老人ホームはどのような運営がされているのか、実態について知らない方も多いのではないでしょうか?そこで、LIFULL 介護では2021年9月17日に、老人ホーム運営会社が登壇するウェビナーを開催しました。
運営会社の視点から見た「いい老人ホーム」とは?さらに虐待を防止するためのスタッフ教育や、入居後のトラブル事例など、気になっていてもなかなか聞けない話題をたっぷりお伺いしたウェビナーの中から、 ALSOK介護株式会社のご担当者にお話しいただいた内容をレポートします。
ALSOK介護株式会社は埼玉県を本社とし、1998年に設立されました。関東を中心に331の事業所でグループホームや介護付き有料老人ホームなど複数の種類の介護施設を運営しています。「一日一笑」をテーマに介護に取り組んでおり、健康促進を目的とした「ALSOKあんしんヨガ」などの体操を実施し、笑顔あふれる時間を提供しています。セキュリティ会社のノウハウでシニア向けの見守りサービスも展開し、高品質なワンストップ介護サービスの提供で、発展を続ける企業です。
笠原さん:一番にあげられるのは、やはり職員です。施設のきれいさや入ってすぐに感じる雰囲気などいろいろあると思いますが、接遇ができている老人ホームかどうかをまず見分けたいですね。まずあいさつや笑顔がきちんとできているかがポイントです。あいさつができていないところに預けたいとは思わないですよね。
人と人のつながりが老人ホームにおいては一番重要だと思っています。職員同士のコミュニケーションが取れていれば、笑顔が増えて、施設の雰囲気が良くなります。施設の雰囲気が良くなれば離職も減ります。こういったつながりができていれば、いい老人ホームだと言えると考えています。
見学の際には、職員の笑顔が引きつっていないかを見てみてはいかがでしょうか。今はマスクをしているので、目が笑っているかどうかを見るといいですね。職員とご利用者さまの関係を見てみるのがお勧めです。
笠原さん:ALSOK介護株式会社の事業は“人財”によって支えられています。高い知識と能力を持つ人財の育成が最重要だと考え、人財開発センターを設立しました。研修所は実際に私たちが使っていた介護施設を利用しているので、実践的な環境で学べます。年間60回以上のプログラムで、新人研修やキャリア研修、職階別の研修に取り組んでいます。また、高齢者虐待、身体拘束については、各施設で後から見返せるように毎回会議録を作成して、全員に周知できるような研修体制を整えています。
笠原さん:トラブルの内容はどこの高齢者施設でも一緒かなと感じています。最近あったのは騒音トラブルですね。高齢になると耳が遠くなることがあるので、テレビやラジオのボリュームを大きくしてしまいがちです。それで、隣の人にうるさいと言われてしまうトラブルが発生してしまいます。ご本人に自覚がないこともあるので、職員から声がけをしながら、状況を変えるように対応しています。
笠原さん:ご相談で一番多いケースですね。私の見学対応の経験では8割ぐらいの方からそういった相談があります。入居されている方の1~2割の方はご自身でご理解されて入居していますが、正直に申し上げると、納得されていないまま入居している方がほとんどかなと思っています。ただ、最初は嫌がって入ったとしても、気の合う友達を見つけたりして馴染むケースもあります。
ここで大事なのは、入居拒否をどう考えるかです。ご本人の気持ちを大事にしたいというのはよく分かりますが、納得してもらえるまで家で介護ができる状況でしょうか。ご家族さまが無理をして介護をしていませんか。目を離しても安全でしょうか。ご本人さまの命を守れますか。
介護施設に預けることは、決して見捨てることではありません。介護施設はあくまでもサポートする場だと考えていただければいいと思います。介護施設だけでは介護はできません。ご家族さまのサポートがないと介護は成り立たないと私は考えています。私たちはご家族さまとご本人さまの生活を守るためにサポートさせていただくので、ご家族さまも介護職員をサポートしていただければと思っています。
入居拒否は必ずあります。ご本人のお気持ちも大切ですが、ご家族さまの状況も考えて、どこかで踏ん切りをつけることが重要です。もし、入居拒否の時のお話の進め方を詳しく知りたい方がいらしたら、ぜひ相談していただければと思います。
ALSOK介護株式会社では全施設共通で、緊急事態宣言下では面会を中止させていただいていました。ただし、あまり状態の良くない方や看取りの対応などでは、特例で面会できるようにしています。もちろん、リモート面会や窓越しでの面会は可能にしていて、予約制でお時間を決めています。他のご利用者さまもいらっしゃるので、ご家族さまにはご理解いただいています。今後もワクチンの接種状況など、その時々の社会の状況に合わせて柔軟に対応を変化させていこうと考えています。
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