読者のみなさん、お久しぶりです。「趣味と老後を考える」でおなじみバンギャルシリーズ連載、なんと約1年ぶりの更新になります。いやはや最近時間の経過が早くて……。
読者のみなさん、お久しぶりです。「趣味と老後を考える」でおなじみバンギャルシリーズ連載、なんと約1年ぶりの更新になります。いやはや最近時間の経過が早くて……。
この1年はとくにバタバタしていたので早かったですね。昨年は長年住んでいた関東から実家のある奈良にUターンしました。
たしか2年前にお父様が亡くなられたんですよね。
はい、その後一人暮らしになった母の様子が心配で、関東と奈良を往復する日々が続いた結果、地元に戻ることにしました。二人暮らしするのではなく、母の家の近くに私が部屋を借りる「近居」です。
ご実家は二人暮らしだったんですよね、お母様だけ暮らすには広すぎるのでは。
はい、だから母は3LDKの実家を引き払って1DKに引っ越しました。その片付けが大変でしたね。40年くらい一度も整理したことがない家だったんですよ。
いわゆる「実家じまい」だ。私のまわりでも親や祖父母の家の整理をしたという話を聞くことが増えてます。
本当に大変でした。ウチの父は在宅仕事だったこともあって、3LDKのうち2部屋は大量の書類の山が天井まで届くレベルでしたね。
ウチの親も数年前に親戚の家の片付けをしたのですが、自営業者で一軒家に仕事関係の機材が沢山あって、業者の方を呼んで片付けしたそうです。何十万円もかかったそうですが、それでも自分たちでやるよりよかったと。
うちの場合は処分するものの仕分けや、物ごとの行き先の手配など、ほとんど母と私の二人だけでやったので、ほんっとうに、た・い・へ・んでした!
今回はその経験を活かした記事を作ろうと思うんですよ。めんまさんの大変だったポイントを識者に解説していただこうと……。
ご無沙汰してます。
「遺品整理」の回のときにお世話になった長谷川さん! お久しぶりです。
どうする?バンギャルの遺品整理!プレミア価値のあるグッズの処分方法とは
今回は「実家じまい」についてお伺いしたいのですが、
片付けは自分たちでする人と、長谷川さんのような業者さんに依頼する人といます。長谷川さんのもとに相談にくるケースって、どんなものなのでしょうか?
圧倒的に多いのが「時間がないので片付けを依頼したい」というご相談です。退去期限が迫っているのありますし、実家が遠方にある人で、そう何度も通える距離ではない場合に業者さんに頼むケースが今は増えていますね。
やっぱり、お金で時間を買わざるをえない。私は今東京在住で実家が山口県にあるのですが、もし実家じまいをする場合はきょうだいで休暇のタイミングを合わせることになるはずだから、短期決戦が前提になりそう。
その一方で「相続に必要なものを取り出すまで実家にあるもの全て迂闊に捨てられない」というケースも多いんです。だから短い時間では終わらないことも……。
難易度高〜!
はじめは自分たちで片付けようとした方が、途中で「やっぱり無理だ」と判断されて、相談に来ることも多いですね。ご高齢の方に多いです。ちなみに、自分たちだけでやる場合は粗大ゴミを出す費用くらいですが、業者にお願いする場合は4LDKの場合平均40万円程度はかかります。
「粗大ゴミを出す」だけでも大変だったりしますからね。
私が現在住んでいる奈良市は、粗大ゴミの回収は2ヶ月に1回、最大6点までだったんです。それで退去までに全てのゴミを捨てることができなくて、結局回収業者に頼むことになりました。(※自家用車で本人もしくは相続人が持ち込む場合はその限りではない)
わたしの住んでる東京23区とはかなりルールが異なりますね。自治体によって違いがあるんですね。
さらに、ウチの父は仕事上、書類が多かったので、紙の処分が大変でした。
古紙屋さんは利用されなかったんですか?
万が一でも外に出てほしくないものも多かったので、自力でシュレッダーにかけまくりました。実家じまいで買ってよかったアイテム、ナンバーワンはシュレッダーです。
では、あらかじめ自分たちで少しでも片付けをやっておいたほうが、料金が安くなるのでしょうか?
業者の料金はゴミの量よりは拘束時間によって変わることが大きいんですね。なので、正直なところ、ゴミ袋数個程度の片付けの場合、値段はあまり変わらないと思います。また、片付けようとして逆に業者の手間を増やしてしまう方もいらっしゃるんです。分別が必要なもの、たとえば不燃ごみと可燃ごみをまとめてゴミ袋に入れてしまうだとか…。それであれば「何もしない」ほうがいいでしょう。
「いらんことするな」と(笑)。
ほかには、一般の人には価値がわかりにくいマニアックなものがある場合も時間がかかってしまいますね。若い方の遺品整理のケースで、ご家族が「この子の集めている推しグッズは価値があるはず」とおっしゃっていたのですが、買取業者もわからないようなマイナーなものが多くて、片付けに時間がかかったという話を聞いたことがあります。
この話は「遺品整理」についての前回の取材につながってきますね。価値がわかる専門家の元で鑑定してもらった方が良いと…。
どうする?バンギャルの遺品整理!プレミア価値のあるグッズの処分方法とは
正直、物量を減らさない限り、値段はほぼ変わりませんね。また、ほかに料金が変わるポイントとしては、テレビや冷蔵庫などの家電リサイクル法で定められている電化製品や、処理が困難なものがある場合です。
処理が困難…?
例をあげますと、金庫はひとつ処理するのに2〜3万円かかります。
鍵を開けたりするからですか?
そうです。こういった処理困難物があると金額は跳ね上がるんですよ。
あとは、すごく重たいものもやっぱり値段に影響しますね。過去に耳にした話ですと、大きな大理石のダイニングテーブルの処分が大変だったとか。
時間がかかりそうな例で言うと、たとえば、「家のどこかに大事な書類があるはずだから、それは捨てないでください」といった要望が出てくることもあると思うんです。
それは時間がかかりそう。
その場合、ただゴミを回収するよりは時間がかかります。とくに、依頼主の方が横で見てて、一つひとつ確認したい…といった場合は費用がかかると思います。
ウチの母も捨てるものの確認に時間がかかりました。というか、母の気が日によってコロコロ変わってしまって…。
必要なものとそうでないものを判断するアシストって、業者の方はできないものでしょうか。
基本的にご本人の意思を尊重するのが鉄則ですので、業者から強く押すことはできません。
ご家族で片付ける場合は、一度にやってしまわずに少しずつやっていくといいかもしれません。そのときに、「いるもの・いらないもの・悩むもの」と分けて、選択肢を絞りましょう。そして、例えば1年以上着ていなかった洋服は「いらないもの」に仕分けるだとか、基準を作るのもひとつの方法です。
「要らなくなったけど捨てたくない」というものって結構ありません? ウチの母がよく「まだ使えるからもったいない」とか「思い入れがあるからゴミ箱に入れたくない」と言ってたので。それで寄付できそうなものは寄付に回したんです。
そういう話はよく聞きます。
売るとなると身分証明や手続きが手間じゃないですか。時間に余裕がなくて、寄付しました。
どんなものが多いんですか? 世代的に嫁入り道具のタンスとか?
それは皆さん意外とあっさり処分されますね。
ウチも処分しました!
地味に多いのが着物ですね。売れるものは少ないので、リペアにまわして再生します。帯を使った小物入れを作ったり。食器やブランド物などの雑貨類は海外輸出することもあります。
そういえばうちのものを寄付した業者も、集まった物品は海外輸出するとホームページに書いてありましたね。
悪徳業者の見分け方ってあるんでしょうか? 不用品回収業者に見積もりよりも5万円以上高い請求をされたんです。
結構大きな額じゃないですか。
見積もり前に写真を撮ってLINEで送ったんですよ。なのに「思ったより多かったです」って値段を釣り上げてきて…。粘ったけど見積もりの金額には収まらなくて。そんなふうに釈然としないことって少なくないと思うんです。もしかして、「高齢の母親と娘の二人暮らし」に見られ、舐められたのかもしれませんが…。
遺品整理士認定協会に登録している業者さんには、明確に物量が増えない限りは見積もりから追加して請求することを禁止しています。何かと理由をつけて見積もりよりも高い金額を請求する、しかもトラックに積み込んだ後に追加請求してくる悪質な業者はいるんですよね。
トラックに載せて、支払えなかったらその場で下ろすってことですよね。ひどいな。
見積もりの際に「一式」と書いていて内訳がわからない業者は警戒したほうがいいです。また、見積もりの内訳について説明を求めた時に明確な理由をちゃんと説明してくれる業者かどうか、というのは大事です。そもそも悪徳業者はモノを残さないことが多いですね。契約書がなかったり、名刺をくれなかったり。ですので、契約書をきちんと結べる業者に依頼するとよいと思います。最近では電子契約に対応している業者もいます。
メールやLINEでのやり取りも証拠として有効ですか?
メールは有効ですね。説明してもらったことなどがきちんと記録されていれば大丈夫です。ほかにも、依頼してないのに何度も訪問する業者などの相談を受けることがあります。そういうときはハッキリと「帰ってください」と言ってください。明確な拒否をしめす言葉を使うことが大事です。
曖昧に対応せずに、明確に「帰れ」と伝えると。
もし相手が帰らなければ、刑法上の問題になりますから。
知見だ。今後の参考にしたいです。
わたしもです。実家の片付け、まずは両親やきょうだいと話し合いから始めようと思います。
奈良県出身の漫画家・イラストレーター。小学生の頃V系バンドに目覚め、以後約20年をバンギャルとして過ごす。主な著書はバンギャル人生をネタにしたコミックエッセイ『バンギャルちゃんの日常①〜④』(KADOKAWA)。趣味はスーパー銭湯めぐりとプロレス鑑賞。
1981年生まれ。自衛官、書店員、DTPデザイナーなどの職を節操なく転々として、フリーランスのライターに。趣味と実益を兼ねたサブカルチャーの領域での仕事が多い。共著に「すべての道はV系へ通ず。」(シンコーミュージック)、「想像以上のマネーとパワーと愛と夢で幸福になる、拳突き上げて声高らかに叫べHiGH&LOWへの愛と情熱、そしてHIROさんの本気(マジ)を本気で考察する本」(サイゾー)など。
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