子ども時代の経験が高齢期の孤立に影響?閉じこもりリスクは1.5倍

子どもの頃に虐待や家族の機能不全など、厳しい環境で育った人が高齢期に孤立するリスクが高いことが慶応義塾大学、東京医科歯科大学、千葉大学との共同研究で明らかになりました。

この記事では、その詳細と、高齢期の健康維持・促進に向けた対策について解説します。

このニュースは生成AIを使用しLIFULL seniorが提供しているコンテンツです

子ども時代の逆境経験と高齢期の孤立リスク
 

子どもの頃に虐待や家族の機能不全などの逆境経験があると、生涯にわたって健康リスクが残ることが明らかになっています。

新たな研究では、これらの逆境経験が高齢期の社会的つながりにも影響を与える可能性が示されました。

65歳以上の高齢者21,385人を対象にしたこの研究では、子どもの頃の逆境経験が2つ以上ある人は、逆境経験が全くない人と比べて、閉じこもりリスクが1.5倍、社会的ネットワークの小ささが1.2倍、友人・知人と会う頻度の低さが1.06倍であることが明らかになりました。

逆境経験の種類と社会的つながり
 

さらに、7つの逆境経験(親の死亡、親の離婚、親の精神疾患、家庭内暴力の目撃、身体的虐待、精神的虐待、ネグレクト)を種類別に見ると、ネグレクトはあらゆるタイプの社会関係(閉じこもり、社会的ネットワークの小ささ、友人知人と会う頻度の低さ、趣味やスポーツ関係の組織参加の低さ等)と関連していました。

高齢期の健康維持・促進への対策
 

研究によって子どもの頃の逆境経験がある高齢者は、高齢期の社会的つながりが弱くなる可能性が示されました。

高齢者の健康維持・促進には社会とのつながりをつくる支援が重要ですが、現在、逆境にある子どもをしっかりとケアすることが、将来の高齢者の孤立防止に有効である可能性が示されたとも言えます。


 

LIFULL 介護編集長 小菅のコメント

孤独が健康に与える影響についての研究が世界中で進んでおり、孤独を感じることが一日にタバコ15本を吸うことに匹敵する健康被害をもたらすという結果は有名な話です。

今回の研究では、子ども時代に虐待や家族の機能不全などを経験した人は、その後の人生で健康リスクだけでなく、社会的リスクも大きくなることが明らかにされました。

これは特に独居高齢者にとって深刻な問題といえそうです。

周囲に協力者がおらず、日常生活の小さな困りごとにも対処できない人もいます。

そのため、行政や地域社会が連携し、高齢者の社会的孤立を防ぐための取り組みが急務でしょう。

一方で、近年は宅配業者による安否確認サービスが増加しています。

例えば郵便局、宅急便、牛乳配達などが「見守り・安否確認」をセットにしたサービス提供を開始しました。

また、お弁当などの配食サービスも高齢利用者の多いサービスの一つです。

宅配業者が本人に手渡しする際に世間話をし、もしも困りごとがあれば家族や専門機関に繋ぐ。

このように、社会との適度な距離感を保ちつつ、困りごとがあれば生活を支える。

こうしたサービスのニーズはますます高まりそうです。

情報出典元

子どもの頃の逆境経験が多い高齢者は 孤立のリスクが大きくなるのか(JAGES Press Release)

編集長プロフィール
小菅秀樹
小菅秀樹 LIFULL 介護編集長。老人ホーム、介護施設の入居相談員や入居相談コールセンターの管理者を経て現職に就任。「メディアの力で高齢期の常識を変える」をモットーに、さまざまなアプローチで介護関連の情報を発信しています。

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