老人ホーム入居前と後で変化したこと1位は? 変わりゆく老人ホーム

老人ホーム、介護施設に入居した後の生活についてイメージが湧かないという方は多くいらっしゃるようです。そこでLIFULL 介護では大規模なアンケート調査を行い、老人ホーム入居後にご家族やご本人にどのような変化が訪れるのかを伺いました。また、ご家族や親族など近しい方が老人ホームに入居することで、老人ホームへのイメージはどのように変化したのでしょうか。調査レポートとLIFULL 介護編集長小菅のコラムをお届けします。

90.7%の介護者が入居施設に満足している

ご家族、親族が入居した介護施設への満足度を介護者へ聞いたところ、「とても満足」(17.0%)、「満足」(39.4%)、「どちらかといえば満足」(34.3%)と、合わせて90.7%の介護者が満足していると回答しました。

介護者から見て、被介護者の約85%が満足しているようだと回答

一方で回答者から見て、入居した被介護者(入居者)本人は介護施設に満足しているかを聞いたところ、「とても満足」(15.1%)、「満足」(33.8%)、「どちらかといえば満足」(36.3%)と、こちらも85.2%が満足と答えています。双方にとって納得のいく介護施設に巡り合えたと感じる方は多いようです。

介護者の3人に1人が入居によって「精神的負担が軽くなった」と回答

介護者に、被介護者が入居してからの変化を尋ねたところ、「精神的負担が軽くなった」という回答が34.8%を占め、トップになりました。3人に1人以上が感じており、大きな変化として見逃せない結果です。2位が「介護疲れが解消した、体力を取り戻した」(19.5%)、3位が「夜眠れるようになった」(15.9%)という回答となっており、自宅での介護生活が介護者に与えていた影響の大きさをうかがわせる内容となっています。

「経済的な負担が重くなった」(14.6%)といったネガティブな回答もありましたが、全体的にはポジティブな変化が目立つ結果となりました。一方で10位には「経済的な負担が軽くなった」(7.8%)といった相反する回答も入っており、経済的な負担に関しては自宅でどのような介護を行っていたかによって左右されるともいえるのではないでしょうか。

また、「家族間の関係が良くなった」(15.6%)、「被介護者との関係が良くなった」(12.9%)といった回答も目立ちます。入居によって関係性が改善されたのは、被介護者にとっても、介護者にとっても入居が良い変化をもたらしていると考えられます。

被介護者の入居後の変化では精神面でポジティブなものが多く見られる

一方で、入居してからの被介護者(入居者)の変化について介護者に聞いてみると、「笑顔が見られるようになった」(17.7%)、「性格が穏やかになった」(17.7%)、「明るくなった」(16.1%)、「よくしゃべるようになった」(15.1%)と精神面でのポジティブな変化が上位を占めました。介護施設へ入居することで、規則正しい生活が送れ、介護職員や他の入居者など家族以外との交流が増え、心身の状態が安定したことがうかがえる結果となっています。

一方、「体力が落ちて、動けなくなった」(12.5%)といったネガティブな変化についての回答も残念ながら一定数存在しました。こうしたネガティブな変化について回答されている方は前述の満足度に関する質問に対しても「どちらかと言えば不満」「不満」「とても不満」と回答されている傾向にありました。

特に顕著なのが「認知症の症状が悪化した」への回答で、施設に満足している方の回答は平均である8.9%よりも軒並み低いのに対し、施設に不満を持っている方の中では20%以上がこの変化について回答しています。

逆に施設に対して満足と答えている方の25%以上が「笑顔が見られるようになった」「性格が穏やかになった」「明るくなった」と回答。施設に対する満足度は入居者の変化と密接に関わっていると推測できます。

介護施設に対するイメージは、入居後に改善。特にスタッフへの印象が好転

介護者が介護施設に抱いていたイメージが、家族や親族の入居前後でどのように変化したかを聞きました。結果として、ポジティブなイメージには6項目すべてが向上し、ネガティブなイメージについては6項目すべてで低下しました。

イメージの悪い項目について見てみると「高齢者へ尊厳と個別のニーズへの配慮が不十分」というイメージは入居前の10.0%から5.4%へ、「スタッフの対応やサービスに問題がある」は9.3%から5.3%へ、「ケアやサービスの品質が低い」は9.0%から5.1%へ、「施設内の環境や設備が悪い、不潔」は7.1%から3.2%へ、とそれぞれ約4ポイントずつ低下しています。

また、「社会的な孤立感や悲観的な雰囲気がある」について見ると、入居前の12.4%から入居後は5.0%と大幅に低下しています。

ポジティブなイメージについては「スタッフの対応やサービスがきちんとしている」が30.0%から36.4%と伸びています。実際に介護施設のスタッフが業務に従事している姿を見たり、やり取りをしたりしている中で介護者が施設のスタッフに抱くイメージが変わっていったことを示しているといえるでしょう。

LIFULL 介護編集長 小菅のコラム

「老人ホームにお願いしたいけれど親は入居を拒否している」そういったご相談をこれまでも多く受けてきましたが、ほとんどの方が、昔のネガティブな老人ホームのイメージを持っていらっしゃいました。相部屋が主流で、病院のような雰囲気の老人ホームを想起される方が多いようです。しかし、「老人ホームには入りたくない」とおっしゃる方をご見学にお連れすると、老人ホームへのイメージが変わり、入居に前向きになるケースは非常に多く見られました。

介護保険制度が施行されて以降、民間企業の参入により老人ホームは建物もサービス内容も洗練されていきました。現在は価格帯に関わらず、自宅のような安心感が持てる居室で、入居者の尊厳を保つケアが行われています。社会的な孤立感がある場所、というイメージが大幅に低減していた点に、時代による老人ホームの変化が現れていると感じました。

現在の老人ホームは多種多様です。パーキンソン病など、特定の疾病に特化したホームもあれば、有名ホテルの元料理長がいて、食事にこだわったホーム、また保育園等が併設された地域の多世代交流の拠点となっているホームなど、様々なホームがあります。そこで、入居を検討される際は、「空室がある/ない」「エリアや予算に合致する/しない」だけでなく、入居されるご本人の身体状態や趣味嗜好に合っているか、質の高い暮らしが送れるかどうかを念頭に置いて施設選びを行っていただきたいと思います。

また、入居後の被介護者の変化として「体力が落ちて動けなかった」、「認知症の悪化」と回答された方がいらっしゃいました。高齢者が急激な環境変化に適応できず心身に不調を来す状態はリロケーションダメージと呼ばれ、しばしば起こりうる問題です。こちらも、ご本人に合った施設選びや入居先スタッフのケアにより対策、軽減ができます。下記の記事を参考になさってください。

【調査概要】
調査時期:2023年7月4日~7月7日
調査対象:全国の20歳~79歳 男女2,000名 ※未既婚不問、有無職不問
・家族、親族の中で過去1年以内に介護施設入居者(*)がいる方
・家族、親族の介護施設の情報収集や選定に関与した方
*「介護施設」:介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホーム、軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、特別養護老人ホーム、グループホーム、ケアハウス、介護老人保健施設、介護療養型医療施設(介護医療院)
調査手法:インターネットによるアンケート調査

※調査結果・データは四捨五入しており、合計が100%にならない場合があります。

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