【ケアマネが解説】母の介護が始まる前にとるべきコミュニケーション

自分の母親にいつ介護が必要となるかは、誰にも予想できません。突然、病気やケガをきっかけに介護が必要になるかもしれないのです。

そうなる前に、備えておいた方が良いことは何か、今回はコミュニケーションの方法についてご紹介します。

親の介護に備える|コミュニケーションの取り方

母親が元気なうちから介護の話をするのは気が引けるかもしれません。またそういった話をすることで、母親が気分を害し不機嫌になってしまうこともあるでしょう。

そうならないために、どのような会話・コミュニケーションをとればよいのでしょうか。

介護の話をする前に伝えておきたいこと

母親と介護の話をするときには、一番に家族の思いを伝えてみましょう。

例えば「もしもお母さんに介護が必要になったとき、安心してもらえるよう事前に話をしておきたい」など、率直な思いを伝えれば良いのです。

その話の中では、もしかしたら聞きづらいことを聴くことになるかもしれません。本音を聞くためにも、しっかりと家族の思いを伝えてから、話をしていきましょう。

母親の日常生活を確認

まずは、母親がどんな日常生活を送っているのか、聞いてみることからはじめましょう。

では、具体的にどのようなことを聞いていけばいいのでしょうか。

日常生活を知る

まずは、1日の生活を聞いてみましょう。主な質問事項としては、以下のようなものがあります。

  • 起床、就寝時間
  • 食事の時間(3食食べているか)
  • どのようなものを食べているか
  • お風呂は何時に入っているか(週何回入っているか)
  • 外に出かける時間や頻度
  • 好きな趣味や、自宅でどのようなことをして過ごしているか

これは、いざ介護が必要になった時に、ケアマネジャーに聞かれる内容でもあります。

母親が「介護が必要になる前は、どのような生活をしていたのか」は、ケアマネジャーが介護の計画を立てるときや介護サービスを受けるときに、とても大切な情報になります。

友人関係を知る

母親がどのような人と会い、どこに出かけ、どんなことを楽しんでいるのかを知ることも大切です。

要介護状態となり、もしも外出ができなくなったときに、「誰に会えれば喜んでもらえるか」や「どんなところに行きたいのか」を知ることにもつながるからです。

介護が必要になると、今までの交友関係が続けられなくなってしまったり、自由な外出も困難になる場合があります。

そうした状況になったとしても、母親に楽しみを感じてもらえるような生活にするには、このような情報を知っておくことがとても大切なのです。

また、いざという時に近所の人や母親の友人が助けてくれることがあるかもしれません。

母親にとっての介護のイメージとは?どんな介護を受けたいか

介護に対するイメージは人によって違います。「身体が不自由になっても支えてもらい生活できる」という良いイメージを持っている方もいれば、「人に頼るのは嫌」など負のイメージの方もいらっしゃいます。

介護に対して、母親がどんなイメージを持っているか、事前に知っておくことで「家族の介護を受け入れてくれるか」や「介護サービスを利用してくれるか」。あるいは「実は老人ホームでの生活を望んでいるかもしれない」といったことの予想にもつながります。

母親の望む介護生活を確認

介護が必要となったときに、母親がどのような介護を受けたいのか知っておくことは、とても大切です。

例えば、寝たきりの状態になり、介護が必要となったときに、「家族の介護を受けながら自宅で生活したい」という方もいれば、「家族に迷惑をかけたくないので、介護施設に入りたい」という方もいるでしょう。

このように、理想の生活は個人によって違ってくるのです。そのためにも、母親の希望を聞いておくようにしましょう。

経済状況について確認する

要介護状態になり、介護サービスを利用すると当然お金が必要になります。

毎月の介護サービスにどのくらいお金を掛けることができるかを判断するため、母の「預貯金」、「収入源」と「毎月の収入額」を家族が知っておくことはとても大切なことなのです。

預貯金・生命保険・加入保険も確認

入院したり、介護施設に入所すると、毎月数十万円という支払うことになります。そのためにも、預貯金額や民間保険(医療保険等)の加入状況についても確認しておきましょう。

収入や預貯金額によって、医療費や介護サービス費の軽減制度を利用できる場合があります。今後、どの程度医療費や介護サービス費がかかるのか、予測を立てるときにも役に立つでしょう。

介護費用の負担軽減制度について詳しく見る 医療費の負担軽減制度について詳しく見る

介護費用について確認

介護サービスを利用して生活していくには、どのくらいお金が必要になるでしょうか。

生命保険文化センター「令和3年度生命保険に関する全国実態調査」によると、介護サービスに支払った金額の平均は毎月8万3,000円となっています。

こちらはあくまでも平均であり、介護施設に入居することになると、月々の支払いは更に増加します。いざ介護が必要になったときに、母親が望む介護生活が送れるように、お金についても備えておきたいところです。

介護費用について詳しく見る

延命について親の意思を確認

病気やケガによってさまざまな治療が行われます。その中でも、事前に母親に確認しておきたいことがあります。それは、延命措置についてです。

延命措置とは、例えば脳梗塞など生命の危機に関わる病気になった場合、呼吸していないときに行う「人工呼吸器の装着を希望するか」や、管で栄養を補給する「経管栄養を希望するか」といったことを指します。

このような延命措置をするかしないか。これは、救急搬送されたあと、病院の医師から聞かれることでもあります。その時に、母親の希望を代弁できるように、事前によく話し合いをし、備えておきましょう。

延命治療について詳しく見る

家族でも話し合いをしておく

母親とのコミュニケーションだけではなく、母親を支える家族全員で密なコミュニケーションをとりましょう。

介護が必要になった時に、家族みんなで助け合いができるように、事前に備えておきたいものです。

家族による金銭援助

要介護状態になると、介護費用や医療費がかかることはご紹介したとおりです。

母親の経済状況を確認した結果、本人の収入や預貯金だけで介護・医療費の支払いが難しい場合は、家族内で負担しあうことになるでしょう。

金銭負担については各家庭の事情もあり、すぐに結論を出せないかもしれません。しかし、入院や介護施設に入所してから家族会議を行うようでは遅いのです。

突然介護が必要となったとき、金銭負担について家族内で言い争いになったり、不仲にならないためにも、事前に話し合いをして備えておきましょう。

母親が安心できるコミュニケーションを心掛ける

母親の介護生活に備えて、どのようなコミュニケーションをとれば良いのか、ご紹介してきました。

コミュニケーションの中で一番大事なのは、介護を受ける母親に安心してもらえることです。不安を与えるようなコミュニケーションにならないように、母親の思いを尊重しながら話をしてみましょう。

母親、そして家族にとって「事前に話し合っておいてよかったね」と思える備えが一番だと思います。これを機会に、一度本音で話し合ってみてはかがでしょうか。

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この記事の制作者

森 裕司

著者:森 裕司(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、障がい支援専門員)

株式会社HOPE 代表取締役 
医療ソーシャルワーカーとして10年以上経験した後、介護支援専門員(ケアマネジャー)に転身。介護の相談援助をする傍ら、医療機関でのソーシャルワーカーの教育、医療・介護関連の執筆・監修者としても活動。近年は新規事業やコンテンツ開発のミーティングパートナーとして、企業の医療・介護系アドバイザーとしても活動中。

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