老人ホームはどのような運営がされているのか、実態について知らない方も多いのではないでしょうか?そこで、LIFULL介護では2021年9月17日に、老人ホーム運営会社が登壇するウェビナーを開催しました。
運営会社の視点から見た「いい老人ホーム」とは?さらに虐待を防止するためのスタッフ教育や、入居後のトラブル事例など、気になっていてもなかなか聞けない話題をたっぷりお伺いしたウェビナーの中から、株式会社リエイのご担当者にお話しいただいた内容をレポートします。
株式会社リエイは1980年に設立されました。千葉県を本社とし、関東を中心に59の事業所で介護施設を運営しています。施設に入ってもできるだけ自由な暮らしができるようにと、かたちのないホスピタリティにこだわり、介護に取り組んでいます。
手掛けている老人ホームブランド「コンシェールシリーズ」ではハイグレードな暮らしができるよう、リエイ独自のリラクゼーションサービスも実施。創業から食にもこだわり、施設では選択できる料理や薬膳料理などを提供しており、入居者の方々にも好評だそうです。「おもてなしの心をアジアに」と、中国でも施設を展開しています。
小川さん:館内の清潔感など、基本的な第一印象が大事です。消毒液の臭いがしていないか、来た方を迎えるスタッフの表情は明るいかなど、入居者さまへの日々対応が見えてくると思います。相性が大切だと思うので、第一印象や直感も大切にしてほしいです。
「お母さんはあの人たちとリビングで一緒におしゃべりできそうだな」「お庭でガーデニングをしたら楽しんでもらえるかな」というように、入居後の生活がイメージできれば、その方に合っている老人ホームだと言えると思います。
小川さん:身体拘束ゼロが基本で、研修や身体拘束廃止委員会も各施設で実施しています。施設の風通しが悪くなってしまうと問題が見過ごされてしまう可能性がありますので、本部の職員が月に1度必ず施設に行っています。悪いところをチェックするという意味ではなく、職員の動きで良い事例があれば、みんなで共有して学んでいく事例検討会を行なっています。
各施設にはケアマネジャーや介護リーダーは1人しかいませんが、各施設から集まって研修を行い、それぞれの立場の悩みを共有しています。仲間や同期が他の施設で同じ悩みを抱えているということが分かるだけでも、気持ちの面のモヤモヤが解決できることがあります。そのため、同じ年次での研修も行なっています。オンラインでの研修にも最近では力を入れていますね。
小川さん:入居相談員としてご相談を受ける中で「老人ホームに入るとやりたことが何もできないから嫌だ」「自由気ままに生活したい」というお話をいただくことがあります。そこで「同じ生活というのはどのような生活でしょうか?」と伺います。どういった生活をイメージされているのかがポイントです。ご高齢者の方の自由な生活というのは、20代の若者たちの自由な生活のイメージとはまったく違います。お話を聞くと、「散歩に行くのが日課だから毎日散歩に行きたい」「お風呂が大好きだから毎日入りたい」といったお話が出てきます。そして、それができるということがわかると、大体の方は安心してくださいますね。
小川さん:ご家族さまとしっかりコミュニケーションを取って、信頼関係を築くことを大切にしています。ご家族さまはご本人さまから電話があると、とても心配されます。特にご入居直後は不安が強いので、1週間ぐらいはご家族さまにこまめに連絡を入れます。ちゃんと夜に眠れていますよ、お家に帰りたい気持ちが強いけれどこういうふうにお話ししていますよ、などとこちらからご報告するだけでも安心していただけます。また、月に1回、ご請求書をお送りする際に最近のご様子がわかるお写真を入れて、なかなか会えない方にも安心いただけるように工夫しています。
小川さん:コロナの対処法がまだはっきりしていない初期の頃から、ご家族さまからは直接会いたい、様子を知りたいというご要望が多かったです。私たちの施設は外出して自由にご家族と会ったりできますし、ご家族さまが泊まれる施設もあるので、行動が制限されてしまうことはご入居者さまにとって大きなストレスでした。
今は考えられるできる限りの対策を取って、ご希望を叶えられる努力を常にしています。基本的には対面での面会を実施しています。外に面した窓を開けられて、一方通行で風が流れるようなお部屋がある施設では、換気をしながらパーテーションを立てて面会をしています。
高層マンションにあるような施設でそれが難しい場合は、パーテーションでお部屋を作る、あるいはガラス越しでの面会を実施しています。今後もできる限り安全な対策を取って、ご希望を叶えていきたいと思っています。
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