趣味の活動は認知機能の低下やフレイル(※)を予防するために有効な手段であることがわかってきています。老人ホームでもレクリエーションやリハビリの一環としてスポーツや創作活動などのアクティビティは盛んに行われており、施設の差別化にも繋がっています。
そこで今回は、30代以上の男女826名に「趣味と理想の老人ホーム」についてアンケート調査を行いました。
※加齢により心身が衰え機能が低下した状態。要介護状態になる一歩手前と言われている
現在楽しんでいる趣味があると答えた人は全体の6割を超えています。また、趣味があると回答した540人の内6割以上が「75歳以上になってもその趣味を続けていると思う」と答えています。
生涯を通じて、楽しく熱中できることを持つ重要性が広く浸透しており、多くの人が年齢を重ねても打ち込める趣味を持っているようです。
では、現在楽しんでいる趣味を楽しめる老人ホームがあれば入りたいか、意向を聞いたところこちらも「入りたいと思う」という回答が6割を超えました。
どんな趣味のジャンルの老人ホームに入りたいかたずねたところ、最も多かったのは「ドラマ、映画、演劇鑑賞」でした。3位には「スポーツ」、4位には「スポーツ観戦」が入り、スポーツを主軸にしたアクティビティの人気の高さが伺えます。
「その他」の回答として「保護猫の保護」「爬虫類の飼育」など動物関連の回答があったほか、「電子工作」「車、バイク」などの回答もありました。
6位には意外にも「ゲーム、eスポーツ」がランクイン。近年はeスポーツをレクリエーションに取り入れた介護施設や、高齢者向けのeスポーツ大会が自治体主導で開催されるなど、ゲームは幅広い世代が楽しむものになっています。
趣味ジャンルごとに「75歳になっても現在の趣味を続けていると思う」の回答比率を集計したところ、「ゲーム、eスポーツ」が77.6%と最も多いことがわかりました。
現在ゲームやeスポーツを趣味にする人は、これらに特化した老人ホームへの入居意向も高いと言えそうです。近い将来、人生の最期までゲームで遊べる老人ホームが登場するかもしれません。
死ぬまでゲームができる社会を目指してー高齢者×eスポーツの未来をNTTe-Sports影澤氏に聞く
多くの老人ホームは介護サービスを受けるために入居しますが、趣味活動を通じて生活を楽しんでいる入居者も多くいます。例えば、現在では多くの施設にカラオケ機器が備えられています。歌うことが口腔機能の維持やストレスの軽減、認知機能の向上に良い影響を与えるため、専用のカラオケルームを設けている施設も少なくありません。このスペースは、家族と共に過ごすプライベートな時間を楽しむ場所としても好評です。
また、茶道、華道、書道などの経験者が入居している場合、レクリエーションの一環として披露したり、他の入居者に教えたりすることで、入居者同士の交流を促進しています。さらに、郊外へ行くと畑をもつ老人ホームもあり、元農家の入居者が畑の手入れや農機具の使い方、収穫方法などをスタッフに教える場面も見られます。もちろん収穫した新鮮な農作物はその日の食卓に並びます。趣味を続けたり、得意な事を活かしたりすることは心身の活性化だけでなく、生き甲斐そのものとなります。
老人ホームを選ぶ際は、必要な介護や医療サービスを受けられるかが重要なポイントですが、「好きなことを続けられるかどうか」も考慮することが大切です。趣味を通じて生活に彩りと活力をもたらす施設は、より充実した生活を送ることができるでしょう。
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調査主体:株式会社LIFULL senior
調査期間:2024年2月19日〜2月22日
調査対象:30代以上の男女826名
調査方法:インターネット調査
※小数点第二位を四捨五入しています
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