前回予告したとおり、今回のテーマは「エンディングノート」です。ちなみに私は、「昔そんなタイトルの映画あったな〜」くらいの漠然としたイメージしか持っていません。最近では、ドラマ『俺の家の話』でも出てきていました。
これまで遺品整理士の方や医療従事者の方に取材をしてきた中で、たびたび話題になってきた「エンディングノート」の重要性。
病院にお世話になるとき、自分の死後、大切なコレクションを適切に処分してもらいたいとき…やはりエンディングノートは欠かせないようです。
しかし、アラフォーでエンディングノートなんてまだ早いような……?
今回は前後編にわたって、エンディングノートにまつわる疑問を解消していきます。
前回予告したとおり、今回のテーマは「エンディングノート」です。ちなみに私は、「昔そんなタイトルの映画あったな〜」くらいの漠然としたイメージしか持っていません。最近では、ドラマ『俺の家の話』でも出てきていました。
ドラマや映画に出てくるのは、死期が迫りつつある登場人物が「やり残したことを書いていくノート」っていうイメージがあります。ですが、今市販されている「エンディングノート」は、入院や死亡など、自分に「もしものこと」があったときの連絡帳のようなものです。
そこにまず、自分の漠然と持っていたイメージとの違いを感じましたね……(いつもながら)。
昨年、祖父が亡くなったこともあって、「自分の情報を遺しておく」ことの大事さを痛感したので、自分でも「エンディングノート」は用意しておきたいと思いました。
そして、そして、今回用意したのは、コクヨの「エンディングノート もしもの時に役立つノート」です!表紙には「LIVING&ENDING NOTEBOOK」と書いてあります。
なんだか通販番組っぽいですね(笑)。
PR案件ではないです(きっぱり)。なので、ストレートな本音でお送りしたいと思います!
(パラパラとめくる)冒頭に「こんな人のために」的な漫画もついているし、情報記入欄も見開きでまとまっていて、わかりやすく作られていますね。
通販番組っぽ〜い(2回目)。ではでは、ガンガン書いていきましょう!
〜しばらく黙って書き込むふたり〜
うう……、これは……、なかなか書くことが多いですね。
こんなに書く項目があるなんて思わなかったです…。
<自分の基本情報>
名前、生年月日、現住所、過去の住所、健康保険証、パスポート番号など)
<資産状況>
預貯金、自動引き落とし、不動産、ローン、クレジットカード情報、加入している保険、年金情報など
<気になること>
携帯、PCの情報、登録しているサイトのID、宝物・コレクション、ペットの情報など
<家族、親族>
家族・親族の名前や住所、親族表、命日、冠婚葬祭参加歴など
<友人、知人>
友人、知人の名前や連絡先
<健康管理>
かかりつけ病院、持病、アレルギー、告知・延命処置の希望、介護の希望など
<葬儀、お墓>
葬儀の希望、お墓の希望、所在地など
<遺言、相続>
遺言書について、相続の希望、大切な人へのメッセージなど
(コクヨ「エンディングノート もしものときに役立つノート」より)
今の住所や電話番号、銀行口座、クレジットカードの情報なんかは調べたらすぐ出るんですけど、自分のお墓の話なんかは、「なんもわからん」になりますね……。
そもそも「誰に読ませるのか」で書くことが変わってきません? 自分の場合は今だと年配の両親が最初に読むことになりそうなんですよ。ちょっとどう書くべきか悩みますね。デジタル機器に弱い親にPCのデータとか触らせるの不憫だなとか。同年代の家族がいれば遠慮なく書くけど…。
逆にこれ、親に書かせるのもハードル高くないですか? おのずと自分たちの「死」に向き合うことになりますしね。お墓やお葬式の項目の選択肢も「とくにこだわりがない」にチェックしちゃったけど、本当にこれでいいのだろうか不安になってきました。
私は葬式のBGMだけは細かく指定しました。通夜ではDIR EN GREYの「MACABREー揚羽ノ羽ノ夢ハ蛹ー」、葬儀では「Ranunculus」がいいんですよね。
それはとてもわかる。許されるなら、出棺のときはLUNA SEAの「Wish」をかけて銀テープ飛ばしてほしいな。ダメか。
銀テープいいですね。自分の出棺はUCHUSENTAI:NOIZの「METEORS」であの世に向けて発進したいんですよ。いかん、話がそれてしまう。
宝物コレクションのページも悩みますね。あるのは間違いないが、多いぞ…
そうですね。ページ内におさまるか不安です。にしても収集物やコレクションのことも書かせてもらえるのは我々のような人種としてはありがたいですね。
みなさ〜ん、記入は進みましたか?
進捗ダメです(泣)
やっぱりエンディングノートなんてアラフォーの我々には早すぎたんでしょうか……。
これはやはり、コクヨさんに直接話を聞きに行った方がよいかもしれませんね。こんなこともあろうかと、アポイントはとってあります。
やったー!
コクヨさんは文房具メーカーなので、多種多様なノートを発売していることは知っていましたが、まさかエンディングノートまで出しているとは。
この商品のシリーズは「自分の両親と今後のことを相談したいがきっかけがない」「相続や遺言について提案しても“縁起でもない”と言われてうまく話ができない」という声を聞いて、「遺言書キット」を発売したことから始まっているんです。
ユーザーさんの声から生まれたと。
それが約10年前ですね。それまでにも遺言書の書き方説明の書籍はあったんですが、遺言書作成はやはり気持ち的に敷居が高く感じるというお悩みもよくお聞きしました。それで、ペンと印鑑があれば初めてでもすぐに遺言書が書ける手軽なキットを作れば、遺言書というものを身近に感じていただけるかなと。全国の文房具店さんで気軽に買えるというところも親しみ感につながるかと考えました。結果、大好評で今ではシリーズ累計の売上は100万冊を超えています。
わ〜、それはすごい!
発売当初から反響が高くて、お客様からのアンケートハガキが2000通も届いたんです。「こういうものが欲しかった」「遺言書が書けました」「親にプレゼントして相続の話ができました」というお声も多かったのですが、中には「遺言書キットは親しみやすいが、それでもまだ遺言という言葉には気持ち的な抵抗感がある」というご意見もありました。そこで遺言書よりもさらに気軽に書けるエンディングノートを作ろう、「亡くなった時」に役立つだけではなく、生きているときにも日常生活の中で備忘録として役立つノートを作ろうという話になったんです。
だから表紙に書いてある文字が「LIVING&ENDING NOTEBOOK」と、「LIVING」が先に来ているんですね。
ノートの冒頭に収録されている漫画の中にもあった、自分の入院中に家族から「あれがないんだけど? あれどうしたらいい?」って連絡が来るシチュエーション。ただでさえ悪い具合がさらに悪化しちゃいそうですもんね(苦笑)。
商品企画の過程で100人の方にインタビューしたんですが、「私にもしものことがあっても娘に普段から伝えているから大丈夫」というお母さんの娘さんが「いつも色々言われているけど全然覚えられない、正直把握してない」とおっしゃっていたり。
わ〜、ありそう〜。
ちなみに、コクヨさんだけに紙質にこだわりもあるのでしょうか?
企業の帳簿にも使われている独自開発の紙を使っているので、長期保存に向いています。「エンディング“ノート”」なので、開きやすさや、書きやすさにもこだわりを持っています。
タダでさえ書くのに気合いが必要なノートなので、開きやすい、書きやすいは重要ですね。
とにかく気軽に快適に書いていただきたいと思っています。
初歩的な質問になるのですが、ノートの筆記用具は何を選べばいいのでしょうか。長期的に保存するとなると悩みます。
私は鉛筆で書きました。流したい葬式BGMも気分でコロコロ変わるので…。
私はボールペンでガッツリ書いてしまった。
どちらでも大丈夫です。訂正する箇所ができたら、えんぴつの場合は消しゴムで、ボールペンなら修正液や二重線などで都度直していただければ。「消せるボールペン」でもかまいませんが、その場合は意図せず熱などで消えてしまう場合があるので、保管環境に注意が必要です。
はーい。
この連載は”老後について考える”がテーマなんです。そこで我々も「エンディングノート」にチャレンジをしてみたものの…。なかなか書くことが多かったり将来のことを深く考えすぎてしまったりで、軽く挫折しそうなのです。助けてください。そもそもアラフォー世代が手を出すには早すぎたのでしょうか?
なるほど、事情はわかりました。ただ、こちらの「もしもの時に役立つノート」は、元々30代、40代の方に使っていただけるようにと考えて企画しているんですよ。
えっ!?
そうなんですか!
実は、コクヨさんのエンディングノートはアラフォーがターゲットど真ん中だった!後編では、エンディングノートの便利な活用法や書き方について、さらにくわしくお話を聞きます。
奈良県出身の漫画家・イラストレーター。小学生の頃V系バンドに目覚め、以後約20年をバンギャルとして過ごす。主な著書はバンギャル人生をネタにしたコミックエッセイ『バンギャルちゃんの日常①〜④』(KADOKAWA)。趣味はスーパー銭湯めぐりとプロレス鑑賞。
1981年生まれ。自衛官、書店員、DTPデザイナーなどの職を節操なく転々として、フリーランスのライターに。趣味と実益を兼ねたサブカルチャーの領域での仕事が多い。共著に「すべての道はV系へ通ず。」(シンコーミュージック)、「想像以上のマネーとパワーと愛と夢で幸福になる、拳突き上げて声高らかに叫べHiGH&LOWへの愛と情熱、そしてHIROさんの本気(マジ)を本気で考察する本」(サイゾー)など。
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