多くの日本人にとって、長年の課題である英会話。近年は様々な英語学習サービスが登場し、学び直し需要も高まっています。
今回は、キャリアにおける英会話の重要性や、学び直し需要が高まっている背景について、株式会社レアジョブの執行役員 Chief Marketing Officer M&B(マーケティング&ブランディング)戦略本部 本部長の福田侑也氏に話を聞きました。
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-近年、40代から英語を学び直す方が増えているそうですね。
ひと昔前までは「転職できるのは35歳まで」と言われていましたが、最近はそうではなくなってきています。実際に、ここ数年、35歳から40歳前後の方々の転職率が非常に高まっているのです。この要因の一つには、コロナ禍の影響などにより早期退職募集が多くなってきていることが挙げられるでしょう。また、定年年齢が将来的に70〜75歳になることを考えれば、40歳というのはキャリアの「折り返し地点」に過ぎません。
一方、採用する会社側にも「即戦力」を欲しているという事情があります。これは優秀な人材ほど顕著なのですが、新卒や20代の若手を採用しても、育成してようやく戦力になったと思ったら辞めてしまうというケースが多くなっているからです。ならば、40代、50代でも即戦力の人材を採用し、育成の手間をかけることなく4〜5年働いてもらえば十分なリターンを確保できる、という考え方にシフトする企業も増えているのです。最近では実際に60代の方でも、「スタートアップに転職しました」という事例が多くなっています。
こうした働き方の変化によって、「長くなると同時に選択肢が多様化したキャリアをどう築いていくか」を真剣に考える方が増えています。その結果として、「英語の学び直し」需要が高まっているのではないでしょうか。
-キャリアを構築する上では、様々なスキルの選択肢があると思いますが、その中でも英語が選ばれているのはなぜでしょうか?
様々な理由があると思いますが、一つに日本のマーケットが縮小傾向にあることが挙げられると思います。ご存知のように日本は少子化の影響により、2020年と比較した際の生産人口が2060年までに半減、総人口も44%減ると言われています(※)。そうなると、単純計算ではありますが、同じマーケットを対象にシェアを維持し続けていたとしても、40年後には売上が半分になってしまうわけです。
※総務省統計局「『日本の統計 2022』第2章 人口・世帯2-1 人口の推移と将来人口」
多くの企業が、こうした状況を理解しているため、この 20 年間で日本企業の海外売上比率はどんどん高まっています。日本貿易振興機構のレポートによると、2000 年に 20%程度だったものが 2018 年には 60%近くになっているのです。
こうした状況を考慮すれば、海外向けの仕事が増えていく可能性は非常に高い。そうした中で、「本当に英語が話せないままで大丈夫なのか?」と考える人が増えているのではないでしょうか?ましてや転職を意識するのであれば、「英語が使えないこと」が自らの選択肢を狭めてしまうことになります。
これまでの英語は、「外資系に勤める一部のエリートだけに必要なもの」だったかもしれませんが、今後はもっと多くの人に必要になると思います。つまり、「英語が使えることで可能性が広がる」というよりも「使えることでキャリアの選択肢を狭めずにすむ」という状況になってきていると思いますね。
-様々なオンライン英会話サービスの中で、貴社の特徴はどのような部分でしょうか?
多くの日本人が、義務教育で基本的な単語や文法を学んでいるにもかかわらず、英語で会話することができない点に我々は課題意識を持っています。我々の登録ユーザーに対する調査でも過半数が基礎段階の言語使用者レベル(CEFR-A2以下)で、自立した使用者と言われるCEFR-B1以上に至っていない方が多くなっています。
この課題を解決するためには、「英語を使う機会」を提供する必要があります。弊社も当初は、低単価で英語を話す機会を提供することができれば、日本人の英語力は向上するだろうというところからスタートしました。実際に、弊社の代表の中村(中村岳代表取締役社長)も読めるし聞けるけど、話すのが苦手な状態」から、自社サービスを使い続けて、海外投資家などとやりとりができるようになっています。
その上で、現在のレアジョブは第二言語習得論に裏付けされたカリキュラムを提供することに力を入れています。逆にいうと、そうした理論に裏付けされないカリキュラムは提供していません。
世の中には、様々な英語学習サービスがありますし、今はSNSなどで自身の学習方法を発信している方もたくさんいます。確かに「映画やドラマを見続けるだけで会話できるようになりました」「この参考書を使うだけで上達しました」という人もいるでしょう。しかし、それらは万人にとって最適な学習方法とは言えません。
我々は、理論にそって学習体験を設計することで、利用者全員に納得してもらえる再現性の高い学習方法が提供できているのです。
-最近ではオンラインで英語話者と会話する機会を提供するサービスも多くなっています。
弊社の特徴として、講師陣がフィリピンに特化している点が挙げられます。
確かに、「英語を話す機会」を提供しているサービスは他社にもありますが、その多くは「教え方を知らない人」が講師になっています。つまり、第2言語習得のための理論など何も知らず、ただ「母国語だから話せます」「既に習得しているから自分では話せます」という人たちが教えているのです。
それに対して、我々はフィリピンに子会社を作り、6000人の講師をしっかりとした管理体制のもとで育成しています。そのため、講師たちがユーザーの状態に合わせた適切なフィードバックができることが弊社の強みです。
繰り返しになりますが、英語は「話す機会」を確保しなければ上達しません。しかし、こうした「機会の提供」はあくまでスタートラインであり、その上で正しい方向に努力するためのサポートが必要になります。英語を話すことがユーザーにとって、「成功体験」になるようにサポートし、適切なフィードバックができる講師陣の存在が弊社の強みの一つですね。
―ユーザーの満足度はどのようになっているのでしょうか?
満足度のアンケートはレッスン単位で取得しているのですが、この数値は年々高まっていて、5年前と比較すると、劇的に満足度が高まっているというのが現状です。以前、オンライン英会話をやっていた人も、クオリティが上がった今のレアジョブ英会話をぜひ体験してほしいですね。この背景には、先ほど申し上げた管理体制の構築によって講師の品質が強化されたことがあると考えています。
一方、年代で見てみると40代の人の継続率が非常に高くなっています。社会人経験も長く、すでに一定のスキルを持っている40代の方が、英語と既存のスキルを掛け合わせることで新しいチャンスを得やすいことが、一つの理由なのではないでしょうか。
-そういう意味でも40代以降の英語の学び直しには非常に価値がありそうですね。
確かに40代の方にとって英語の学び直しは、自身のキャリアを考える上で、コスパが良いと思いますね。先ほども言いましたが、これまでであれば、40代になると「60代の定年までどう逃げ切るか」といった考えになり、キャリアにおけるチャンスもめぐってきづらい状況だったかもしれません。しかし、キャリアが長くなればチャンスも増えます。
チャンスがめぐってきたときに「英語ができないから…」という理由で選択肢を狭めてしまうことがないように、「今さら遅いのでは?」などと考えることなく挑戦してみて欲しいですね。
また例えば、東南アジアのリゾート地では、英語が話せるドライバーと話せないドライバーで給料に大きな差がつくことがあります。それと同じように、コロナ禍が終わり、インバウンド需要が再び高まれば、大企業に勤めるような、いかにも英会話力が必要な職種でなくとも英会話力の有無が給与額に直結するような状況になるかもしれません。
そうした視点からも英語を学び直すことの価値は非常に高まっていると言えるのではないでしょうか?
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