認知症の父さんと、まだ幼い長男のたー君を抱えたライターの岡崎杏里さんは、育児と介護を同時進行で行う、まさに「ダブルケア」の当事者です。
育児も介護も大変な状況がクローズアップされがちですが、幼い孫と認知症のじいちゃんが織りなす日々は、意外にも笑える場面が多かった!岡崎さんちの日常をお届けします。
介護者のサポート活動をされている方が、「介護する人の睡眠不足がストレスとなり、虐待に繋がることもある」とおっしゃっていました。「わかる、わかる!」と思いつつ、これ、育児においても同じことが言えるような気がしたのです。
そこで今回は、「介護」「育児」で、見過ごすことができない、睡眠不足によるストレスを、我が家でどう乗り越えたのかお伝えしようと思います。
たーくんが生まれたばかりの頃、2、3時間おきに授乳しないといけないため、私はコマ切れでしか睡眠が取れない日々が続きました。
育児においては誰しも通る道なのかもしれませんが、夜、ぐっすり眠れないというのは心身ともにかなりキツイものがあります。日中も頭がボーっとして、夜は眠れないことでイライラ。たー君のことをカワイイと思えなくなるほど、追い詰められていったのです。
「これはいけない!」と思った私は、夫のヒロさんに現状を相談しました。ヒロさんは、こちらがそんなにストレスを抱えているとは思っていなかったようです。やはり「キツイ」と言葉にして伝えることの大切さを痛感。
その結果、休日の日中にヒロさんがたー君の面倒をみることで、私はまとまった睡眠を取り、なんとか心身ともに平静を保つことができました。
また、父さんの介護でも似たようなことが起きました。じょじょに認知症が進み、夜も粗相をする父さんに対して、潔癖症気味の母さんは毎晩2、3時間おきに父さんを起こして、トイレに誘導していました。オムツを履き、防水シーツを敷いても、なぜかおしっこが漏れて布団を汚してしまっていたからです。
母さんはそんな生活に疲弊し、ストレスからか、父さんを怒りながらトイレに誘導するようになりました。父さんも、日中はデイサービスでボーっとすることが増えていたようです。
母さんは、そんな愚痴を当時のケアマネジャーに漏らしました。すると、より吸収力の高いオムツのことや、オムツカバーを併用すれば漏れづらくなるなど、布団を汚さない対策を教えてくれたそうです。さらに「寝ないで身体を壊すよりも、大変だけど、朝起きてから洗濯する方がいいのでは?」とのアドバイスも。
ケアマネジャーの言葉が心に響いたのか「もう、汚れてもいいから寝る!」と、最終的に母さんは開き直り、それから夜はぐっすり眠るようになりました。
「介護」や「育児」中の人であれば、誰しもの睡眠不足によるストレスを抱えてしまうと思います(ダブルケアであれば、ならさら…)。
そんなときは、キツイ現状を言葉にして伝え、家族や周りに協力してくれる人がいるならば、助けを借りることをおすすめします。そして眠れるときは、できるだけ余計なことは考えずにしっかり眠るようにするなど、ケアする側のケアも忘れないで欲しいのです。
茨城県つくば市出身。池袋の近くと横浜市の内陸部を経て、つくば市在住。書籍編集・ライティング→IT関連企業を経て、2009年よりフリーランスのイラストレーターとして活動中。
書籍・雑誌・WEB・広告などの媒体をメインにイラストを提供しています。著書に「赤子しぐさ」「赤ちゃんのしぐさ」(共著)があります。
ダブルケアラー(介護と育児など複数のケアをする人)として、介護に関する記事やエッセイの執筆などを行っている。2013年に長男を出産。ホームヘルパー2級。著書に23歳から若年性認知症の父親の介護、ガンを患った母親の看病の日々を綴った『笑う介護。』や『みんなの認知症』(共に、漫画:松本ぷりっつ、成美堂出版)などがある。
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