資産形成の「はじめの一歩」に最適! つみたてNISAの仕組みと長期投資のメリットを解説

結婚やマイホーム、子どもの教育といった将来のライフイベント、さらにはご自身の老後に向けて、つみたてNISAを利用して資産形成を始める人が増えています。

つみたてNISAは、2018年1月に始まった少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度で、これから本格的に資産形成を始めていこうという方には利用しやすい制度となっています。

本記事では、つみたてNISAの基本的な仕組みと長期投資の考え方についてご説明いたします。

つみたてNISAを始める人が急増中?

2021年9月末時点でのつみたてNISAの口座数は472万口座と、3ヶ月前の417万口座から13.2%も急増しています(2021年12月24日付金融庁資料)。

3ヶ月で55万口座増えたことになるわけですが、単純に4倍して1年あたりにすると220万口座のペースで増加していることになり、どれほどすごい勢いなのかがご理解いただけるのではないでしょうか。

金融庁「NISA・ジュニア NISA 口座の利用状況に関する調査結果の公表について」(令和3年 12 月 24 日)より筆者作成

特に増加しているのが20歳代で、30歳~50歳代も6月末比で2ケタ以上の伸び率となっています。一方、すでに口座を開設している人が多いのは、30歳代が最も多く全体の28.4%、続いて40歳代の24.6%、20歳代の20.1%となっています。

利用者が急拡大しているつみたて NISA ですが、一体どのような制度なのか、確認していきましょう。

年間40万円まで最長20年間にわたり非課税で運用できる「つみたてNISA」

つみたてNISA制度の概要をまとめると次のようになります。

利用できるのは、日本に住んでいる20歳以上(口座を開設する年の1月1日時点)の方となります。2022年4月からは成人年齢が18歳に引き下げられますので、2023年以降は18歳以上の方が利用できることになります。

つみたてNISAでは2042年まで毎年積立投資を行うことができ、年間40万円まで最長20年間非課税で運用できます。

最長というのは、つみたて NISA は途中でお金が必要になった場合など、いつでも売却して引き出すことができますので、例えば2022年につみたて NISA で投資を行い、5年後に売却した場合にはその時点で非課税期間が終了するからです。

一度売却してしまうと、後からその分の非課税枠を再利用することはできません。

つみたてNISAで投資できる商品は、金融庁が定めた要件をすべて満たした、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託となっています。対象商品リストは金融庁のホームページで随時更新されていますが、最新の2022年2月28日時点では208本の投資信託が対象となっています。

一般的に国内で販売されている投資信託は約5,000本ともいわれていますので、208本まで絞り込まれているだけでも、かなり選びやすくなるのではないでしょうか。

投資対象としては、長期的に高いリターンが期待できる株式を含む投資信託となっています。

上の表にあるとおり、公募投信では、株式のみを対象とした投資信託が107本(国内44本、内外14本、海外49本)、株式に加えて債券など他の資産を組み合わせた資産複合型が94本(国内5本、内外87本、海外2本)となっています。

つみたてNISAでは1年に1つずつ40万円の非課税枠が設定されます

つみたてNISAでは最長20年間非課税で運用できるわけですが、もう少し具体的に確認していきましょう。次の図をご覧ください。

こちらの図ではつみたてNISAの制度が開始された2018年から書かれていますが、例えば2022年に初めてつみたてNISAを開始する場合で考えてみたいと思います。

2022年につみたてNISAで40万円積立投資を行なった分については、最長20年間、つまり2041年12月末まで非課税で運用を継続することができます。

途中で売却することなく、非課税期間満了の2041年12月末まで保有を継続した場合、NISA口座以外の課税口座(特定口座もしくは一般口座)に払い出されます。

例えば、投資した40万円が2041年12月末において70万円に増えていた場合、課税口座に払い出された後、2042年1月以降は購入価格が70万円として運用損益が計算されることになります。

つまり、2042年6月に80万円になっていれば70万円からの評価益は10万円、逆に60万円に値下がりした場合には評価損がマイナス10万円となるわけです。もともとの投資元本である40万円ではなく、非課税期間満了時の時価を基準にその後の損益が計算されていくことになります。

つみたてNISAを最大限利用して税金が200万円以上節税になることも

つみたてNISAで運用すると税金がかからないため有利だと言われますが、その金額は実際どのくらいになるのでしょうか。具体的な計算をしてみたいと思います。

ここでは、2022年に合計で40万円つみたてNISAで投資を行い、2022年末時点では損益がゼロ、つまり40万円のままだったとします。

そして2023年以降2041年末までの19年間の利回りが複利で3%だったとすると、次のように運用益は計算できますから、つみたてNISAでの利益は約30万円ということになります。

もちろん株式を対象とした投資信託ですから、毎年確定した同じ利回りが実現するということはありませんが、ここでは便宜上このように計算しているとご理解いただければと思います。

すると、課税口座で投資をしていた場合、税率は20%(復興特別所得税は割愛)ですから、30万円の2割、つまり6万円ほどの税負担が発生することになるわけですが、つみたてNISAであればこれがゼロになるというわけです。

ここでは利回りを3%として計算しましたが、ほかにも1%、5%、7%で計算すると次のようになります。

利回りが5%なら利益が2倍の約61万円となり、節税できる金額も2倍の約12万円となるわけです。

そして、2022年に投資した分と同様に、2023年、2024年……と20 年間にわたり毎年40万円を積立投資した場合の運用益と、節税額も併せて表に掲載しています。

もし利回りが5%であれば、投資した金額は40万円×20 年=800万円、運用益合計は約1,222 万円となりますから合計で2,000 万円強のお金になるというわけです。

一般的に株式の期待利回りは長期的には4~5%といわれていますので、つみたてNISAで年間40万円の投資を継続していった場合、節税できる金額が200万円を超える可能性も十分あるわけです。

長期投資で元本割の確率を低くし、しっかり資産形成していきましょう

実際に利回りがどのくらいになるのか、金融庁「つみたて NISA 早わかりガイドブック」から次のグラフを確認してみましょう。こちらのグラフは、1985年から毎月同額ずつ国内外の株式・債券の買付を行い、5年間もしくは20年間保有した場合の運用成果を示しています。

上のグラフが保有期間5年の場合、下のグラフが保有期間20年の場合です。横軸が運用成果、つまり実際の運用利回り(年率)となっており、縦軸がその運用成果が出現した頻度です。

保有期間5年の場合には、運用成果が10%以上となるなど非常に好調な場合がある一方、運用成果がマイナスとなる場合も一定割合で出現していることが確認できます。一方、保有期間が20年間になると、いずれも運用利回りは2%から8%の間に収まっており、マイナスとはならなかったという結果になっています。

これは過去のデータに基づくものですから、今後も決してマイナスになることはないということにはなりませんが、20年の長期保有により元本割れする確率が低くなる傾向があることはご理解いただけるのではないでしょうか。

資産形成の「はじめの一歩」につみたて NISA を

投資というと難しいもの、マーケットを見るなど負担が大きいものというイメージがあるかもしれません。

しかし、株式に投資をするということの本質は、短期的な株価の変動に応じて売買することではなく、その企業が生み出す利益の一部を得る権利を持ち続けることです。

積立投資という仕組みを利用すれば、誰でも大きな負担なく株式への投資を継続できますし、投資信託を利用することで幅広い銘柄に分散投資をすることが可能です。

つみたてNISAを利用することで、自動的にこのような条件が満たされることになりますので、特に投資が初めて、本格的な資産形成が初めて、という方には適切な制度だと思います。

まだ始めていない方は、ぜひご検討いただければと思います。

横田 健一
横田 健一 ファイナンシャルプランナー

大手証券会社にてデリバティブ商品の開発やトレーディング、フィンテックの企画・調査などを経験後、2018年1月に独立。「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで情報サイト「資産形成ハンドブック」を運営。YouTube「資産形成ハンドブック」配信中

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