実家の両親が同時に倒れるピンチを経て気付いた「夫婦のコミュニケーション」で大切なこと

仕事や子育てが一段落したタイミングでは、この先の自分たちの暮らし、親世代の介護への関わり方など、夫婦のこれからについて考える機会が多くあると思います。

しかし「自分はこうしたくても、相手の事情もあるし……」など、夫婦とはいえ切り出しにくい場面も少なくないはずです。そんなときに、夫婦で互いの意思を尊重しつつ、納得のいくコミュニケーションをするには、どうすればいいのでしょうか?

夫と子供と3人で暮らすブロガーのはせおやさいさんは、育児や実家の問題などについて、日頃から夫婦間で積極的に話し合うようにしているそう。しかしもともとはせさん自身は、家庭の中で自分の意見をあまり言えないタイプだったといいます。

そこで今回は、そんなはせさんのこれまでの経験を通じて、夫婦間のコミュニケーションを円滑に進めるヒントを教えていただきました。

それぞれ違う人生を歩んできた二人が同じ道を歩こうとするのが結婚だとしたら、その道程は平坦なものではありません。

好き合ったもの同士、一緒にいたい! という情熱で押し切れたことも、年を重ねる中でさまざまな問題に立ち向かう必要が出てくると、すれ違ったり、意見が食い違ったりすることもあるはずです。

もうすぐ結婚5年目のわが家も家族としてはまだまだ初心者であり、さまざまな問題に手探りで立ち向かい続ける日々ですが、そんな中で、夫婦が互いに納得できるコミュニケーションをしていくために、考えたことをまとめてみたいと思います。

実家のピンチを支えてくれた夫を見て「自分の家族」について考えた

ある年の終わり、わたしの実家の両親が二人一緒に倒れる、という出来事がありました。

その時子供はまだ1歳。さらに不幸なことに、両親それぞれの運ばれた病院が異なったのです。父親はA病院、母親はそこからバスと徒歩で1時間かかるB病院へ……という非常に不便な状況になりました。

しかも当時、一戸建ての実家には老いて足の悪い飼い犬がいたため、ペットホテルの手配がつくまでは家に寄って面倒を見る必要もありました。

仕事、育児、実家のケアがまとめてやってきて、わたしは精神的にも肉体的にも限界でした。そんなある日、夫がわたしの実家へ行き、犬のケアと両親のお見舞いを代わってくれるというのです。

それまでさほど交流のなかった両親のケアと、実家の犬のケア。実子のわたしでさえ「勘弁してよ」と思ってしまう面倒ごとを任せてしまって良いものか……と迷いましたが、自分の心身の負担を考えて甘えることに。そしてそんな日々が続いたあるとき、夫にお礼の気持ちを伝えると、ぽつりと「まあ、もう家族になっちゃったからね」と言ってくれたのです。

そうか、実家の両親は確かにわたしの家族ではあるけれど、一方でわたしは、この人と新しい家族となったのだった。そんな当たり前のことにあらためて気付かされ、ならば自分も、この家族を長きに渡り大切に運営・維持するために「できることはなんでもしよう」と思ったのです。

「納得度の高い意思決定」をするためには、相談の過程を大切に

実家のケアも落ち着き、考える余裕ができた頃、自分の家庭を今後どうしていくかもあらためて考えてみよう、と取り掛かることにしました。

家庭においては、日常の家事・育児分担をはじめ、子育ての方針、実家との関わり方、自分たちの老後のことなど、夫婦間で意見のすり合わせをする必要のある場面が多々あります。時にはお互いの意見が合わなかったり、あるいはそもそも本音を言えなくて、すれ違いが生まれてしまうことはよくあるはず。お互いが十分に納得できるようコミュニケーションをするというのは、なかなか難しいように思えます。

そこでまずわたしは、自分の家庭において「納得度の高い状態とはどういう状態か?」を考えることにしました。

わたしの家庭のメンバーは「夫(30代)」「わたし(40代)」「子供(3歳)」の3人。子供はまだ小さいので、家庭に対して「こうしたい」はまだないとして、「夫」と「わたし」、これが最小単位です。だとしたら、お互いがどういう状態になれば納得度が高く、良い家庭が築けている状態といえるのでしょう。

わたし自身のこれまでを振り返ると、仕事の場以外だと自分の意見を言うのが苦手で、どちらかというと相手の決定に委ねてしまうタイプ。それでも後から「あれはやっぱり……」と思い返して、不満を持ってしまうことがありました。

しかし考えてみる中で、それは「決定に対してのネガティブな反応」だったのではなく、「自分の意見を受け止めてもらえなかったことへのネガティブな反応」だったのでは? と思うようになりました。

つまり、Aという決定そのものに不満があったのではなく、自分の意見を十分に伝えられないままAに決まってしまったという「決定に至る過程」に不満があったのですね。

このことに気付いてからは、家庭において「遠回りでも、お互いの意見を全て出す」ことを意識しました。もちろんお互いが正直に意見を言っていく中で、ぴたっと意見が一致することは多くありません。

反対の意見もあるでしょうし、どっちつかずな、意見ともいえない感想のようなものもあります。でも、まず大切なのは「話し合っている課題に対して、お互いがちゃんと言いたいことを口にできている状態」かどうか。

これを意識することで、結論、自分がいいなと思っていた選択肢にならなかったとしても、過程がきちんと共有されているので、お互い納得感を持って同じ方向を向けるようになりました。時間はかかりますが、ここで優先するのは「お互いの納得感」です。じっくり話し合う価値のある時間だと思います。

自分たち家族は何を最優先にして生きたいか? を考える

「お互いの意見を出し合った上で何を優先して判断をするか」というのは、わが家の場合、割とシンプルな理由で決まりました。

子供が生まれるとき、いろいろな話をしていく中で、「子供が生まれても、まずはお互いを一番大切に考えよう」と夫が明言してくれていたのです。

もちろん子供は大切な存在ですが、いつかは親の手を離れていくでしょう。一方でわたしたち夫婦は、この先も一生家族として連れ添っていくことになります。であれば、わたしが生涯優先すべきなのは、パートナーである夫です。逆に、夫もわたしがつらかったり悩んだりしている状態は本意ではないはず。そういうときは遠慮なく頼っても良いのだ、と受け入れることができました。

わたしの家庭ではこのように考えていますが、もちろん、子供がおられるご家庭で「配偶者が一番」というのがしっくりこないケースもあると思います。

そういう場合は、「こういう家庭がいいな」のイメージよりも、「こういう家庭は嫌だな」から始める方法もあると思います。

選択肢が多い現代ですから、「こういう家庭が理想」のサンプルがあり過ぎて、自分たちにはどれがマッチするのか、分からなくなることもあるはず。ただ、その場合でも「夫婦の会話が少ないのは嫌だな」とか、「勝手にどちらかがワンマンで決めてしまうと納得がいかない」みたいな、「こういうのは嫌だな」といったイメージは湧きやすいのではないでしょうか。

まずネガティブな像を思い浮かべるのは、あまり楽しい作業ではないかもしれませんが、「嫌だな」が浮かんでくれば「その逆ってどんな状態なんだろう?」は想像しやすくなってきます。

「分かっているはず」ではなく、言葉にして共有することの大切さ

そこまで考えが進んだら、きちんと言語化して相手に伝えるところまでがセットです。「何か物事を決めるときには、わたしの意見も取り入れてほしい」とか、「こうしてほしい」という思いは、言葉にしないと相手に伝わらないのです。

少し変わった例えになってしまいますが、これは臓器提供意思表示カードのようなもので、明示しようとして初めて分かる「自分の価値観」なのだと思います。まず問いがあり、それに対して自分の考えを明確にすることで、自分のスタンスが見えてくる。あとはそれを家庭の共同運営者であるパートナーにきちんと伝えておくのです。

もちろん、伝えたところで「コミュニケーションをしっかりとって家庭を運営するなんて、面倒だよ」と反論されるかもしれませんし、相手が最初から乗り気ではないこともあるかもしれません。でも、そこで諦めず、「ベスト」ではなくても「ベター」を探し続けるのが大切。

パートナーから思わぬ意見を言われたとき、反射的にネガティブな態度を取ったり、茶化してしまったりするタイプの人もいます。それでもいいんです。相手が最初はネガティブな態度を取っていたとしても、こちらが繰り返し伝えることで「あ、本気なんだ」ということが分かってもらえればいいんだ、くらいの気持ちで伝えていきましょう。

なぜなら、人それぞれ価値観が異なるので、一度言っただけで相手に完全に伝わるということはなかなか難しいもの。でも、それでも諦めずに言葉を尽くし、自分を分かってほしい、相手のことも分かりたい、とコミュニケーションを続けることが、家庭においては本当に本当に大切なのだなと感じています。

二人で「より良い解決策を一緒に探す」

コミュニケーションに「これ!」という正解はありません。

また、選んだ手段が必ずしもベストとは限りません。それでも、常によりよい解決策を探し続ける努力ができる相手だからこそ、パートナーとして長く、一緒にやっていけるのではないかと思います。そして出た結論の正誤よりも、そのプロセスで共有できた「考え方」や「価値観」が、二人の財産になっていくのだろうと思います。

わが家は二人とも長男・長女のため、いずれは「両親の見送り」「実家の始末」や「お墓」問題がやってきます。もちろんお互いのどちらかが病気になることもあるでしょうし、年の差夫婦でもあるので、先にわたしの体にガタがきて、働けなくなってしまう……ということもあるかもしれません。

でもそういうときでも、夫が言ってくれた「まずは夫婦がお互いを一番大切にすること。子供や親はその次」という言葉が、道標のようにわたしたちの未来を照らしていてくれる。

そしてその言葉を見つけるまでに交わしたお互いの意見や気持ちも、また大きな財産の一つになるだろうと感じています。

今日はそんな感じです。

チャオ!

編集:はてな編集部

はせおやさい
はせおやさい

会社員兼ブロガー。仕事はWeb業界のベンチャーをうろうろしています。『サイボウズ式』にて連載中。一般女性が仕事/家庭/個人のバランスを取るべく試行錯誤している生き様をブログ「インターネットの備忘録」に綴っています。

Twitter@hase0831 はせおやさいさんの記事をもっとみる

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