入居施設は見学必須!親の入居する介護施設の「見学先決定」までを「マネジメント」する

親が突然倒れた、さぁどうする?

会社員歴20年、その後クリエイティブコンサルタントとして独立し8年。
仕事一筋で生きてきた、介護のことなんてまるでわからない独身ワーキングウーマン、中村美紀50歳。

大好きな母、馬が合わない父の、突然の同時多発介護にてんやわんやしながら、仕事人間としての特性を活かし、「ビジネス思考」で介護を乗り切っていく、壮絶だけど、コミカルな記録。

家族の総力を挙げて、見学先決定に挑む!

突然倒れ、脳の手術を受けた母。

大きな後遺症が残ってしまったので、退院後は、悩んだ末に介護施設に入居すると決めました。

病院ソーシャルワーカーによると、約1カ月後には、どこの施設に入居するかを決めないといけません。

介護施設のことなんてよくわからないし、仕事も忙しい〜という状態の私。段取りよく動かないと間に合わないと思い、まずは「介護施設探しプロセス」を確立させました。

■「介護施設探しプロセス」イメージ

1週目 Step1:介護施設情報を集め、「見学先を決める」

2週目 Step2:「見学のアポイント」を入れる

3週目 Step3:入居候補の介護施設を「見学する」

4週目 Step4:「家族会議」を開いて入居施設を決定する

5週目 Step5:病院に「返事」をする/「親族にも共有」する

そして、ひとりで動いたら絶対間に合わない、と早々に判断。姉と父に協力を仰ぐことにしました。

姉には、step1担当を任命。見学する施設を決められるよう、施設の資料請求からお願いしました。

父には、step2担当を任命。見学する施設を決めたら、見学依頼の電話をかけてもらうようお願いしました。

私はリーダーとなり、全体のプロセス管理(プロセスマネジメント)、二人が順調に動けているかの管理(メンバーマネジメント)を実行します。

はたして、姉と父には順調に動いてもらえるのでしょうか!? 

姉に任せた「見学先施設絞り込み」実施や如何に!?

事務処理が得意な姉。

私は、姉の解釈力や咀嚼力は光るものがある、と思っています(生意気な妹より)。

大枠の段取りを決めたら、さくさく動いてくれるだろうという期待を元に、事前に集めておいた介護施設資料を渡しました。

●姉に渡した「介護施設資料」もろもろ

・公的施設…自治体HP

・民間施設…『LIFULL介護』などの有料老人ホーム検索サイト

・病院ソーシャルワーカーにもらった介護施設リスト

・地域包括支援センターでもらった介護施設資料冊子

すると、さっそく資料をみた姉から電話がきました。

姉

「資料見たよ。見学先施設を決めるためには、結構な数があるから絞らないといけないよね。遠いと通えないから、まずは“場所”で絞ろうか。あとは“料金”かな。月当たりの支払い金額を目安にして判断すればいいよね」

私

「さっすがねーちゃん!」

「場所」と「料金」で絞り込み、判断が明確です。それでお願いすることにします。

姉

「あとね、施設の種類っていろいろあるの。“老人保健施設”とか、“特別養護老人ホーム”とか。決めきれてないよね。どうしようか」

私

「さっすがねーちゃん!」

「介護施設の種類」をどう考えるか。重要なポイントです。

この時点では、施設の「種類」の違いもあまりわかっていないし、どの種類の施設にいきたいのかも決めきれていない。取り急ぎ、いろいろな種類の施設を見学することに決めました。

姉

「それでもまだ数が多くて。各施設のホームページも見たんだけど、掲載されている情報を見ても各施設の違いなどを判断するのは難しくて、絞りにくいのよ」

私

「さっすがねーちゃん!」

資料だけでは決め切れなかったので、さらなる情報収集のために、施設の個別ホームページを確認したとのこと。なかなかの行動力です。それでも施設の違いは判断しづらい、ということのよう。

それならばもう、あとは直感に従って、「惹かれる部分がなかったら削除」と消去法で考える。「惹かれる部分があれば積極的に見に行く」ということで判断するのはどうかと提案しました。

●見学先介護施設「絞り込み条件」<我が家の場合>

Step1:「場所(家からの近さ)」「月々の支払額」で絞り込む

Step2:「老人保健施設※1」「特別養護老人ホーム※2」「有料老人ホーム※3」など、
介護施設種類を意識し、なるべく多くの種類を見学する方向でピックアップ

Step3:「惹かれる部分がなかったら削除」「惹かれる部分があれば積極的に見に行く」方向で
さらに絞り込む

※1老人保健施設(通称:老健)とは…退院後すぐの在宅生活が難しい要介護1以上の方を対象に、在宅復帰を目指す介護保険施設。
※2特別養護老人ホーム(通称:特養)とは…要介護度3以上の方を対象に、食事・入浴・排せつ介助などの身体介護、清掃・洗濯など日常的な生活支援、リハビリ、レクリエーションなどの介護サービスが受けられる介護保険施設。
※3有料老人ホームとは…介護が必要になったときにそのホームのスタッフがサービスを提供する施設。要介護者のみが入居できる「介護専用型」と自立・要支援と要介護の方を対象にした「混合型」がある。

この条件で、なんとか絞り込んで20数件。

少々多いですが、あとは「優先順位」をつけて気になるところから見学に行こう、見学しながら知見がたまれば判断軸もできてくるだろうから、残りは動きながら考えよう、としました。

一度に絞り込んで決め切れない!という場合は、段階を踏むと考えやすいです。
私

「引き続きお願いします!ねーちゃんの直感を信じてるからさ!」

リーダーシップで重要なのは、メンバーのモチベーションアップ。ここはリーダーからの信頼を感じてもらえるよう、期待している旨を伝えてみました。

姉

「あぁそ」

私

(さ、さっすがねーちゃん!)

表面的な褒め言葉に流されないこの感じ。期待通りです(涙)。

父に任せた、「見学先アポ取り」実施や如何に!?

遠方に住んでいる姉が、絞り込んだ20数件の介護施設資料を持って、家にやってきました。

姉

「ここ良さそう、っていう施設がいくつかあってさ。優先順位もつけといたよ」

資料やホームページだけでは違いがわかりにくい、としながらも、資料を見続けている姉の中には、“相場観”みたいなものが出来てきたのでしょう。“惹かれる施設”“惹かれない施設”の感覚が生まれている様子。

姉の考える優先順位を聞き、資料を見ながら「ここの施設は日差しが良さそうだね」「こちらは広々として開放感があっていいね」などと共感。

優先順位の上位10件程度から、見学のアポイントをとることに決めました。

私

「この日と、この日は、みんなで見学に行けそうだね。とーちゃん、電話してくれる?」

見学アポイント担当は父。ピックアップした施設の連絡先を渡し、日程を伝え、アポイントをとってもらうようにお願いしました。

早速父が電話をかけます。

父

「あの〜行きたいんですが」

私

「ぎゃふん」

とーちゃん、それじゃ説明不足。慌てて受話器横で「母が施設入居を考えていて、見学をしたい」と伝えるように指示をします。

父

「女房の施設入居を考えていて、見学をしたいんですが。いいですか、それではさよなら」

私

「ぎゃふん」

まってとーちゃん、いつ行きたいって「日付」を言って!さらに受話器横で指示をします。

父

「◯月×日の△時頃に見学に行きたいんですが。いいですか、そうですか。それではお願いします」

私

(やった!)

うまくアポイントを取れたようです。ほっ。

介護施設は、入居前の見学に対して理解がある様子。担当者がいる日程で、忙しい時間帯でなければ、基本的に受け入れてもらえるようです。

そして、ありがたい!と思ったのが、介護施設の方々の、(あたりまえかもしれませんが)高齢者の電話に慣れていらっしゃる様子が感じ取れたこと。

父のつたない説明に対しても、ゆっくりと話し、ひとつひとつ確認をしてくれているのが伝わってきました。

電話をかける相手が高齢者対応に長けてらっしゃることがわかるのは、家族としてはとてもありがたいことです。この先も父に安心して任せられる、父もやりがいを感じてくれるはず、と思いました。

父

「オッケーもらえたぞ!」

報告をくれる父。自慢気です♪

「高齢者だから何もお願いしない」のではなく、やれることをお願いしてやりがいを感じてもらう、できたら一緒によろこんで自信をつけてもらう、というのも大事だと思ってます(娘より)

順調に見学スケジュール決定!その先は?

何件かの見学先候補の施設に連絡をすると、父も慣れてきたのでしょう、順調にアポイントをとっていきました。

この時点のアポイント数は10件弱。

1日あたり3〜4件、週末2日間で見学をする予定を組みました。

ここまでは、とても順調に進んでいます。

が、しかし。

1日あたり3〜4件の見学は、なかなか忙しいスケジュールなので、効率よく見学しないと、回り切れません。

事前に「確認する箇所」「スタッフさんにヒアリングするポイント」などを整理しておいた方がよさそうです。

ここは私編集者、「取材力」にものを言わせます。

気になる見学のポイントは…おおっと、スペースが足りない!

次回へ続きます!

まとめ

  • 介護施設はどこも施設紹介資料(パンフレットなど)を持っているので、詳しくりたい場合は、資料送付を依頼するといい。
  • 有料老人ホームの場合は、『LIFULL介護』などの検索サイトを利用すると、一括で資料請求ができるので便利。
  • 地域ごとにある「地域包括支援センター」(地域住民の心身の健康の保持および生活の安定のために必要な援助を行う、地区町村責任主体とした機関)に行くと、介護サービスの相談はもちろん、介護施設に関する資料・アドバイスももらえるので、利用をおすすめ。
  • とはいえ、資料だけでは施設の違いなど詳細はなかなかつかみにくいもの。介護施設に入居を検討する場合は、見学必須とした方がよさそう。
  • 見学先決定からアポイントを取るまでをひとりで行うのは大変〜という場合は、早々に協力者を探して巻き込んでしまおう!

次回は、「取材力」をフル活用せよ!親の入居する介護施設を「見学」するをお送りします。
 

中村美紀
中村美紀 クリエイティブコンサルタント・編集ディレクター

(株)リクルートフロム エー、(株)リクルートに20年在籍し、副編集長・デスクとして10以上のメディアにかかわる。2012年に独立し、紙・WEBメディア設計、編集コンテンツ企画制作、クリエイティブ研修講師、クリエイティブ組織コンサルタントなどを請け負う。 国家資格キャリアコンサルタント/米国CCE,Inc. GCDF-Japanキャリアカウンセラーでもある。

プロフィールhttps://miki-nakamura.com/ブログhttps://oyakaigo.miki-nakamura.com/ 中村美紀さんの記事をもっとみる

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