老後の住み替えで生活の満足度が上がった人は6割超。満足度が高いのは「分譲マンション」「サ高住」

内閣府によると65歳以上の人のいる世帯は全世帯の約半数、65歳以上の一人暮らしは男女ともに増加傾向にあり、令和2年には男性15.0%、女性22.1%となっています。

それに伴い、日本では要介護状態になってから入居する介護施設とともに、アクティブシニアの住み替え先候補となる自立型の有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、シニア向け分譲マンションなどさまざまな高齢者向け住宅が用意されています。 

しかし、5月に行った60歳以上を対象にした調査では、過半数が「現在の住まいに住み続けるうえでの不安がある」と回答したにも関わらず、56.0%もの人が「住み替えたくない」と回答しました。また、住み替え意向のある人に絞って、住み替える場合に好ましい住居形態を聞いたところ最も多い回答は「わからない」(33.8%)となり、住み替えに関する情報が行き渡っていないことがうかがえました。

そこで今回は、実際に住み替えを行った人を対象に、住み替えの満足度やどのように住み替え先を探したか、何を重視したかを調査しました。

住み替えたことで生活の満足度が上がった人は61.7%

住み替え後の生活の満足度を聞いたところ、「満足度が上がった」と回答した人は61.7%となっており、半数以上が住み替えに満足していることがわかりました。

住み替え先は「戸建て」が人気。一方で満足度が高いのは「分譲マンション」「サ高住」

住み替え先の住居形態を聞いたところ、51.0%と半数以上の人が「戸建」と回答していました。特に高齢者向けの住宅としてサービスや共用設備が充実しているシニア向け分譲マンションは1.7%、サービス付き高齢者向け住宅は2.0%と、住み替え先としては少数にとどまりました。

一方で、住み替え先の住居形態別に「生活の満足度が上がった」回答率を見てみると、最も多かったのは「分譲マンション」(76.0%)、次いで「サービス付き高齢者向け住宅」(72.7%)でした。

住み替え先を探す手段は「インターネット」が42.2%

住み替え先の探し方をたずねたところ、「インターネット」(42.2%)が最も多く、次いで「不動産店舗」(36.5%)が挙がりました。この2項目が3位以降と大きな差をつけており、60歳以上の住み替えについてはインターネットと不動産店舗がメインの住まい探しになっていることがわかります。

「公共交通機関の発達」以上に「買い物に便利」で「駅や病院に近いこと」を重視

住み替え先選びの際に最も重視したポイントを3つまで聞いたところ、1位「買い物に便利」(45.7%)、2位「駅や病院などに近い」(35.9%)となり、3位に「公共交通機関が発達している」(33.9%)が続きました。駅前は商業施設などが建ち並んでいるところも多く、交通機関を利用してどこかに出かけやすいことよりも、家のまわりで生活が完結することを望んでいる人が多いことがうかがえます。

生活の満足度が上がった人が重視したポイントは「静かな場所にある」「駅や病院に近い」

住み替えによって「生活の満足度が上がった」と回答した人は何を重視する傾向が強いのでしょうか?

住み替えの際に重視したポイントについて、全体と、「生活の満足度が上がった」と回答した人で差が大きいもの順にランキング化しました。

「生活の満足度が上がった」と回答する人は「静かな場所にある」ことをより重視した傾向にあることがわかりました。また、「最期まで自宅で過ごせる」ことや「転倒リスクが少なくバリアフリー」であることも上位に入っています。

満足度が高い結果となった「分譲マンション」、「サービス付き高齢者向け住宅」は駅や病院、商業施設などが近隣にある便利な場所に建設されることも多く、こうした点で、高齢期の住み替え先として評価されていると言えそうです。

LIFULL 介護 編集長 小菅秀樹のコメント

住み替えは人生において大きな決断の一つ。特に60代以上の住み替えは、利便性だけでなく将来の介護を見据えて考える必要があります。

高齢期の住み替えにおいて重視される3大ポイントは次の通りです。

①住環境の安全性と快適さ

落ち着いた住環境であることは重要で、騒音が少なく治安の良いエリアが人気です。

また、近くに公園や緑地があり、気軽に散歩ができるなど周辺環境が条件に上がります。

②生活の利便性

スーパーや病院、金融機関など、日常生活に必要な施設が近くにあることもポイントです。

高齢期の暮らしの不安として「車を手放せない」と回答した方も多く(※)、徒歩や公共交通機関のみで暮らせるエリアは高齢期の住み替え時に人気です。

③介護・医療サポートの充実度

将来的な介護の必要性を見据え、バリアフリーの住まいであることや、要介護状態でも可能な限り住み続けられる住まいが選ばれます。アンケート結果を見ると同一地域内の住み替え需要もあり、これは環境変化を嫌うことや、通い慣れた医療機関を変えたくないという思いも反映されています。高齢期の体調変化は珍しくないため、緊急時に対応できる医療体制も重視されます。

住環境の安全性と快適さ、生活の利便性、介護の充実度をバランス良く考えることが、豊かな高齢期を送るためのポイントといえるでしょう。

一方で、お元気な高齢者に支持されている自立型の有料老人ホーム(以下、自立型ホーム)もあります。

一般的な要介護者向けの老人ホームでは、食事や入浴の時間、門限などが定められています。対して自立型ホームは、自宅と変わらない自由な生活を継続できることが特徴です。

さらに、大浴場やフィットネス、シアタールームなどの共用設備も充実。将来的に介護が必要となった場合は介護サービスを契約することで利用することができます。

自立型ホームの選び方として重要なのは、その施設にどのような入居者が住んでいるか、どのようなコミュニティがあるかです。やはり住まわれる方との相性が悪ければ居心地もよくありません。ホームで実施されているサークル活動を見学したり、実際に生活している方にお話を聞いてみることが、自立型ホームを選ぶ際の重要なポイントになります。

気になる施設があれば、ぜひ一度見学に行き、住まわれる方々の雰囲気を確認してください。

※LIFULL 介護『60歳以上の住み替え検討調査。暮らしの不安、最多は「車が手放せない」』

LIFULL 介護では元気なうちから老人ホームの入居を検討している方に向けて、ワンランク上の施設を特集した「高級老人ホーム特集」も掲載中です。

▼調査概要

調査主体:株式会社LIFULL senior

調査期間:2024年5月22日〜5月23日

調査対象:60歳以上で60歳以降に住み替えをしたことがある男女543名    

調査方法:インターネット調査

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