世界的な行動自粛に伴って、今、急速に各オンラインサービスが普及しているそうですね。
かくいう私も、必要最低限の外出以外はせず、動画視聴サービスで映画を見たりアプリで漫画を読んだりして暇をつぶしています。
でもね、ふと思ったんです。「シニアの方々はどう過ごしているんだろう」って。私の親は60代半ばでスマホやタブレットにも慣れているので、なんやかや時間を潰しているだろうと思うのですが、心配なのは高齢者施設で暮らしている95歳の祖母。
コロナ禍の影響で、数少ない施設でのコミュニケーションも削られてしまい、相当時間を持て余しているんじゃないかと思うのです。況や一人暮らしのシニアはもっと深刻な状況なのではないでしょうか。暇は不安を呼びますし、不安はフィジカルにも影響するので心配ですよね。
そこで今回は、インターネットさえあれば家の中で楽しめる、シニア(主に70代後半〜80代以降)向けエンタメについて、ひとつひとつ私が実際に体験して吟味したものをご紹介いたします!
手や身体を動かしているときや、テレビを見る元気もないときなどに便利な「ラジオ」。インターネットでもさまざまなアプリから個性豊かな番組が登場しています。スケジュールが決まっているラジオと違って、聴きたいときに聴けるのが大きな魅力のひとつ。
今回は、Youtubeのようなカオスさが魅力の「Podcast」と、クオリティの高いシニア向け番組が豊富に取り揃う「NHKラジオ らじる☆らじる」から、おすすめの番組をいくつか紹介したいと思います。
日本でも2000年代後半にブームとなった「Podcast 」。実は今、アメリカで、スマートスピーカーの普及をきっかけにブームが再燃しているそうです。日本ではまだまだマイナーで、現状は意識の高いビジネスパーソン向けコンテンツが多めですが……。
とはいえ、マイナーだからこそ、Youtubeのように個性的な番組が揃っています。自分の好みに合う番組をディグる楽しさも、魅力のひとつになるはずです。
<著者おすすめ番組>
次におすすめするのは「NHKラジオ らじる☆らじる」。
インターネットラジオのメリットであるオンデマンド配信はありません(一週間程度の聴き逃し配信はある)が、さすが公共放送といいますか、大物ゲストや司会者が登場し、テレビのようにしっかりとした構成・クオリティの番組が取り揃っています。
<著者おすすめ番組>
次に紹介したい暇つぶしは、アプリで楽しむ「ゲーム」!
60〜70代の場合、スマホを日常的に使っている方が多いので、若年層に人気のゲームアプリでも、シンプルな動作のものであれば楽しめるはずです。
ただ、親や祖父母が80代以上なら、新しいことを覚えてもらうハードルはかなり高いですよね。それでもまだ、アプリゲームを楽しみのひとつに加えてもらえる可能性はあります。
ポイントは「これまでアナログでやっていたものを、デジタルに移行する」という考え方。
楽しく脳トレにもなるとシニアの間で流行っている麻雀や将棋、囲碁。探してみると、シンプルなものや、シニア向けとされているアプリもあります。
でもそれ以上に私が祖母におすすめしたいと思ったのは、「懸賞つき」のパズルゲーム。
私、ギャンブルってすごく大きなエンターテイメントだと思うんですよ。そして、シニアにはギャンブル好きが多い(←偏見)。その魅力はやはり、「チャンスを掴めるかもしれない!」という期待と高揚感を楽しめる点だと思うんです。
古からの暇つぶしの友・ナンプレ雑誌やクロスワード雑誌にも、答えが分かると応募できる懸賞がついていました。そして、それがあるからこそ、「もしかしたら欲しいゲーム機が当たるかもしれない」なんて夢中になって、問題を解くのにのめり込んだものです。
<著者おすすめアプリ>
などの「de懸賞」シリーズ
動画広告が突然表示されるトラップがないので、インターネットに慣れていないシニアでも安心して使えます。商品にはギフトカードや生活雑貨、食料品のほか、電化製品などもあり、なかなかに豪華。問題の難易度に合わせてポイントがもらえ、1ポイント一口として応募ができます。これならついつい「ギフトカードが当たったら孫にあげよう」なんて張り切って取り組んでくれそうです。
暇つぶしの王者「動画配信サービス」。ドラマやスポーツ、映画、時代劇、落語まで、「テレビで面白いのやってないな〜」なんてときにも好きな番組を選んで見ることができるのは大きなメリットですよね。
そこでオススメしたいのが「Amazon Prime Video」。月額500円で約1万本の映像作品を見ることができる上、追加で月額を払って加入できる「チャンネル」があり、好みの作品ジャンルを増強することも可能です。
<著者おすすめチャンネル>
ほかにも、
などマニアックなチャンネルもあり、かなり熱いことになっています。Prime Video。
タブレット慣れしていないシニアにとっては、動画配信サービスを使いこなすのもひと苦労かもしれません。でも、テレビのリモコン操作なら抵抗がない人は少なくないはず(うちの祖母もそう)。
そこで便利なのが「Fire TV stick」。Amazonが販売しているテレビ向けの動画視聴用端末で、テレビのHDMI端子に接続すればテレビで動画が視聴できるようになり、しかもそれを専用のリモコンで操作できるようになります。
現在、Wi-Fiのみ対応のFire TV Stick(4,980円)と、
Wi-Fi・有線両方に対応しており4K画質が楽しめるFire TV Stick 4K(6,980円)が発売されています。
ラジオにゲームに映像にと、いわゆるエンタメと聞いてパッと浮かぶものを紹介しましたが……、大人、特に女性の場合、暇をつぶすもののひとつに「コミュニケーション」も挙げられるんじゃないでしょうか。
そこでオススメしたいのが、スマホ操作が苦手なシニアでも簡単に操作ができる、スマートスピーカー。
各社からさまざまな商品が出ていますが、「シニアのエンタメ」にフォーカスするなら、Amazon Echo「Alexa」が現在の最適解じゃないかなと思います。
というのも、コミュニケーションに加え、月額500円で動画や音楽の見放題・聴き放題サービスも利用でき、豊富なアプリ(“スキル”と呼ばれるもの)を通してニュースやゲームなども楽しめるから。
コミュニケーション方法には、インターネット回線を通して電話ができる「電話」、前触れなしに通話ができる「呼びかけ」、音声でSMSのようなやりとりができる「メッセージ」の3通りがあります。これなら、電話だと躊躇する些細なやりとりが気軽にできたりと、コミュニケーションの頻度も上がりそうです。
また、Amazon Echoの大きなアドバンテージのひとつが、Amazon Prime(月額500円)に登録すれば、Prime Musicに登録されている200万楽曲の聴き放題が利用できる点。曲名やアーティスト名、ジャンル、年代などを伝えるだけで、「今聴きたい曲」を聴くことができます。ちなみに祖母が大好きな演歌歌手・三山ひろしの曲は51曲も入っていました。
また、スマホで言うところのアプリのような「スキル」という機能があり、ニュースや簡単なゲームなど、使いたいものを選んで利用ができます。
なかでもシニアにオススメなのが、画面付きの「Amazon Echo Show」。先述したPrime Video動画の視聴ができるだけでなく、顔を見ながらのコミュニケーションができるのが大きなメリットです。
操作していないときには、画面上にランダムに「こんなことを話しかけてみてください」と表示されるので、機械に対して受動的なシニアでも、少しずつ使い方を覚えていけるのも嬉しいポイント。
使用のハードルを下げるために、よく使う音声コマンドは、メモやノートに書きとめて見えるようにしておくといいでしょう。
<著者おすすめスキル>
昭和のニュースを伝えてくれるスキル。無料で毎週1記事、月額100円払えば毎週10記事のニュースが聴き放題となります。シニア向けのサービスだけあって、読み上げはゆっくり・はっきりしており、内容はストーリー仕立てになっているので、リラックスして聞くことができます。「政治、芸能、スポーツ(昭和の五輪含め)、流行」など、あらゆるジャンルを網羅しているので、「思い出」を思い出すきっかけにピッタリのコンテンツとなるはずです。
とはいえ、「うちのじいちゃんばあちゃんは、スマートスピーカーの操作すらも難しいだろうな……」という人も少なくないはず。そこでオススメなのが、コミュニケーションロボットの「BOCCO」。
スマホを持たないシニアとも、SMSのようなやりとりができるツールです。BOCCOについているのは、再生ボタンと録音ボタンの2つだけなので、操作はすごくシンプル!
たとえば私から祖母に「調子はどお?」と送るには、スマホの専用アプリから、テキストか音声でメッセージを送信します。すると、祖母側ではBOOCOが音と光でメッセージの受信を通知。
目の点灯が新着メッセージのサインなので、祖母は、それに気付いたときに再生ボタンを押すだけです。私がテキストでメッセージを送った場合はBOOCOがそれを読み上げてくれ、音声で送った場合はそのまま再生してくれます。また、祖母から私に「元気だよ」と送るには、録音ボタンを押してBOCCOに話しかけるだけ。
録音の保存や複数メッセージが溜まった場合の古いメッセージの再生機能はなく、最低限シンプルな動作でのコミュニケーションとなりますが、連携できる、振動・鍵の開閉・温度や明るさ・人感のセンサがあり、見守りにも便利に使えます。
「電話よりも気軽なコミュニケーションがとりたいけど、相手にスマホやスマートスピーカーを使ってもらうのは難しそう」「ついでに簡単な見守りもしたい」という場合に、強力なツールになってくれるでしょう。
この記事を書いている4月5日現在、すでに別居しているシニアの家族に会うことは大きなリスクとされており、これから機器導入というのはなかなか難しいかもしれません。
ただ、同居している場合やすでにデバイスだけはシニアの手元にある場合、また、「郵送+電話でなんとかフォローして使えるようにしてあげたい! 」という気概のある方、「平時に戻った暁には、ひとり暮らしの親・祖父母にぜひ教えてあげたい」と思ってくれる方には、この記事の内容がきっと役に立つはず。
インターネットを上手に使って、ぜひ、より楽しいシニアライフを過ごしてくださいね。
東京都在住のフリーライター。2013年より「旅」や「ローカル」をメインテーマに、webと紙面での執筆活動を開始。2015年に編集者として企業に所属したのち、2018年に再びライターとして独立。日本各地のユニークな取り組みや伝統などの取材をライフワークとしつつ、持ち前の探究心を武器に幅広いテーマで記事を手がける。
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