ここ最近はじょじょに前の生活に戻りつつある気もしますが、なんだかんだでまだ気が抜けず…ですよね。
ここ最近、ライブ現場がすっかり減り、体の衰えを感じるようになったというバンギャルの藤谷千明さんと蟹めんまさん。”ヘドバンしながら老後を考える”連載ですが、そもそも老後に向けてヘドバンができなくなる可能性が出てきました。おばあちゃんになってもバンギャル を続けられる体を手に入れるために、二人が相談したのは…。
ここ最近はじょじょに前の生活に戻りつつある気もしますが、なんだかんだでまだ気が抜けず…ですよね。
夏頃は一ヶ月半くらいコンビニやスーパーの店員さん以外の人と会ってませんでした。世の中が少し落ち着いたら、今度は仕事が忙しくなってしまい、全く出歩いておりません…。
以前と比べて、家から出る機会はかなり減りましたよね。
ライブ参戦も配信ばかりで、家で暴れてばかりです。
(家で暴れているのか……)私は先日、久々にレポートの仕事で有観客のライブを見たのですが、立ってるだけで精一杯でした。身体がどんどん鈍っている気がしています。
わかります。
今の年齢でこの体たらくなら、将来はどうなってしまうのか。
できれば還暦になってもヘドバンしたいですね。どう考えても身体に悪そうですけど。
この連載のタイトルに大きな疑問がでてきますね……。大田さん、その辺りどうにかならないですか?
ちょうど子供からお年寄りまで幅広い方々に運動教室を開いている、プロレスラーの方を知ってます!
プロレスラー…!
ライブ中のバンギャルの動きって派手じゃないですか。プロレスラーの方々も動きの魅せ方が大事ですから。近いんじゃないかと!
よろしくおねがいします~。バンギャルさんの動き、YouTubeで見せてもらったけど、かっこいいですね!
おお…、そんなふうに言ってくださるなんて。
ちょっとここでやってみせてくれませんか?
久々に、しかもライブ会場でない場所でヘドバンをすることになるとは。
私は家でもやってました!(ブオンブオン)
なるほど~、首がすごい速さで横、斜め、下に動くわけですもんね。
専門家にヘドバンの動きを分析される日が来るとは思いませんでした!
やっぱりこの動き、首に負担がかかっちゃいますよね。
かかりますね。(即答)
そうですよね、身体の将来のことを考えると、やっぱりやめたほうがいいですか?
それは違います。
えっ?
そうなの?
やっぱり生きがいは大事なので、やめたくないことはやめなくていいんです。
うう、ありがてえ……。
ヘドバンしながら老いることはできる!
でも、ケアは必要かと思います。とくに、ライブ前にウォーミングアップをしたほうがいいかと。
バンギャル間で、「ヘドバン後はペットボトルなどで冷やす」や「入浴中にマッサージをしよう」など、「ライブ後のケア」はよく言われるんですよ。ライブ前はあんまり聞いたことなかったんで、勉強になります。
なるほど。ライブ直前じゃなくても、その日の朝でもやっておくと、全然違いますよ。
そうなんですか〜。
そういう知識を今日は教えてもらえると嬉しいです。最近はライブも減ってしまって、部屋にこもってばかりで筋力が落ちるんじゃないかと心配になっています。
ちなみに、ライブって2時間ぐらい立ちっぱなし動きっぱなしなんですか?
だいたいのバンドのワンマンライブは1時間半〜2時間くらいですね。
曲のテンポは?
もともとハードロックヘビーメタルをベースにした音楽が多いので、テンポは基本的に速いです。そのうえ最近は展開の多い曲が多いので、動きは目まぐるしかったりします。さきほどの「ヘドバン(ヘッドバンギング」)や、他にはリズムに合せて身体を折りたたむように上下に動かす「折りたたみ」だったり、「ジャンプ」をすることも多いですね。
それはもうトレーニングですね(笑)。
一部のバンドではファンにスクワットなどをさせる曲もありますね。
本当に「一部」ですが……。
では、今日はバンギャルさんの動きのための運動メニューを考えてきました!
ありがとうございます〜。
さっきおっしゃっていましたが、ヘドバンの前にやっておいたほうがいいケアってどんなものがあるのでしょう?
首のストレッチですね。最初はこちらをやってみてください。
アッ、すでに痛い!
これすらできないかも。
こうすると痛い人は、もう筋肉がめちゃめちゃ張ってます。これを10秒くらいやってみてください。今筋肉が縮小されてる状態だから、反対側も同じようにやってくださいね。
は〜い。
次は、僧帽筋のストレッチです。
なんか「効いてる」気がします。
普段この角度まで首を動かさないですからね。
ヘドバンは髪がバサバサして首が動きまくってるように見えますけど、首筋が張るとこまでは動かさないですもんね。
今身体が緩まってるから、逆に負荷をかけましょう。ここではタオルを使います。
せっかくなので、バンドのマフラータオルを持ってきました!
えっ、これはバンドの公式グッズですか?
はい、だいたいのバンドが売ってるタオルです。
そうなんですか!この細長いサイズ感、これからやるストレッチにめちゃくちゃ合ってますよ!
いわゆる「マフラータオル」の長さが良いと。ライブ中、首に巻きやすくするためのサイズ感でしょうけど、まさかストレッチに最適とは…!
こんなふうに、頭と手で押し引きしてください。
オールスタンディングの開演待ちの時間にできますね!
次は、背中の僧帽筋と呼ばれる部分を伸ばしましょう。
ヘドバンはどうしても巻き肩の状態になってしまいます。タオルを広げたまま、左右に動かしてみてください。肩甲骨がゴリゴリ動きませんか?
全然使ってないところが動く感じがします。
今度はタオルを持ったまま、回してみてください。頭を中心にタオルを衛星のようにするんです。
普段使ってない部分からゴリゴリと音がします。
これはデスクワークの人もおすすめです。普段使ってない箇所は、こうやって動かしてあげた方がいいです。気をつけるのは、勢いよく一気に伸ばしすぎると、腰をグキッと痛めてしまうかもしれないので気をつけて。
バンギャル、ヘドバンだけではなく「手扇子」「折りたたみ」という動きもライブで多用します。
詳細は、世代やバンドによって細かく異なりますが、大きくいえば「手扇子」は腕をあげて振る動きで、「折りたたみ」は腰から文字通り体を折りたたむやつですね。お辞儀を高速でやるようなイメージです。
四十肩とかやると、とてもじゃないけど手扇子はできそうにないです。
肩と腰ですね。年齢と共にトラブルを抱える人が多くなる部分です。やっぱりここも、ストレッチやトレーニングをするといいですよ。肩には、先ほどのタオルを使ったストレッチも効果的ですが、こんな動きもしてみましょう。
自分の筋肉で腰の筋肉を持ち上げるんですね。ポイントは、肩の真下に手を置くことと、腕の力や前後動作で動かさないこと。骨盤を立てるようにして上下させてください。上に上げるときは顎を上に、肩甲骨を立てる感じで。
気を抜くと息を止めちゃいそうですね。
吸う、吐くの順番はどちらでもいいので、呼吸は意識してみてください。次は腰と背中のトレーニングです。またタオルを使います。
脊柱起立筋を鍛えるトレーニングです。上半身を倒したら、頭からではなく腰から体を起こしてください。お尻を引くことと、胸を張ることが大事です。
これもなかなか堪えますね。
次に、上半身を倒した状態で腕の動きをプラスします。腰と肩のトレーニングです。
姿勢を保ったまま、両腕を下にたらし、開いてTの字になるよう上にあげてください〜。
うおお……。
次は両手をたらした状態から、頭の上で開きます。皆さんの好きなV系の「V」です〜。
好きだけど〜〜?
これはしんどい〜〜!
次は「W」の字を描くように肘を曲げ、上下に動かしてください〜。
姿勢を保ったままは難しいですね。
同じものが僕のYoutubeにも上がっているので、参考にしてみてください!
最後はX JAPANからゴールデンボンバーまで、いつの時代にもバンギャルに求められるジャンプです。
私は最近、家で縄跳びを始めました。
縄跳びをするのもいいですよ。それも面倒な場合は、背伸びをして、かかとを上下に動かす動作もおすすめです。足の甲を正面に持っていくような感じで。ふくらはぎを鍛えてあげるとなおよしです。
これだけでかなりしんどいかも。
次は、もう少し激しいのをやります。
さらに!?
これは少しむずかしいかもしれません。最初は30秒続けてみてください。
ぴょん、ぴょん、深く。という感じですね。難しい!
でもだんだんできるようになってきたでしょう。
たしかに。
次は1分で!
ひえ〜。
でも皆さんだんだん上手になってきていますよ!
やっぱり、褒められると嬉しいですね。
そうなんです。大人になったら褒められる機会はなかなかないですからね。ストイックに続けることって難しいんです。できれば楽しくやりたいですよね。人生は一回しかないんですから。
こういう運動ってやっぱ続けなきゃ意味がない気がするんですけど、続けるコツってなんですか?
楽しかったら続ければいいし、嫌なら止めればいいと思うんですよ
そんな気軽でいいんですか?
嫌なことは続けても仕方ないですから。ちなみに、年齢を重ねて、体力がなくなったとか疲れちゃうからって、ライブに足が遠のく人はいるんですか?
う〜ん、自分の実感としてはそういう人はこれまで少なかったと思いますが、このコロナ禍以降、今後増えるかもしれません。
私はコロナ以降、久々にライブに行ったら「疲れるな」って思っちゃって、実は足が遠のいてます…。家にいる方がラクだなって…。
この状況ですしね。人生の中で色々と、必要かそうでないかを考えることって多いと思うんです。
とくにコロナ禍の影響で、それを考えることは増えたかもしれません。
運動もそのひとつでしかないですよね。運動して「意外と疲れないな」って思ったら続けて貰えればいいし。ライブに行かなくなっても、応援したい気持ちがなくなるわけではないと思うんです。
たしかに。
そこで「できなかった」って落ち込んだら、元も子もないですよね。なんにせよ、運動したら気持ちはスッキリすると思うので。
今日運動しただけで、来た時よりも気持ちが晴れやかです。
リラックス効果というか、スッキリすることはあるので。自分のペースを大事に運動してもらえればいいかな。
日常でできるちょっとしたことでいいんです。例えば、駅でエレベーターではなく階段を使うとかですよね。
なるほど〜。
あとは、意識的に続けたかったら、「人と一緒にやる」というのは一番効果があります。僕はコロナ禍でトレーナー仲間と、「1ヶ月でみんなで腹筋を合計○回目指すぞ!」って目標を立てて、LINEグループで励まし合ってやってきました。
確かに。私も実はストレッチや軽い運動をしたら報告して、相手をめちゃくちゃ褒めるLINEグループを今年の4月から友人とやっていて、ペースが落ちることはありますが、今も続けられています。
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今日はいい気分転換になりましたね。
では駅につきましたし、電車に乗りましょう。スゥ……。(無意識にエスカレーターへ)
いやいや、階段を使いましょう!
言われたそばからスッカリ忘れてた!
奈良県出身の漫画家・イラストレーター。小学生の頃V系バンドに目覚め、以後約20年をバンギャルとして過ごす。主な著書はバンギャル人生をネタにしたコミックエッセイ『バンギャルちゃんの日常①〜④』(KADOKAWA)。趣味はスーパー銭湯めぐりとプロレス鑑賞。
1981年生まれ。自衛官、書店員、DTPデザイナーなどの職を節操なく転々として、フリーランスのライターに。趣味と実益を兼ねたサブカルチャーの領域での仕事が多い。共著に「すべての道はV系へ通ず。」(シンコーミュージック)、「想像以上のマネーとパワーと愛と夢で幸福になる、拳突き上げて声高らかに叫べHiGH&LOWへの愛と情熱、そしてHIROさんの本気(マジ)を本気で考察する本」(サイゾー)など。
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