親の老後はどうする? 70歳目前の父とハードボイルドに考えてみた

老後というものがある。もちろん自分の老後というものもあるけれど、子供は親の老後も考えなければならない。年齢を重ねれば、若い頃と同じようには動けないわけで、やがて介護などの可能性も出てくる。

そんなとき、親の考えを尊重したいと考える人は多いだろう。しかし、そのためには、どのような老後を過ごしたいのか、施設に入るのか、お金はどのくらいあるのか、いま住んでいる家はどうするのかなど、話ができるうちに聞いておく必要がある。

北九州で一人暮らしをしている私の父は65歳

とはいえ、親に老後のことは聞きにくい面もある。急に「いまお金いくら持っているんだっけ?」とは聞きにくいし、「老後はどうしたいんだっけ?」も、タイミングがなかなか掴めず、やっぱり聞きにくい。暗い未来の話な気もするし、お金の話だし、盛り上がる話ではない。だから話しにくい。

しかし、お互いの幸せを考えれば聞くべきことだろう。

どうもこの記事を書いている地主です! 地主家は二人兄弟です!

私の父は現在、北九州のマンションで一人暮らしをしている。母は16年ほど前に亡くなっており、近くに住んでいる祖母のことは父が面倒を見ている。

マンションは持ち家である。もっとも父は転勤族で、私が上京してからも転勤が多く、いま父が住んでいるマンションには私は5回くらいしか行ったことがない。だから、正直なところ実家に愛着はない。むしろ知らない家だ、実家だけど。

弟は北九州で「キュイッソンアグレアーブル」という焼き菓子店をやっています!

父も65歳である。そろそろ老後のことを聞いておいた方がいい年齢だろう。そこで今回、父と私で老後についての話し合いの場を作ることにした。

父です!
息子です!
ハードボイルド親子です!

ハードボイルドに「老後」を話し合う

先に述べた通り、こういう話は聞きにくい。そこで、イベント的に話を聞くことにした。

「ハードボイルドデー」というのを勝手に作ったのだ。イメージするアメリカのハードボイルドの格好をして、それになりきって話す日。私が最近ハードボイルド小説や映画を見てハマっているからだ。なんかカッコいいじゃん。父がハードボイルドを好きかは知らない。私の意向だけで決めました。

どうも、ハードボイルドたちです!

現在の健康状態とは?

まずは父の現在の健康状態について聞く。

父

健康状態? 完璧さ、完璧以外に言いようがない。夏の太陽を思い出してほしい。それが私だ。

地主
地主

調子がいいってことだね?

父

少し前は血圧がニューヨークの摩天楼のように高かった。でも、今は正常値になっている。悪玉コレステロールに関しては、ここ一年くらい毎日薬を飲んでいる。悪いのはそれくらい。夏の太陽を思い出してほしい。それが私だ。

夏の太陽というのはどういう意味か分からないけれど、調子はいいようだ。日頃から、運動などはしているのだろうか。

父

毎日歩いているよ。道が私を歩いてほしそうに見ているからね。毎日13000歩くらい。13001歩目の道がとても残念そうにしているのが分かるんだ。

地主
地主

その13001歩目は俺が歩いておくよ!

父

任せたぜ、兄弟!

地主
地主

親子だけどね。

動けなくなったときに備える「老後資金」と「介護」の話

次は資産の話だ。お金がいくらあるのかを聞く。本来は聞きにくい話ではあるけれど、ハードボイルドになれば聞ける。ハードボイルドにお金の話はつきものだからだ。

父

いまちょうど、私たちの上を飛行機が飛んでいる。でも、私のお金では買えないね。そんなにお金は持っていない、残念ながらね。

地主
地主

資産としては、いま住んでいる家とグランマの土地くらいかな?

父

そんなもんだな。あとは貯金くらい。医療保険や、がん保険にも入ってはいるな。私が撃たれて死ぬ以外のことはないと思うけれど、穏やかな日々が過ごせるくらいの貯金はある。働いていた時から、マイハニーが貯めていてくれたからね!

地主
地主

どうでもいいけど、パピーと呼んでほしいと一時期言っていたよね?

父

今から呼んでくれてもいんだよ。

地主
地主

呼ぶはずないだろう、パピー。

父

いま呼んでくれたかい?

地主
地主

ハハハ、穏やかな日々を送れるほどのお金っていうのは、どのくらい穏やかなんだい?

父

ニューヨークの喧騒が聞こえてこないほどの穏やかさだ。

地主
地主

晴れた日の地中海の海くらいに穏やか?

父

ちょっと地中海に行ったことないから分からない。

地主
地主

急に突き放すじゃないか。ニューヨークも行ったことないでしょ?

父

まあ、細かいことは気にするな。とりあえず、それなりにはあると思う。たぶん息子たちに頼る必要のない金額だ。

地主
地主

俺が頼りたい!

健康状態は問題ないということだったが、体の不調はいつ襲ってくるか分からない。もし動けなくなってしまったら、父はどうしてほしいのだろうか。

父

息子たちに迷惑をかけたくないというのが一番だね。だから息子たちに介護してもらう予定はない! 予定にないんだよ、予定に!

地主
地主

どういう予定なんだい?

父

考え方さ! 息子たちに見てもらうより、プロに見てもらった方がいいじゃん、ってことさ。プロにね。君たちはそのことについてはプロではない。経験がない。だったらプロにキチンと見てもらう方がお互いにとって一番いいと思うんだ。緑が多い施設に入りたいものだね。

地主
地主

なるほど。

父

理想は、ぽっくり逝くことさ。ただ私は避けるのがうまいんだ。俺には拳銃の弾は当たらないからね、どうなることやら!

地主
地主

息子よりハードボイルドにノリノリなのがすごいと思うよ。

父

なんのことだい? 私はロサンゼルスで私立探偵をしている!

地主
地主

フィリップ・マーロウかよ!

父

最近はお酒も飲んでない。一人で飲んでも楽しくないからね。たまにユウくん(弟)の家に行って飲むことがあるくらいだね。

地主
地主

母さんが生きている時は飲んでいたけどね。

父

そうだね、母さんは先に一人でヘブンズドアをノックしてしまった。それから一人暮らしだからね。食事も自分で作るようになったよ。

地主
地主

スーパーマーケットで買ったりしないのかい?

父

毎食自分で作っているよ。パンプキンを煮たり、風呂ふきジャパニーズホワイトラディッシュを作ったりね。

地主
地主

それはすごい、俺より健康な毎日だ!

父

ユウくんのところから歩いて帰ることもあるよ。

地主
地主

同じ北九州だけどそれなりの距離があるでしょ? オールズモビルを飛ばしても20分以上はかかる(10キロ弱くらいです)。

父

歩かないと道が悲しがるんだ、私が歩かないことに!

これ、
麦茶です!

長男に対する希望はあるの? 実家問題について聞く

父がいま住んでいるマンションは、母が亡くなり、ここ10年ほどで購入したものだ。父が例えば介護が必要となり施設に行くとき、家はどうしたらいいだろうか。

父

ユウくんはケイが住めばいいと言っている。ただケイは東京にいるから、それは難しい。売ってくれていいよ。

地主
地主

まずユウくんに言ってほしいことがあるんだ。兄の俺は弟のユウくんのことを「ユウくん」と呼んでいる。でも、ユウくんは兄の俺を「ケイ」と呼ぶんだ。何か違和感を感じないだろうか?

父

そこは仲良くなってほしいね。生命保険とかもケイとユウくんでそれぞれの名前にしてある。

地主
地主

ちょっと待って! 父さんも「ケイ」と「ユウくん」って言っているよね?

父

なんでだろうね? 不思議だ、この世にはまだまだ不思議なことがあるもんだな!

地主
地主

とりあえず、家やそこにあるものは処分して問題ないってことだね?

父

そうだね、好きにしてくれていい。ただ私のこの拳銃だけは大切にしてくれ!

※弟と私は仲がいいです!

この拳銃、百均で買いました!

ちなみに私は長男だ。長男の私に父が期待していることはあるだろうか。

父

特にないです。

地主
地主

なんか今までのハードボイルド父さんを忘れて素で答えてないですか?

父

そうだね、特にないからね……。

地主
地主

絞り出して!

父

正直ね、自分の老後より、ケイの方が心配。仕事も健康も。お父さんの心配より自分のことを心配してほしい。

地主
地主

なんか、がんばります!

父は車を持っている。65歳という年齢的に、そろそろ免許の返納を考えてもいい時期だろう。

父

私はすぐにでも返納してもいいと思っている。いま私が住んでいる北九州は車がなければ生活できない、という土地ではないからね。

地主
地主

グランマを病院に送るのに必要なんだよね?

父

そうなんだ、むしろ今もそれくらいしか車に乗らない。返納も近いぜよ!

地主
地主

急に坂本龍馬だ!

父の愛車「エンツォ・フェラーリ」
本当は、
ミニカーです!

親の考えを尊重するためにも、話は聞いておくべき

なかなかにスムーズな話し合いができた気がする。本当は当サイトの編集部から、老後について父と一緒に考える、という感じにしてほしいと言われていた。ただ話を聞けば、父の考えはすでに固まっていた。考える余地はないし、父がしてほしいようにしてあげたいと思っている。

このような格好もできたし!

正直、老後のことは聞きにくい話なのだ。それがハードボイルドにすることで自然に話すことができた。無駄な言い回しも多かったけれど、それが良かったのかもしれない。

加えて、もともと父の関係は良好だった。上京させてもらい、大学まで出してもらったことには感謝しかなく、今も月1くらいで電話をしている。元気か否かを問うくらいの短い電話だけれど、日頃からの関係性づくりが重要であることを実感した(それでも老後の話はしにくいので、ハードボイルドの効果は大きい)。

たくさん撮った!

こういう話は、聞ける時に聞いた方がいい。母が病気になった時に、どうしてほしいかを私は聞いた。ハワイに散骨してほしいと教えてくれたので、私はそれを叶えた。その時から思っている。あの時言っておけばよかった、あの時聞いていればよかったをなくそうと。

思い立った時に聞きましょう、言いましょう!

ただ、今回の話し合いにあたり、一つだけ悩んだことがある。ファンタジーの世界観にするか、ハードボイルドの世界観にするのかだ。二人で妖精みたいな格好をしてもいい気がしたけれど、けっきょくハードボイルドにした。父もノリノリだったし、正解だったかもしれない。

父

ケイにやってほしい、と言われたらなんでもやるけど、ハードボイルドに話し合いをするのは楽しかったよ。ただ、二人で妖精も新鮮だったかもしれないね。次は妖精で!

普段の父はハードボイルドでも妖精でもない!

健康のためにも。お揃いのスマートウォッチをプレゼント

先ほど父はよく歩くと言っていた。健康のために歩いていると。それはハードボイルドだから言っていたのではなく、本当に歩いているそうだ。また、時計が壊れて、最近はつけていないとも言っていた。

プレゼントしました!

ガーミンのスマートウォッチをプレゼントした。心拍数とか歩いた距離とか、歩いた軌跡とかも分かるやつだ。スマホで管理するので、連絡先を登録しておくと、事故が起きた時などに連絡が取れるようになっている。

少し詳しく書くと、事故検出機能と援助要請機能があり、事故検出機能は車にぶつかるなど強い衝撃を受けた場合、スマートウォッチがそれを検知して使用者に通達。応答がなかった場合、事前に登録していた連絡先に通知が行く仕組みになっている。援助要請機能は手動だけれど、自分がいる場所を連絡先に知らせることができる(共にスマートウォッチとスマホがBluetoothで繋がっている必要はある)。

健康にも安全にもいい時計。ポイントは3万円以上するのを私が自腹で買ったことだ。大切なことなのでもう一度。自腹で3万円以上の時計をプレゼントしました。

つける父

父は喜んでくれていた。私も同じスマートウォッチを持っているので、使い方の説明や設定を父が東京にいる間にしてあげたくてこのタイミングでプレゼントしたわけだ。喜んでくれたようでよかった。どうか幸多く、健康でいてほしい。

色違いだけど、お揃いのスマートウォッチ!

編集:はてな編集部

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地主恵亮
地主恵亮

1985年福岡生まれ。基本的には運だけで生きているが取材日はだいたい雨になる。著書に『妄想彼女』(鉄人社)、『ひとりぼっちを全力で楽しむ』(すばる舎)などがある。

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