ついにやってきましたね!
「もう歳だから、派手髪は卒業しなきゃ」ーー歳を重ねると、できるヘアスタイルに限りがある、否応なく落ち着いたスタイリングにせざるを得ないと思っている方は多いかもしれません。
しかし、藤谷さんがインスタグラムで見つけたのは鮮やかな髪色をした、お洒落なヘアスタイルのシニア女性たちでした。今回、シニア世代のヘアメイク事情を聞きに、藤谷さんと蟹めんまさんが向かったのは……。
ついにやってきましたね!
ついに! 巣鴨に!
「おばあちゃんの原宿」といわれている巣鴨ですよ。たのしげなお店がいっぱい!
今日はそんな巣鴨にある、シニア世代御用達の美容室「えがお美容室」にお邪魔します! 最近ネタ探しのためにネット検索していたら、インスタグラムなどのSNSで素敵なヘアスタイルのシニアの写真を見かけたんです。老後のオシャレ、とくに髪の毛って気になりますよね。
オシャレですね! 気になることはたくさんありますね、加齢によって髪質が変わったりするのかな? 白髪になったらカラーが入れやすくなるのかな? などなど。楽しみですね。
そういえば、私の母は最近白髪染めにアレルギーが出てしまったとかで、総白髪に切り替えましたね。最近は自然な白髪を活かす「グレイヘア」も人気だそうですし。色々聞いてみたいですね。
数年前にアナウンサーの方もやっているということで話題になっていましたね。
はい、到着しました。ここが「えがお美容室」です!
白を基調にしたオシャレな空間だ〜!
そしてセレクトショップやネイルサロンも併設されている!
ようこそ、えがお美容室へ。
早速ですが、えがお美容室をオープンしたいきさつを教えてください。
もともとは、「えがお写真館」というシニア世代向けの写真館からスタートしているんです。その開業が2014年ですね。
そこから美容室の需要を感じたのでしょうか。
そうです。写真館をやっている中で、「おしゃれな美容室に行きたいけど、若い人と横並びになるのはちょっと気後れしてしまう」「かといって普段の美容室だと代わり映えがないし……」「青山や銀座まで行くのはハードルが高い…」という声もあり、美容室がオープンすることになったのが2017年。2019年に今の巣鴨地蔵通り商店街に移転し、そのときにネイルサロンと洋品店も始まりました。僕は美容室オープンのときに声をかけられ、以後ここでずっと働いています。
若い子ばかりのライブハウスでちょっと気後れしちゃうことありますもんね。(なんでもバンドやライブで例える)「おばあちゃんの原宿」だけあって、オープンからさぞ美意識の高いマダムがこぞって来店したのでは……?
それが、そうでもないんですよ。最初は全然広がらなかったんです。変化を感じたのは、2018年くらいですね。
あっ、グレイヘアはその年の新語・流行語大賞にノミネートされていたはず。
50代・60代向けのファッション雑誌も増えてきて、シニア世代がかっこよく見える髪型として「グレイヘア」が注目されるようになったんだと思います。それ以降メディアからの取材も増えて、お客様の数もだんだん右肩上がりになりました。
時代を先読みしていたと!
それは偶然なんですけどね(笑)。だから最初は雑誌などでお店の存在を知って遠方から来てくださるお客様の方が多かったです。その後、新型コロナウイルスの影響もあって、遠方からの来店が難しくなり、今は「近くの美容室を探していたらここが見つかった」という近隣のお客様が多いですね。
すばらしいですね。そして公式サイトで紹介されているモデルのみなさまの写真を見ると、素敵な「グレイヘア」の方がたくさんいらっしゃいます。でも白髪って、白髪染めをやめたら根元からじょじょに白くなっていく物じゃないですか。
ですので、こんなふうに段階を経ています。
おお〜。これはどのくらいの時間をかけているんですか?
だいたい1年くらいかけてプラン立てしていきますね。グレイヘアと言うのは、毛先までしっかり白髪が出ていないときれいに見えないんです。根本の白髪が毛先に来るイメージですね。毛先を切りながら、かつ毛先の色をチェンジしながら進めていきます。
じっくりやるのですね。グレイヘアは1日にしてならず。
人によっては黒髪と白髪の分量が違いますよね。中途半端に白髪が混じってる状態が一番イヤ、とうちの両親は言ってました。
その気持ち、なんとなくわかります。私は現在40歳で、最近ちょっと白髪がちょこちょこ出てきたんです。たしかにその状態の方が白髪が目立つ気がします。
そういう場合は、黒髪の方にハイライトを入れて白髪をいかしたカラーリングにすることもできますよ。
白髪を活かすグレイヘアの流行前は「白髪が増える→白髪染めをする」一択のイメージがありました。それ以前から白髪染めをやめたいと考える人はいたのでしょうか?
僕の知る限りですが、結構そういったお話を聞くことは多かったですね。そこにグレイヘアブームが来て、背中を押された人も多かったように感じます。
それはどんな理由からでしょうか?
1番は「手間」ですね。3週間〜1ヶ月に一度は染めないといけないので。やっぱり大変だと相談にいらっしゃる方は多いです。
うちの親も「キリがない」と言いながら染めてました。
ほかにも、「アンチエイジング疲れ」というか、「ありのままの自分を愛そう」的なブームの影響もあるのかもしれない。
無理をせずに、自然な年相応の素敵さを目指したい人が増えているのかもしれないですね。
私、ずっと気になっていることがあるんです。髪の毛が黒い時期は、派手な髪色にするには、何度もブリーチしてからカラーを入れますよね。総白髪になったらその工程なく派手な色を入れちゃったりもできるんじゃないかな……って。この予想、実際のところ、どうなんでしょう?
できます。白い画用紙に色を塗るか黒い画用紙に色を塗るかの違いを想像してもらえればわかりやすいかと思います。ブリーチして傷んだ髪ではなく、健康な白髪にカラーを入れることができます。
わーい! 最近は髪の痛みに耐えかねて、派手にするとしても部分的にしかやっていないんですよ。老後は髪をブリーチで傷めずにド派手にできる可能性があるんですね。
派手な色にしている方は、そう多くはいらっしゃいませんが、技術的には可能です。
それはもしかしたら、世代的に「髪色を派手に染める」という人が少ないからかもですね。往年の淡谷のり子さん的な淡い紫というイメージはありますが、他の色の方はあまり見たことないような。
今の若い人は会社員の方でもインナーカラー入れたりしてますもんね。昔は「派手な髪色」=「ヴィジュアル系ファンとまではいわなくても、何かしらのロックファン」というイメージだったのですが。
アニメのキャラを意識した髪色にする人も最近は増えてますし。これからどんどん派手髪シニアが増える可能性がありますね。夢があるな。
海外、たとえばロンドンの方だと、シニア世代の方でも髪を真っ赤にされている方も多いそうですよ。
老後の楽しみが増えた!
ちなみに、さらに具体的な話をお伺いしたいのですが、「グレイヘア」にするならおすすめのヘアスタイルはありますか? 写真を見ていると、ショートカットの方が多い印象があります。
ヘアスタイルを決める上で1番大切なのは、「その人の悩みを解決する」ということです。お客様の悩みで1番多いのは「髪のボリュームダウン」について。ロングだとどうしても髪の毛の重さでペタッとなりがちなので、ショートカット にされる方が多いんです。
私は40代に入ったばかりなのですが、たしかに自分自身でも最近髪のボリュームが減ってきたな〜と感じることはあります。
それに白髪染めをしていると髪の毛って細くなっていくんです。何もしていない白髪のほうが、ボリュームが出てくることもあるんですよ。
白髪染めもやめられるし、ボリューム問題も解決できるしグレイヘアで一石二鳥じゃないですか!
私の知人でも、頭頂部のボリュームダウンが気になるから、ショートヘアにした上で、さらに上の方は明るいブラウンにして軽さを出しているという60代の方がいました。あえて明るくすることでボリューム感を出すスタイルでした。
たしかに色の変化で立体的に見せるのはアリかも。
すべては「デザイン」なんですよね。
我々、「老い」に対して漠然とした不安はあるんですが、それは「これまでと違う自分になってしまうんじゃないか」「これまで楽しんでいたことができなくなるんじゃないか」という不安なんですよね。
そういう意味では、さきほどの「白髪は派手髪が入りやすい」という情報には、とても勇気がもらえました。
その上で、健康な髪の毛を長く保持したい気持ちもあります。シニア世代のヘアケアで重要なことを教えて下さい。
頭皮の環境を良くすることですね。すべての年齢の方にいえることかもしれませんが、シニア世代の髪の毛や頭皮は若い頃よりさらに乾燥しやすくなるので、保湿をしっかり。
お肌と同じですね。
そしてドライヤーの使い方も大事で、キューティクルを整えるイメージでしっかり乾かしてあげてください。黒い髪のころは目立たなくても、白髪って透明感があるから乾燥から来る髪の毛のうねりが目立ってしまうからパサパサに見えてしまうんです。
なるほど〜今でも自然乾燥させちゃうこと多いもんな〜。
頭皮の細菌が増えてしまうから、それは控えたほうがいいかもしれませんね。
気をつけます。
他にはありますか?
あとは頭皮のマッサージですね。
今流行ってるトゲトゲのマッサージアイテムありますよね。ああいうのを使えばいいんですか?
そういうアイテムでも、手でもいいのでとにかく動かしてあげることですね。お風呂のついででもいいので、1日に1、2分でいいんです。マッサージして血行を良くしてあげることが大切です。ただ、結果がわかりにくいというか、続けることで急に髪が生えてくるような劇的な変化が期待できるわけではないのですが、1年以上続けたら違いが出てくるかもしれない。地道に続けることが大事だと思います。
なるほど〜、さっそく今日からやってみます。
ちなみに、お店に来るお客さんの最高齢って何歳くらいですか?
90歳ですね。
おおー、90歳になっても派手髪チャンスがあるということですね。校則も社則もない歳まで生き延びたらギンギンの派手髪でライブハウスに鎮座したいと思います。
将来の選択肢が増えるのは素敵なことですね。
奈良県出身の漫画家・イラストレーター。小学生の頃V系バンドに目覚め、以後約20年をバンギャルとして過ごす。主な著書はバンギャル人生をネタにしたコミックエッセイ『バンギャルちゃんの日常①〜④』(KADOKAWA)。趣味はスーパー銭湯めぐりとプロレス鑑賞。
1981年生まれ。自衛官、書店員、DTPデザイナーなどの職を節操なく転々として、フリーランスのライターに。趣味と実益を兼ねたサブカルチャーの領域での仕事が多い。共著に「すべての道はV系へ通ず。」(シンコーミュージック)、「想像以上のマネーとパワーと愛と夢で幸福になる、拳突き上げて声高らかに叫べHiGH&LOWへの愛と情熱、そしてHIROさんの本気(マジ)を本気で考察する本」(サイゾー)など。
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