母を介護する娘│注意したい4つのポイント

母親に介護が必要になるときは、突然訪れます。その時、介護についての知識がなく、何からすればいいか分からないという方も多いのではないでしょうか。

誰しも初めてだからこそつまずくことがあります。

同居する母親を介護することになった娘には、どんなことが待っているのでしょうか。介護について失敗しやすいところをみていきましょう。

介護についての母親の思い

母親が自身の介護についてどんな気持ちでいるだろうか、と考えてみたことはありますか?

”誰が自分を介護してくれるのか” “今まで行ってきた家事やお金の管理はどうすればいいのか”など、さまざまなことについて不安に思うはずです。

まずはそうした不安な気持ちを聞きながら、介護生活をどのように送りたいのか、母の気持ちに寄り添いながら考えることが大切です。

母親の本音~誰に介護してほしいのか~

母親は、自分の介護を誰に任せたいと思っているのでしょうか?

もちろん家族との関係性によって、個々に違いがあると思いますが、私の経験上、「娘に介護してほしい」と願う方が大半でした。

その真意は「息子より娘のほうが、親に対して愛情を感じる」「嫁に介護されるよりも娘のほうが気が楽」といった気持ちがあります。あるいは「娘が親の介護をするのは当たり前」と考えている方もいるかもしれません。

こうした母の気持ちに対し娘としては「親孝行したい」「今まで育ててくれた恩返しをしたい」という思いで、これから介護を行おうと考えているのではないでしょうか。

初めて直面する母の介護│つまずかない4つのポイント

そうした母親に対する娘の思いとしては、“互いを信頼し、大切にしたい”という思いがきっとあるでしょう。その気持ちはとても大切なものですが、実はつまずきやすい理由の一つにもなりうるのです。

以下に4つのポイントを解説します。

1.介護に一生懸命になりすぎない

母親に対して「できる限りの介護をしてあげたい」という思いが先行し、多少無理をしてでも介護を頑張りすぎてしてしまう人もいます。もちろん親の介護も大事ですが、自分の家庭や仕事、何よりも体調のことを考えてみましょう。

人によっては「家事と介護」「介護と仕事」を両立させ完璧にこなしたい、と思う方もいるでしょう。

しかし、はっきり申し上げてそれは困難です。短期間であれば可能かもしれませんが、介護には「いつまで」という終わりがみえません。そのため、初めから全力を注いでしまっては、長期化するほど息が続かなくなってしまうのです。

母親に対してより良い生活を送ってほしいといった気持ちはあるかと思いますが、すべて自分でやろうとしてはいけません。

周囲の協力者(家族、兄弟、行政機関の相談員)や介護サービスを上手に利用し、協力してもらうことが長く続けるコツなのです。

自分で何もかもやろうとせず、一生懸命になりすぎないことが、介護につまずかないための第一のポイントと言えるでしょう。

2.母親と程よい距離感を保つ

例えば介護の専門職に対して「どうして要介護の人にいつも優しく接することができるの?」と疑問に思う人がいます。実はここに介護のコツがあるのです。

介護を仕事にしている人は、誰しも要介護者に対して愛情や思いを抱いています。しかし、あくまでも仕事として関わっているので、そういった感情も程よい距離感を保ちながら仕事をしているのです。

一言でいうと「のめり込みすぎない」ということになります。

これが、身内の介護になると”介護にのめり込んでしまう”ことが往々にしてあります。

親に対する思いが強いと「私ができることは全部してあげたい」という思考になり、本来母親の出来ることまで奪ってしまうこともあるのです。

例えば、食事介助の必要ない母親に対し、よかれと思って娘が介助に入ることで、結果的に母親が”自分で食べる”という機会が減少します。

これを日々繰り返すうちに、いつしか身体機能が低下してしまい、自分で食べることができなくなることがあるのです。

また、服薬や着替えなども、良かれと思って全て娘がやってしまうことで、認知機能が徐々に低下し、認知症へ発展してしまうこともあります。

「のめり込み」には、このような機能低下につながってしまうこともありますので、気を付けなくてはいけないポイントです。

「大変そうだから手伝ってあげたい」と思うかもしれません。しかし、本人のリハビリだと思って、ときには見守ってあげることも必要です。

母親に対しては、感情だけで行動せず程よい距離感を持つことで、一歩立ち止まり本当に母親のためになるかどうかを考えられるようになります。

3.熱いこころと冷めた頭をもちましょう

このフレーズは、よく介護の世界で使われる言葉です。介護に対して“熱い心を持っていても、頭は冷静でいましょう”という意味です。

介護をしているうちに、本人は介護してもらうことにも慣れてくる一方で、娘に対して、きつい言葉をかけることがあるかもしれません。
例えば「もう少し優しい態度で介護してよ」や「どうしてまだ食事作ってないのよ」といった不満です。

その時に、「わたしはこんなにお母さんのために介護しているに」という思いが、心の奥底から浮き上がり感情的になってくると思いますが、そういう時こそ冷静な対応が必要です。

母親は娘の介護に対して「ありがとう」という感謝の思いを持っています。しかし、時に介護してもらっていることの情けなさや不満をどこに吐き出せばよいか分からなくなり、娘にぶつけてしまっているのかもしれません。

このような場合は、冷静になって母親の思いを受け止めて、優しい言葉をかけてあげるようにしましょう。冷静な頭がないと、母親に手をあげてしまったり、ケガをさせてしまうことにもつながりかねません。

「自分に限ってそんなことはない」と思っていても、介護疲れなどが溜まり気持ちに余裕がないときには、誰しも起こりうることなのです。

4.介護サービスと上手に付き合いましょう

前述したように、冷めた頭を持つためには気持ちに余裕が必要です。そのため、すべての介護を自分でやろうとせず、訪問介護などの在宅介護サービスを上手に使い、余裕を持つことも大切なポイントです。

ただし、ここでも失敗につながる注意点があります。介護スタッフは介護を仕事としていますが、介護保険サービスはしてくれることに限界があります。

公的な介護サービスとはいえ、希望すれば何でもしてくれるわけではありません。

「仕事で介護しているのに、こんなこともしてくれないの?」と思った場合には、まずはケアマネジャーに相談してみましょう。それが介護サービスの内容として、過剰に期待しすぎていることであるかどうかをアドバイスしてくれます。

例えば「デイサービスでお風呂がたった10分しか入れなかった」と母親の口から不満が漏れた場合、「きっとデイサービスが手を抜いている。母が希望しているのにどうしてもっと長く入浴させてくれないの」と思ってはいけません。

長く入浴したいという母親の思いを大事にしたいところではありますが、デイサービスも母親以外に数十名の利用者がいます。そうしたデイ側の事情も考慮し、してもらってあたりまえではなく、介護サービスに対しても感謝する気持ちを忘れずに利用するようにしましょう。
 

介護は強制されるものではない

ここまで母親の介護について、つまずかないためのポイントを紹介してきました。介護で一番大事なのは、「介護する方が嫌々やらない」ということです。もしも母の介護をする人が娘さんしかいない場合には、介護サービスも上手に活用しましょう。

任せられる部分はプロに依頼し、家族にしかできないところを行えば、介護の負担は軽減できるでしょう。それが心の余裕にも繋がり、母親の介護をしてあげたい、自分でもできると思えるものです。

初めての介護についても同じことがいえますが、介護はできるところから行えばいいのです。初めから自分ですべてやろうと思わなくていいのです。介護生活を支えるサービスは、思ったよりたくさんあります。

「失敗してはいけない」とどんなに気を張っている人でも、初めての介護に失敗はつきものです。

どんなことで、失敗したり、つまずいたりするのかを事前に知っておくと、先の見通しができて、安心につながります。あまり気を張らず、介護の一歩を踏み出してみましょう。

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著者

森 裕司

森 裕司(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、障がい支援専門員)

株式会社HOPE 代表取締役 
11年医療ソーシャルワーカーを経験後、介護支援専門員(ケアマネジャー)として相談援助をする傍ら、医療機関でのソーシャルワーカーの教育、医療・介護関連の執筆・監修者としても活動。最近では、新規事業・コンテンツ開発のミーティングパートナーとして、企業の医療・介護系アドバイザーとしても活躍。
https://www.hope-kawagoe.co.jp/mori/top

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