老後資金のことを考える際に、最初に確認したいのが自身が受給できる年金の額でしょう。支給されるであろう年金の額を確認した上で、思い描く老後の生活における必要額とのギャップをどのように埋めていくのかを、考える必要があります。
この年金額を確認することができる「ねんきん定期便」が毎年、送られて来ていることをご存知でしょうか?この記事では、「ねんきん定期便」の見方などについて簡単に解説します。
厚労省のサイトの用語集において、「ねんきん定期便」は以下のように記載されています。
日本年金機構から毎年1回、国民年金や厚生年金の加入者に送られてくるもの。加入記録の確認などができる。
また、ねんきん定期便にはいくつか種類があり、以下の「節目の年」には通常のはがきではなく封書で送られてきます。
今回は、50歳以上の方に送られてくるはがきの見方について解説していきましょう。
表面の左側中央には現在の加入状況が続くと仮定した場合に、65歳から受け取れる老齢年金の見込み額が記載されています。「現在の加入状況」については、右側の「最近の月別状況です」欄で確認することができるので、記載内容を確認しましょう。
また、「老齢年金の見込額」の隣には70歳まで受け取りを繰り上げた場合の額も記載されています。老齢年金は、受給開始のタイミングを1ヶ月繰り下げるごとに受取額が0.7%増加します。そのため、最大5年間(60ヶ月)※の繰り下げで受取額が42%(0.7%×60)増えるというメリットがあります。
「できるだけ長く働き続けたい」といった希望を持っている方にとって、繰り下げ受給は有力な選択肢となるでしょう。
※令和4年4月からは繰り下げ期間が最大10年間となる予定となっている。
裏面のAの部分には、これまでの加入期間が記載されています。そもそも老齢年金の受給には、受給資格期間(保険料を納めた月数と保険料の免除を受けた月数の合計)が、最低120ヶ月に達しているという条件があります。
また、65歳前の特別支給の老齢厚生年金の受給(※1)には、厚生年金の加入期間が12ヶ月以上必要になります。
「会社で働いていた期間が含まれていない」など気になる点があれば確認しておいた方が良いでしょう。
※受給には生年月日の要件がある(男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日生まれ)。
Bの部分には年金の見込額が記載されています。この金額は、現在の加入条件が60歳まで継続するという仮定に基づいて算出されています。
また、記載されている見込額に含まれていない部分があることにも注意しましょう。それは、「加給年金」「振替加算」と呼ばれるものです。自分が支給条件に当てはまると考えられる場合は、別途確認しておいたほうが良いでしょう。
厚生年金保険の被保険者期間が 20 年以上ある人が、65 歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で、その人に生計を維持されている一定の配偶者または子がいるときに加算される。年金における「家族手当」と表現されることが多い。
加給年金額の対象者になっている配偶者が 65 歳になると、それまでに支給されていた加給年金額が打ち切られる。その際に、配偶者が老齢基礎年金を受けられる場合には、一定の基準により配偶者自身の老齢基礎年金の額に加算される。
ねんきん定期便よりも詳細な情報が知りたいという方は、「ねんきんネット」を利用すると良いでしょう。ねんきん定期便に記載されている「お客様のアクセスキー」を使ってねんきんネットのユーザ IDを取得することができます。このアクセスキーの有効期限は3ヶ月です。
この期限が切れてしまった場合や、ねんきん定期便が手元にない場合でも、マイナンバーカードがあれば 、政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」を経由してアクセスすることができます。また、日本年金機構からユーザIDをハガキで郵送してもらう方法もあります。
ねんきんネットを利用すれば、自身のパソコンやスマホから自身の年金額を確認することができます。また、ねんきん定期便は、今後も今の働き方が続くという前提に基づいて支給額が記載されていますが、ねんきんネットでは様々な働き方に応じたシミュレーションを行うことも可能になっています。
「人生100年時代」と言われる現代において、老後の資金計画を立てる必要性は高まっています。自身の年金の受給額を確認することは、その第一歩とも言えるのではないでしょうか?自身の理想の老後をデザインするために、ぜひ、ねんきん定期便とねんきんネットを活用してみてください。
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