったこともあり、おさがりのiPhoneを祖母に譲ろう、と考えていました。

ところが祖母。

祖母
祖母

「いやよ、君が使ってるスマホは難しいでしょ。私でも使えるもっと簡単なのがあるって(大手通信キャリアの人も)言ってたわ。」

ないッッッッッ!!!ばあちゃん、そんなものはないんです!!!

なぜなら普段使うアプリが「高齢者向け」になるわけではないから。

まず、スマホの便利な点はなんといっても「アプリ」です。アプリはそれぞれ異なる会社が「すべてのスマホ」に向けて作っているもの。「高齢者向けスマホ」という製品をつくることはできるけど、その中で動くアプリは私達が利用するスマホと同じものです。

つまり、高齢者向けスマホといえど、アプリの中身まで大きな変更はできないから、難しいことはやっぱり難しいままなのです。

そのうえ機種(OS)が変われば使い方も変わります。今まで使ったことのない機種でも、祖母が安全に利用できるように設定し、サポートできるのか。

使い方を調べたり、問題が起きた時に対処するのは私であることを考えると、やはり慣れていない機種を選ぶのは怖い。

心の声が少し(だいぶ)漏れましたが、私も続けます。

虎太郎
虎太郎

「iPhoneだったら俺も使い方ちゃんと教えてあげられるし、何より簡単なんだよ。」

祖母
祖母

「そりゃ自分が使ってるものだったら簡単でしょうよ。私にとっては違うもの。」

虎太郎
虎太郎

「まあ、使ってみなきゃわからないでしょ。試しに一回使ってみたらいいじゃない。」

祖母
祖母

「いやよ、私は簡単なのがいいんだから。」

残念ながら祖母の心は決まっているらしく、もう何を言っても聞いてくれません。

しかし、「難しいものを無理やり渡された」と感じながら利用するより、思い通りのものを自由に使ってみる方がきっとよいはず。

実際に使っていくのは私ではなく祖母なのですから、本人の納得のいくものを選ぶのがいちばんだと心のなかで納得します。

そうして今回は祖母が切望する「高齢者向けスマホ」を購入することとなりました。

筆者、高齢者向けスマホに苦戦

祖母
祖母

「ちょっとこれ、使い方教えてくれる?」

高齢者向けスマホの購入後、早速祖母から使い方を相談されました。

どれどれ…。

…あ、やばい。全然わからん。

先の懸念、大当たりです。

もちろん私にも、スマホを何年か使う中で養った「勘」があるので、全く使えないということはありません。しかし、本体の細かい設定をするときにどこに何があるのか全然わからないのです。

虎太郎
虎太郎

「アプリはいかにして消すのだ?」

虎太郎
虎太郎

「通知音のON・OFFと音量はどこで調整できるのだ?」

など、わからない部分はGoogleで検索し、説明書を読み、いろいろ触って「散歩」してみないことには使い方を教えるどころではありません。

いつも使っているアプリでさえ、普段利用するときは何も考えずに使っているので、改めて使い方を教えてと言われると言葉では上手に説明できないものです。

私は正直に言えば説得をあきらめ、「祖母の希望にあわせた機種を買う」という選択をしましたが、「教える人が使い方をわかっている機種を本人に使ってもらう」という選択も責任ある正しい選択の一つだと思います。

本人の希望をきちんと聞きつつ、使う本人も、それをサポートする人も納得できる選択ができると素敵ですね。

高齢者向けスマホの良い点、課題点

さて、多くのご意見があるかと思いますが、私個人として祖母の利用を手伝う中で感じた高齢者向けスマホの所感は以下の通りです。

良い点 課題点
●    軽い
●    画面が大きい
●    アプリの表示が大きい
●    ボタンやバーなどが大きい
●    ホーム画面によく使う連絡先を登録できる
●    画面外に「電話」「ホーム」「メール」の3つの物理ボタンがある
●    「スマホの使い方練習アプリ」つき
●    バッテリーもちがいい
 
●    メモリ(RAM)が3GBと小さい
●    動作がおそい
●    利用の難易度は普通のスマホと大して変わらない
●    キャリア決済の設定に注意
 

良い点

良い点は基本的に、「高齢者を意識してよく作られているな」と感じた部分です。特に、画面表示の見やすさに関しては力を入れている印象。

表示だけでなく画面も大きいので、画面が文字でパンパンになってしまうこともありません。豆粒みたいな文字は読めない、と常々独りごちている祖母も違和感なく視認できていました。

また、「スマホの使い方練習アプリ」が標準で入っていた点にも驚きました。本人が自分で使い方を学習して、練習できる場が用意されているのは素晴らしい。まさに習うより慣れろ、理にかなったサポート体制です。

課題点

一方、課題点もいくつか感じました。

まず正直、動作は遅いです。サクサク進まないので、押してから反応するまでに読み込み時間がいくらかあります。そのため、祖母は「あれ、反応しないわね」と何回も同じところをタップしてしまうことがよくありました。

また先述の内容ですが、普通のスマホと比較してもさして「かんたん」ではありません。操作方法が極めてシンプルになるわけでもなく、アプリの使い方が変わるわけでもなく、基本的には「高齢者が使うことを考慮された、普通のスマホ」という位置づけかと思います。

祖母も未だに「むずかしいわねえ」とつぶやきながら、私の助けを得られるタイミングを見計らっています。

また、意外と盲点ですが、キャリア決済の設定には注意が必要です。父が最も懸念していたのは、詐欺や望まないものを買ってしまう「お金」に関する問題。

今までスマホを利用する中で、支払いは銀行口座(〜Pay等に登録可能)やクレジットカードを登録するか、コンビニでプリペイドカードを購入してチャージする以外に方法はないと考えていました。つまり、カードや銀行口座を登録しなければ問題ないと考えていました。

しかし、なんと抜け道があったのです。キャリア決済を利用すると、通信キャリアに設定されているIDとパスワード、ネットワーク暗証番号を入力すると、月々のスマホ利用料に加算する形で決済ができるのです。

また、このキャリア決済につけこんだ詐欺もあり、通信事業者を名乗る者にIDとパスワード、暗証番号を聞き出され、不正にお金を使われてしまったという被害例もあるようです。

もちろん、キャリア決済はうまく利用できれば非常に便利なものなので、

「キャリア決済という支払い方法がある」

「それに関連した詐欺もある」

ということを心に留めておいていただけると良いのではないかと思います。

祖母へのレクチャー、意外とつまづく「そこ!?」なポイント

それでは、スマホそのものについて所感をまとめてきましたが、それを利用する祖母がどんなポイントでつまづいていたのかについてもお話できればと思います。

「タップ」がわからない

まず、「タップ」というスマホの基本動作を伝えるのが意外に大変でした。

「ここを押すんだよ」と伝えると、ぎゅっと画面を押してしまい、意図せず「長押し」の判定となってしまったり、「ここに触れて」と伝えると、触れ方が適切でなく、うまく反応せずイライラしてしまう。

おそらく今まで利用してきた携帯電話の基本操作が、ボタンを「押す」操作だったことも影響しているのだと思います。

基礎中の基礎ですが、まずはここから丁寧に伝えられるとよいと思います。

アプリは基本「有料」だと思っていた

ラジオを聞いていた祖母に、スマホでもラジオを聞けるんだよと伝えた時、こんなやり取りがありました。

虎太郎
虎太郎

「スマホでラジオを聞けるアプリもあるんだよ」

祖母
祖母

「そうなの、でもお金かかっちゃうじゃないの」

私達は当然のようにアプリストアから無料有料問わずたくさんのアプリをインストールしていますが、おそらくその概念がない祖母からすれば、アプリもすべて「買って入れる」という認識なのでしょう。

確かに「ストア」と名の付く通り、有料アプリも多数ありますが、支払い情報を入力しない限りは勝手にお金が使われてしまうこともなく、基本無料で使うことができます。

このアプリは広告枠を売ってお金稼いでるから無料で使えるんだよ、とアプリが無料で使えるしくみを説明し、祖母もそれならばと抵抗なく利用できるようになってきています。

私達が直感的にわかる部分がわからない

スマホを使い慣れていない方々には、私達でいう「直感」がありません。

例えば祖母がつまづいていたのは、「一つ前の画面への戻りかた」がわからないという点でした。

私達が普段当然のように使っている「←」や「<」などの記号は、だいたい画面の左上か左下にあり、私達は直感的にそれが「戻る」を表していることを理解することができます。

しかし、祖母はほとんどコンピューターに触れたことがない身です。

今後触っていく中で祖母も理解していくとは思いますが、抽象的な記号が何を表しているかが理解できないのです。

そのほか、「歯車」のマークが「設定」であること、「≡」(ハンバーガーボタン)や「︙」(縦三点リーダー)が「メニュー」を表すことも全くわかりません。

そもそも「メニュー」って言葉自体、どう説明すればいいのだろうか。笑

私達が普段「ここ触れば調整できそう」と感覚で触っている表示も、祖母にとっては初めてのもの。ひとつひとつ疑問に答える形で説明しつつ、感覚を掴んでいく手助けをしています。

スマホ購入を検討している高齢者のご本人、ご家族の方へ

正直大変だった

包み隠さずいえば、祖母のスマホデビューの手伝いはやっぱり大変でした。こんなことを言うと、高齢なご家族にスマホを買おうと思われる方が減ってしまうかもしれないのですが、同時に私は祖母を手伝ってよかったと思っています。

それは、世代関係なく、お互いがそれぞれを「ひとりの人間」として、尊重しあいながらコミュニケーションが取れるよい機会になったからです。

 冒頭にも記したとおり「本人にできることを奪わない」ことは、高齢の方に限らず、相手をひとりの人間をして尊重する上で非常に重要なことだと、私は考えています。

今回、私は伴走という形で祖母のスマホデビューに付き添いましたが、何も伝えずとも本人が自分でできることがたくさんありました。

祖母が自ら操作できて、嬉しそうにしている場面も幾つもありました。

このスマホデビューの手助けを通じて、「若者」や「年寄り」であるまえに、お互いを「ひとりの人間」として接することの大切さに改めて触れることができました。

この記事を読んでくださった皆様のスマホデビューが、それぞれにとっての素敵な機会となれば幸いです。

それではまた!

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