「tayorini」では年末の帰省シーズンに向けて、親とのコミュニケーションに関するアンケート調査を実施しました。「親と会う頻度」や「介護準備」についてのアンケート結果をご紹介しながら、LIFULL 介護編集長小菅による「実家に帰省した際にチェックしたい5つ」をお伝えします。
実家への帰省は、介護が始まるきっかけをつかむ機会の一つです。新型コロナウイルス感染症の感染症法に基づく位置付けが5類へ移行した2023年、親と会う頻度はどのように変化したのか調べたところ、月に1回以上会っている人が48%と、およそ半数を占めることがわかりました。
2021年9月の調査(※)では7割以上が2020年4月以降で「半年以上親と会えなかった」と回答しました。コロナ禍であった2年前と比較すると、親と会う頻度は高まっているようです。
対面で会う以外にとっているコミュニケーション手段をたずねると、最も多いのは「電話」で58.8%という結果でした。電話での通話は声や会話の流れから親の状態をよく知れる手段で、介護のきっかけをつかむのにも役立ちそうです。「メール、メッセージアプリ」(41.6%)との回答は2番目に多かったですが、そのうちの6割は「電話」と併用していると回答しており、親とのコミュニケーションにはやはり電話が重宝されていることがうかがえます。
少数ではありますが、「SNS」や「オンラインゲーム、アプリゲーム」で親とコミュニケーションをとっている人もいました。
介護の準備については、44.5%が「準備していない」と回答しており多数派でした。一方で「家族や親族で話し合っている」「情報収集をしている」と回答をした人もそれぞれ26.6%となりました。
回答が少なかった「エンディングノートを書いてもらう」(4.6%)ですが、残しておくと親の資産状況から持ち物、交友関係など様々な情報が整理できます。親だけでなく子世代が一緒に書くこともおすすめです。一年の計として、現在の自分にまつわる情報の棚卸しの機会として、家族全員で書くのも良いかもしれません。
会う機会の少なさを代替できる、見守りサービスが昨今は充実しています。そこで見守りサービスについて知っているもの、利用したことがあるものを聞いてみました。
認知度が高いものから順番に「警備会社等が駆けつける緊急通報システム」(49.5%)、「身の回りのものにGPS機能がついた位置情報サービス」(36.5%)、「水道やガス、電力の使用データを利用した見守りシステム」(28.7%)という結果になりました。しかし、利用したことがあるかどうかをたずねたところ「緊急通報システム」、「GPS機能位置情報サービス」ともに8.2%と少数になりました。
今回、知名度も利用度も低かったのは定期訪問や日々の生活をIoT機器やインフラ利用状況から把握するシステムでしたが、これらは介護が必要になる前から介護の兆候をつかむためにも有効です。例えば実家の親が一人で暮らすようになったタイミングなどで、こうした見守りサービスの導入を検討するのも良いでしょう。
老人ホームを探す方が年間で一番増加するのは、年が明けた1月です。実家の帰省の際に親の様々な変化を知ることで介護サービスの利用や老人ホームへの入居を検討される方が多いようです。今回は、実家に帰省した際に親の変化を知るために見ておきたいポイントをご紹介します。
運転席側に傷がついている場合、視力や認知機能が衰え、危険な運転を行っている可能性も。しかし、すぐに免許返納を切り出すとかえって本人が頑なに拒否することもあります。体調を気にかけながら、ドライブレコーダーの導入や車を運転する時間帯などの相談に持っていき、少しずつ免許返納についての意識を高められるといいですね。
親の認知症に気づく代表的なきっかけは、賞味期限切れの食品の溜め込みです。認知機能が衰えると、同じ食品をたくさん買ってきてしまう、または賞味期限切れに気付けないことがあります。似たケースで、料理の味付けが変わってしまうこともあります。
直近の交友関係や外出の頻度もそれとなく聞いてみましょう。人との交流が減ることは、フレイル(健康な状態と要介護状態の間)のリスクを高める要素として知られています。認知機能が衰え、自信がなくなり人と会うことを避けるケースも。
久しぶりに帰省して、「何か困ったことはない?」と親に聞いても、「大丈夫だよ。何かあったら連絡するよ」と返されてしまい、介護の準備が一向に進まない家庭も多いと思います。親は子どもに心配をかけたくないため本音を隠します。そのため、具体的な日常生活のシーンに関する質問をしてみましょう。例えば、「最近、買い物はどうしてる?」「薬はちゃんと飲めてる?」といった質問です。お米や洗剤など重い物が持てなければ定期配送を注文したり、薬の飲み忘れがあれば薬局に相談して錠剤薬を一包化する方法もあります。
一緒に外出して親の歩行や身体状態にも注意してみましょう。階段を登るのにかなり時間がかかったり、フラつきがあったり、手すりがなければ登れないようであれば、下肢筋力低下や転倒のリスクがあります。一度の転倒が要介護状態を引き起こす事にもつながります。身体状態を見ることで、自宅に手すりを付けるなどし、転倒を予防できるかもしれません。
介護準備を行っている方は少数ですが、親の変化を受け止めつつ、今後について話し合うことはいざ介護が始まった時にとても有効です。家族の健康を互いに気遣い合い、ぜひご家族で話し合ってみてください。
▼参考記事
高齢ドライバーはみんな免許返納すべき!? 自動車と高齢者のいい付き合い方を考える
フレイルとは
業界最大級の老人ホーム検索サイト | LIFULL介護
▼調査概要
調査期間:2023年11月28日〜12月7日
調査対象:対象期間にLIFULL 介護運営メディア「tayorini」に来訪したユーザー 278名
調査手法:WEBアンケート
調査主体:LIFULL senior
介護施設の入居相談員として首都圏を中心に300ヶ所以上の老人ホームを訪問。1500件以上の入居相談をサポートした経験をもつ。入居相談コールセンターの管理者を経て現職。「メディアの力で高齢期の常識を変える」を掲げ、介護コンテンツの制作、セミナー登壇。YouTubeやX(旧Twitter)で介護の情報発信を行う。
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