1都3県の有料老人ホームの費用相場を調査。高級老人ホーム・低価格老人ホームが多い地域ランキングも発表

老人ホームは高級化と低価格化の二極化が進んでいます。「予算の中から安心できる入居先を見つけたい」、「人生の最期に便利で安心できるハイクラスな入居先を選びたい」というどちらのニーズにも対応できるよう各社がバリエーションのある施設、料金プランを用意しています。

では「高級老人ホーム」、「低価格老人ホーム」それぞれの価格の目安と、選択肢が多い地域はどこなのでしょうか?LIFULL 介護の掲載データから1都3県の費用相場と、「高級老人ホーム」、「低価格老人ホーム」がそれぞれ多い市区町村を調査しました。

「高級老人ホーム」は入居一時金1000万円以上の料金プランを持つ有料老人ホームを集計し、「低価格老人ホームは」全国の有料老人ホーム費用相場(2024年9月時点の入居一時金660万円、月額費用24.9万円)よりも安い、入居一時金500万円以下、月額20万円以下の料金プランを持つ施設を集計しています。

東京都

東京都の有料老人ホーム費用相場

入居一時金 月額
高級老人ホーム 24,495,000円 336,690円
低価格老人ホーム 495,000円 170,640円
「高級」-「低価格」の差額 24,000,000円 166,050円

東京都の有料老人ホームの費用相場を高級と低価格で比較すると、入居一時金には2,400万円、月額には16万6千円程度の差があることがわかりました。

高級老人ホームが最も多いのは世田谷区で、1都3県で比較しても抜きん出て多い結果となりました。

また、高級老人ホームの多い地域TOP3に入った練馬区は、最も低価格老人ホームがある地域でもあり、多様な老人ホームがある地域であることがわかりました。

低下価格の老人ホームの多い地域では、23区以外もランクインしました。老人ホームの価格は地価の影響を受けています。そのため低価格の老人ホームを探す場合、地価が高騰している23区よりも、八王子市、町田市、小平市など多摩地域までを検討の範囲に含めると良いでしょう。

神奈川県

神奈川県の有料老人ホーム費用相場

入居一時金 月額
高級老人ホーム 18,800,000円 311,560円
低価格老人ホーム 248,000円 169,270円
「高級」-「低価格」の差額 18,552,000円 142,290円

神奈川県の「高級」と「低価格」の費用相場を比較すると、入居一時金で1,855万円程度、月額では14万2千円程度の差がありました。

地域別の傾向を見ると、横浜市青葉区は、高級老人ホームと低価格老人ホームのどちらも最も多い地域であることがわかりました。他にも、川崎市多摩区、宮前区はどちらもランクインしており、多様な価格帯の老人ホームが選べる地域になっています。

また、藤沢市や鎌倉市など海沿いの風光明媚なエリアには高級な老人ホームが集まっているようです。

千葉県

千葉県の有料老人ホーム費用相場

入居一時金 月額
高級老人ホーム 16,944,000円 236,170円
低価格老人ホーム 153,000円 169,400円
「高級」-「低価格」の差額 16,791,000円 66,770円

千葉県は、「高級」と「低価格」の費用相場で、入居一時金で1,679万円程度、月額費用で6万6千円程度の差がありました。

神奈川県と同様に、浦安市や千葉市中央区などベイエリアに高級な老人ホームが集中しているようです。

松戸市や船橋市、またランクインはしていませんが八千代市、流山市も低価格の老人ホームが多い傾向にあり、この辺りは東京都や埼玉県の方も検討しやすいエリアになっています。

埼玉県

埼玉県の有料老人ホーム費用相場

入居一時金 月額
高級老人ホーム 16,600,000円 205,400円
低価格老人ホーム 167,500円 174,898円
「高級」-「低価格」の差額 16,432,500円 30,502円

埼玉県は、「高級」と「低価格」の費用相場で、入居一時金で1,643万円程度、月額費用で3万円程度の差がありました。

埼玉県では川口市が「高級」「低価格」それぞれ最も多い地域としてランクインしています。低価格の老人ホームが集まる川口市やさいたま市は東京都内に乗り入れる鉄道路線が複数あるため、東京都内にお住まいの方がご家族の入居先を考えた際に、検討しやすい候補地域となっています。

データの抽出条件

2024年9月1日時点でLIFULL 介護に掲載された介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホームの料金プランデータから集計

費用相場…条件に該当する料金プランの中央値を集計
「高級老人ホーム」施設数…入居金1,000万円以上の料金プランを持つ施設から集計
「低価格老人ホーム」施設数…入居一時金500万円以下、月額20万円以下の料金プランを持つ施設から集計

LIFULL 介護編集長 小菅秀樹のコメント

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の市場では、「高価格」と「低価格」の二極化が顕著になっています。10月に開業予定の三井不動産「パークウェルステイト西麻布」は、入居一時金が5億円を超える居室を備え、話題を呼びました。最新の住宅設備、プライバシーを重視した住環境。そして充実した医療・介護サービスを提供するこの超高級施設は、富裕層をターゲットに特別なサービスを提供するものです。

一方、低価格帯の有料老人ホームやサ高住も増加しており、多くの高齢者にとって重要な選択肢となっています。特に大都市圏では、依然として特別養護老人ホームの入居待機が長期化しており、スムーズに入居できないケースが多いため、低価格の民間施設が検討対象になっています。「入居金0円プラン」や「月額15万円前後」で利用できる施設が増加しており、年金や預貯金を活用して無理なく入居できる点が、介護を必要とする高齢者に支持されているのです。

この二極化の背景には、シニア層の経済状況やライフスタイルの多様化が影響していると言えます。富裕層の一部は、引退後も現役時代と同様の高い生活水準を維持したいと考え、健康意識も高い層です。自立期から入居でき、高品質なサービスを提供する高級老人ホームを選ぶ傾向があります。一方、より多くの高齢者は、年金や限られた貯蓄を活用し、可能な限りコストを抑えつつも、要介護状態で安心して暮らせる施設を求めています。

さらに、中間層の減少もこの二極化を加速させる要因の一つです。経済格差の拡大により、中間層が減少し、その層に向けた施設の新設が少なくなっているため、結果として高価格帯と低価格帯の施設が拡大しています。

シニア層の価値観や経済状況がますます多様化する中、老人ホーム市場の二極化は進んでおり、この傾向は今後一層顕著になると考えられます。

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