【介護施設探し体験談】介護施設の見学で、後悔しないために私がスタッフに聞いたある質問

親が突然倒れた、さぁどうする?

会社員歴20年、その後クリエイティブコンサルタントとして独立し8年。

仕事一筋で生きてきた、介護のことなんてまるでわからない独身ワーキングウーマン、中村美紀。

突然母が倒れ、その半年後に父も倒れるという同時多発介護になったのが48歳。

その後、仕事と介護の両立にてんやわんやしながら、仕事人間としての特性を活かし、「ビジネス思考」でなんとか介護を乗り切っていくという、壮絶だけど、コミカルな記録。

コロナ禍の見学に制限がある中で、はたして決断できる?

介護老人保健施設(以下、老健)にいる母。

老健は入居期間に制限があるため、引越しを考えなければいけなくなりました。

この先母がずっとお世話になることを考えれば、施設をどこにするかの判断は慎重になってしまいます。

ケアマネジャーに相談して自分たちが整理した要望を伝えたところ、マッチする特別養護老人ホーム(以下、特養)を紹介してもらえることができました。

そこでコロナ禍で難しいかもしれないと思いつつ、最終決定前には見学をしたいと伝えたところ、見られる範囲に制限があるがそれでもよかったらと許可が出ました。

これはありがたい!と思いましたが、見学できる箇所に制限があるということは判断するために得られる情報が限られるということ。

私の本業は「集めて編む」と書く編集者。情報が少ない中での意思決定は難易度が上がる、と思いました。

どこを見て、どう決めるか工夫が必要そうです。

コロナ禍で考えた後悔しないための意思決定の工夫

ケアマネジャーに紹介してもらった特養は、事前に伝えた我々の要望を満たした施設です。

ケアマネジャーに伝えたこと以外の要望として、「清潔感がある」と「スタッフの方の人柄の良さ」も条件として整理しましたが、これは主観的なものなので要望として伝えるのではなく、見学の際に自分たちで確認すると決めました。

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【我が家がケアマネジャーに伝えた、入居する介護施設3つの要望】

1.    支払い可能な金額の介護施設であること。

2.    自宅から車で30分圏内であること。

3.    母の病状ケアが可能な病院と提携していること。

【介護施設を見学する際に確認したいこと】

4.    清潔感

5.    スタッフの方々の人柄

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2021/12/16

【介護施設探し体験談】老健から退去しなければいけない母。次の入居先を探すために行なったこと

我が家は、母が今いる老健に決める際にも十数件の介護施設の見学をしました。その中には特養もあったので、多少なりとも相場感がありました。

それでも、見学範囲に制限がある中で「ここに決めた!」と思えるかどうか不安がつきまといます。

そこで考えたのが、「後悔しない意思決定をするための工夫」です。

まず、得られる情報が少ないと、ひとりだと決定するのがより難しくなると思いました。よって多角的視点を持てるよう複数人で見学することに決め、見学の際には姉を呼ぶことにしました。

さらに我々が気にしている「清潔感」「スタッフの人柄」について、見学範囲が限定される中で、はたして判断できるものなのか不安がありました。もし決めきれない場合はスタッフさんに納得いくまで話を聞こうと意思を固めました。

そして、「見学できる箇所が少なかったから間違えた選択をした」と思うことは絶対避けたいと思いました。「あのとき○○という部分を重視して決めた」と思えるよう、判断の決定となる根拠を探しにいこうと思いました。

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【見学制限の中我が家が行った、後悔しないための意思決定の工夫】

1.    複数人で見学をする
見られる箇所が少ないということは得られる情報が少ないということ。であれば見る人数を増やし、多角的視点を持てるようにすることで得られる情報を増やす。

2.    スタッフさんと納得いくまで話す
気にしている「清潔感」「スタッフの人柄」について、見学箇所が少なくて判断しづらいとなった場合はスタッフさんとたくさん話すようにする。「見られる情報」が少ないなら「聞ける情報」でもカバーする。

3.    決断の根拠を探す
情報が少ない中でも、決定理由となる根拠をつくる。もし決定後マイナス情報があったとしても「あんまり見られなかったから」とするのではなく、「○○を重視して決断した」と思えるようにすることで、自分たちの納得感を高められるようにする。

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コロナ禍で見学に制限がある中で、なんとか意思決定の工夫が整理できました。

いよいよ見学します。

我が家のコロナ禍での意思決定の工夫。やはりポイントは「人」だと思いました。

やはり見学できたのはごく限られた場所のみ。スタッフさんか判断材料となる情報を収集しよう

見学する施設に着くと、案内を担当するケアマネジャーさんが待っていてくれました。

コロナ禍でよく許可を出してくれたと感謝を伝えました。

しかし、見学できたのは玄関まわりと受付付近。談話室など共有スペースは外から覗くだけで中の様子は見られなく、母が過ごすことになるお部屋も遠くから入り口を眺めるだけでした。

少なくとも「清潔感」は感じられました。しかし、これで良し悪しを判断するのは難しいと思いました。

そこでやはり、ケアマネジャーさんにお話を聞くことにします。

私

「働いていて楽しいですか?」

ケアマネジャーさんはこの質問を聞いて、きょとんとしました。まさか施設見学で勤務状況を聞かれるとは思ってもみなかったのでしょう。それでも丁寧に答えてくれました。

ケアマネジャー
ケアマネジャー

「楽しいです!私は新卒で入社して20数年になりますが、同期が何名かいるので仲良く働けています」

私

「最近働いていて楽しかったことはありますか?」

ケアマネジャー
ケアマネジャー

「そうそう、介護浴槽(寝たままで入浴ができる装置)が新しくなったんです。今まで古い装置でしたが、今はお値段も立派な(笑)最新設備になりました。利用者さんにも喜んでいただけているんですよ。これは自慢です」

笑顔で楽しそうに答えてくれました。

私には狙いがありました。私は人材領域に20年勤務した経験があり、国家資格キャリアコンサルタントでもあります。

そこで見出したのは「働く人が活き活きとしている会社は良い会社」ということ。筆者の自論です。

そう、施設見学に限界があるのなら、人で判断しようと思ったのです。

他にもいろいろ、時間の許す限りお話をしました。施設のお部屋や設備のこと、利用者さんの様子のこと、働いているいろんな職種のスタッフさんのこと、出入りしている業者さんのこと、施設周辺の環境のことなど。

いろんなことをざっくばらんに聞きましたが、ケアマネジャーさんは丁寧に活き活きと話をしてくれました。

姉と感想を共有し、会話しながら意思を固めていく

コロナ禍により制限された中での施設見学。さっそく姉に感想を聞きました。

見学箇所が限られた中、二人の感想をぶつけ合うことで、一人では気づけないような気づき・発見を促し、納得のいく決断につなげることが目的です。

姉

「感想を二人で会話して、理解を深めたいんでしょ」

あら、姉は意図をくみ取っていました。そんな姉に感想を聞きます。

姉

「雰囲気が良いと思ったよ」

今の老健は新しい施設で、運用も合理的で今っぽい。スタッフは良い人が多いもののシステマティック。頼もしいと思う反面、効率重視と感じることもありました。

見学した特養は、古き良き実績ある施設。建物は古いものの、清潔感があり、スタッフも温かみがある印象。制服の違うスタッフがよく話しており、スタッフ連携ができていそう、と感じました。

私

「そうだよね。スタッフさんたちが活き活き働いていたよね。あと、勤続年数が長いという話があったよね。大事なポイントだと思って」

働いている皆さんはとっても活動的でした。一目見て働きやすい良い環境なんだろうなと思いました。

姉

「新卒入社のスタッフさんが勤続20年以上と話してくれたことでしょ。同期も何人もいるって。勤務年数が長いということは、それだけ辞めたくない良い会社と言えそうだもんね」

またまた姉は意図を汲み取っていました。なんとも頼もしい。

コロナ禍で決断が難しいと思っていましたが、その中で感じ取れたことを二人で会話していくと、迷いはなくなっていきました。

私

「うん。この施設にお世話になろう」

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【ケアマネジャーさんとの会話から見出した、我が家の介護施設決断の決め手】

1.    スタッフさんが活き活きと長く働いている
新卒入社で同期も辞めていないとのこと。長期勤務の方が何人もいる会社なら、働きやすい環境であり、施設運営サービスにも良い影響がありそう、と考えた。

2.    施設実績が長く安定している
20数年勤務ということは、少なくとも施設実績も20数年以上。お話の内容から、スピード感を持ってキビキビ働くというよりは、ゆっくり・丁寧に・スタッフさん同士の連携を重視しながら利用者に接していることがわかり、利用者への対応も親切丁寧で安定していそう、と考えた。

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施設が見られないなら人に注目。スタッフは施設を表す(筆者私見)

以前人材領域で働いていた時、先輩から言われたことがあります。

「その会社の従業員を見れば、そこがどんな企業かだいたいわかるよ」

若かりし頃はそうなんですかと聞いただけでしたが、今となってその意味がわかったような気がしました。

今では、母がこの特養に引越してから1年半が経ちます。

母は急に熱を出したり、てんかんをおこしたりと緊急入院を何度かしており、その度にいろいろなスタッフさんが対応してくれています。

いつでも、どこでも、どのスタッフさんと話しても、みなさん丁寧なお世話をしてくれる方ばかりです。

コロナ禍での判断は難しかったですが、あの時の決断は間違っていなかったなと今でも思っています。

まとめ

・コロナ禍では介護施設を探すのも、引越すのも一苦労。施設探しはもちろん、今のタイミングで可能かどうか、どのように段取りをしたらいいかなど、ケアマネジャーを含め専門家の方々に相談しながら進めた方がよさそうです。

・施設決定の際には事前見学をしたいもの。コロナ禍だからと諦めず、ダメもとで要望してみるのも手。筆者のように制限がありつつも見学OKとしてくれる施設も。事前に見られるのと見られないのではダイブ違います。

・コロナ禍での見学は、それなりの工夫をした方がよさそう。介護は十人十色。その人なり、そのご家庭なりで事情が違うと思うので、事前の要望の整理や、意思決定の工夫はしておくに越したことはありません。

・施設見学に制限があり、部屋や設備の確認に限界がある場合は、その施設で働く人に話を聞くことをおすすめ。その方の考えや働く様子を聞くだけでも見えてくるものがあるはず。一人では手応えがなかったら複数のスタッフに話を聞くのもいいかもしれません。
 

中村美紀
中村美紀 クリエイティブコンサルタント・編集ディレクター

(株)リクルートフロム エー、(株)リクルートに20年在籍し、副編集長・デスクとして10以上のメディアにかかわる。2012年に独立し、紙・WEBメディア設計、編集コンテンツ企画制作、クリエイティブ研修講師、クリエイティブ組織コンサルタントなどを請け負う。 国家資格キャリアコンサルタント/米国CCE,Inc. GCDF-Japanキャリアカウンセラーでもある。

プロフィールhttps://miki-nakamura.com/ブログhttps://oyakaigo.miki-nakamura.com/ 中村美紀さんの記事をもっとみる

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