軽費老人ホームとは?ケアハウスなど種類の違いや費用、入居状況などわかりやすく解説
比較的少ない費用負担で利用できる軽費老人ホームですが、種類が複数ありそれぞれで受けられるサービスや対象が異なり理解するのが難しい側面があります。そこで、軽費老人ホームの概要や費用、A形・B型・C型(ケアハウス)などの種類の違いを解説します。
軽費老人ホームとは?
軽費老人ホームとは、社会福祉法人や地方自治体などが運営する福祉施設のことです。自治体の助成を受けて有料老人ホームよりも比較的低い利用料でサービスを提供し、生活に対する不安のある自立あるいは要支援の高齢者を受け入れています。
身寄りがない、家庭環境や経済状況などの理由により、自宅での生活が困難な高齢者が暮らす施設を目的としているため、軽費老人ホームの役割は、基本的に「生活」のサポートです。
軽費老人ホームの主な種類の違い
生活サービス | 食事提供 | 介護サービス | |
---|---|---|---|
A型 | 〇 | 〇 | ✕ |
B型 | 〇 | ✕ | ✕ |
C型 (ケアハウス) 一般型 |
〇 | 〇 | ✕ |
C型 (ケアハウス) 介護型 |
〇 | 〇 | 〇 |
軽費老人ホームには、提供されるサービス内容などの違いからいくつかの種類があります。主に食事を提供する「A型」と、食事を提供しない「B型」があり、さらに「C型」と呼ばれるケアハウスがあります。
A型とB型は高齢であることを理由に生活に不安がある方に向けられた施設であるのに対し、C型(ケアハウス)は身体機能の低下を理由に生活に不安がある方に向けられた施設でもあります。そのため、C型(ケアハウス)はさらに自立状態の方を対象にした一般型と介護サービスを望む方を対象にした介護型の2つにも分けられます。
なお、A型とB型は1990年以降新設がされておらず、順次C型(ケアハウス)の基準に則った施設に切り替えを行っています。そのため、今後はC型(ケアハウス)のみとなるという考えもあります。一方で近年、従来の設置基準の緩和により、大都市圏(東京都など)において低額で利用できる、「都市型軽費老人ホーム」も誕生しています。
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軽費老人ホームの費用
入居時費用 | 月額費用 | |
---|---|---|
A型 | 0〜30万円 | 6万~17万円 |
B型 | 0〜30万円 | 3万~4万円 |
C型(ケアハウス) 一般型 |
0〜30万円 | 7万~13万円 |
C型(ケアハウス) 介護型 |
数十万~数百万円 | 16万~20万円 |
軽費老人ホームA型・B型・C型(ケアハウス)一般型の入居には、保証金を求められることはあるものの入居時費用は不要なケースが多く、月額費用が必要になります。
なお、月額費用は、居室の設備、世帯収入や課税状況によって差があるものの、A型でおおよそ6万~17万円、B型でおおよそ3万~4万円、C型(ケアハウス)一般型でおおよそ7万~13万円と有料老人ホームなどと比較しても費用は抑えられています。
一方のC型(ケアハウス)介護型は、介護度に合わせた介護サービスを施設の職員が直接提供していることから、対応する処置やサービス内容に応じて介護サービス加算などが発生します。
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軽費老人ホームの入所条件
条件 | |
---|---|
年齢 | 65歳以上 |
介護度 | 自立~軽度の要介護 |
認知症 | 基本的に対応なし |
共同生活 | 必須 |
収入/資産 | 少ない方を優先 |
軽費老人ホームの入居基準は、原則、60歳以上の高齢者または夫婦のどちらか一方が60歳以上、自分で身の回りの世話ができるという基本条件のほか、「共同生活に適応できる」「月収が34万円まで」などの条件があり、「身寄りがない」人の受け入れ可否などが、地域や施設によって様々で、詳細は施設に問い合わせる必要があります。
軽費老人ホームで提供されるサービス内容
軽費老人ホームで提供されるサービスは、介護職員による見守りのほか、A型における食事の提供などです。
食事や排泄の介助といった介護サービスは基本、提供されておらず、見守りや外出時のサポートといった生活援助中心のサービスとなっています。
ただ、一部の施設では、外部の事業者による見守り、食事・掃除・洗濯の世話、緊急時の対応、入浴・食事・排泄の介護などのサービスを受けることができます。
生活の援助 |
身体の介護 |
身体の機能回復 | 医療処置 |
---|---|---|---|
○ | △ | × | × |
軽費老人ホームの設備
軽費老人ホームは、居室、浴室・トイレなどの共同設備、共同生活室などで構成されます。
居室は原則として1人入居用の個室ですが、夫婦用の2人部屋が用意されている施設もあります。
また、食事が提供されないB型には、食堂が設置されず、居室内にトイレやキッチンが設置されています。
共同生活室の仕様は施設によって様々ですが、館内は基本バリアフリー設計です。
居室 | 個室 |
---|---|
食堂・リビング | あり |
浴室 | 通常浴室 |
機能訓練室 | なし |
健康管理・相談室 | なし |
洗濯室 | あり |
居室内トイレ・キッチン | あり |
理美容室 | なし |
軽費老人ホームの入所手続
軽費老人ホームへの入居の申し込みは、各施設に行います。
入居申込書の提出、訪問あるいは来訪による面談の後、住民票・健康診断書・所得証明書などの必要書類を提出し、面談の結果を施設スタッフなどが、「要介護度」「介護の必要性」「介護者の状況」「資産や収入額」などから、総合的に判断して、入居が決定されます。
軽費老人ホームのメリット・デメリット
メリット
- 所得が低い場合は、それに応じて利用料も安くなる
- 自治体の助成制度がある
- 他の介護施設に比べて自由度が高い
デメリット
- 要介護状態には基本対応しない(地域・施設により対応するケースも)
- 居室面積の狭いところが多い
- 入居難易度が高いケースもある
軽費老人ホームの役割は、基本的に「生活」のサポートであり、常時介護が必要な状態になった場合、施設によっては特別養護老人ホームや介護付有料老人ホームなどに移らなければならないケースもあります。入居前の時点より他施設の情報もぜひあわせてご確認ください。
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この記事の制作者
監修者:森 裕司(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、障がい支援専門員)
株式会社HOPE 代表取締役
医療ソーシャルワーカーとして10年以上経験した後、介護支援専門員(ケアマネジャー)に転身。介護の相談援助をする傍ら、医療機関でのソーシャルワーカーの教育、医療・介護関連の執筆・監修者としても活動。近年は新規事業やコンテンツ開発のミーティングパートナーとして、企業の医療・介護系アドバイザーとしても活動中。