【ケアマネが解説】デイサービスを拒否する父│楽しく通わせる4つのポイント

介護相談の場面では、デイサービスへ行くことを拒否したり、嫌がる男性は多く見られます。

もしご自身の父親がデイサービスを嫌がったとしても、それは決して特別なことではありません。父親を介護するほかのお宅でも同様にみられることです。

では、この時の父親はどのような気持ちなのか、どうすれば納得してデイサービスを利用してもらえるのか、ポイントをみていきましょう。

デイサービスを拒否し、嫌がる父親の思いとは

ここで、デイサービスを嫌がる、父親の思いを理解してみましょう。父親の思いとして、以下のようなものが考えられます。

<父親の思い>

  • 家にいたほうが楽
  • 外に出るのが面倒
  • まだ自分は介護が必要な状態ではない
  • 趣味に打ち込んだり自分の時間を大切にしたい
  • 人と話をすることが苦手
  • デイサービスに行く理由がない。興味もない

このように、男性ならではの拒否理由がいくつかあったかと思います。

多くのご利用者やご家族に携わってきた私の経験からすると、男性は女性と比べて「人と話す機会がほしい」という方が少ない傾向にあります。

なぜなら、女性は近所の主婦仲間とおしゃべりをしたり、友達と長電話をしたりといったコミュニケーションを、日常的に経験している方が多いのです。

一方で、現在の高齢男性は人生の大半を会社で過ごす方など、仕事以外の人付き合いが希薄な方が多いからだと思います。

そのため、「友達ができるよ」「話のできる人がいるよ」といった理由でデイサービスを勧めても、父親の気持ちが動くことは稀です。意欲が湧かず、行ってみたいとは思わない方のほうが多いのです。

父親にデイサービスを勧めるときの4つのポイント

一口にデイサービスといっても様々なタイプがあります。それぞれ特徴が異なるため、中には「うちの父親でも行ってくれるかもしれない」と感じるデイサービスがあるかもしれません。

しかし、みつけたことで安心してはいけません。デイサービスを父親に勧めるときには、注意したい4つのポイントがあります。

1.なぜ行きたくないのかを理解する

なぜデイサービスを拒否し、嫌がるのか。それを理解せずにデイサービスを勧めることは強制であり上手くいきません。勧める前に、しっかりと父親と話をして、嫌がる理由を聞いてみましょう。

もしかしたら、デイサービスについて認知症の方がたくさんいるイメージや、「姥捨て山」のような漠然としたイメージを持っているかもしれません。その場合には、利用者層や提供されているサービス内容など、正しい情報を伝えるようにしましょう。

2.「デイサービスにいかせること」に一生懸命にならない

デイサービスに行ってほしい理由は、家庭によって違うと思います。

例えば「日中家族は仕事で不在。自宅で父一人にさせると転倒の危険があり心配」、「自宅のお風呂は足が上がらなくて入れない。デイサービスで入ってもらいたい」など、デイサービスを利用してほしい家族の気持ちはさまざまあると思います。

しかし、利用するのは、父親本人だということを忘れないでください。

もしあなたが、楽しくもない集まりや飲み会に毎週参加しないといけないとしたら、どう感じますか?そのうち理由をつけて行かなくなりませんか?

それと同様に、はじめは家族にいわれたからと通い始めたとしても、本人に意欲がなければそのうち足が遠のきます。デイサービス自体のイメージも悪くなったり「もう二度と行かない」となってしまうこともあります。

デイサービスを利用してもらうための「説得」ではなく、父親に「納得」して利用してもらうことが何よりも大事なのです。

「デイに行かせること」を意識し過ぎずに、父親が「行ってみたい、楽しそう」と思える提案をすることを意識しましょう。

3.映像や写真を上手く使う

ご高齢になると、話だけではイメージしづらいことがあります。はじめてデイサービスを利用するときだとなおさらでしょう。

話をするときには、デイのパンフレットを取り寄せたり、ホームページを印刷したりと、父親が目にしたときに、わかりやすくすることも大切です。そこに興味のあるものが写っていたら、前向きに話を聞いてくれるかもしれません。

気持ちが前向きになったら見学に行ってみるのも良いでしょう。その際は、複数のデイサービスを見学することで、父親の性格や嗜好にもっとも合うところを選ぶことができます。

ケアマネジャーに相談し、その地域にある複数のデイサービスの情報を教えてもらいましょう。

4.話しかけるタイミング

そのときの父親の気分やタイミングを見計らわずに、「デイサービスに行ってみない?」と勧めるのは逆効果。無理に話を進めようとすると拒否感を強め、心の扉を閉ざしてしまいます。

人の気持ちは移り変わるもの。気分の良いときなどに父親の心の扉を軽くノックするところからはじめて、本人の思いを尊重しながら話をしてみましょう。

特徴から選ぶ│男性に人気のデイサービス

最近のデイサービスは、事業所によってさまざまな特徴があり、提供するサービスの内容も違います。男性に人気のデイサービスにはどんな特徴があるのでしょうか。

運動系のデイサービス

デイサービスには、筋肉の向上よりも維持を目的として、ご高齢の方でも扱いやすいトレーニングマシンを設置しています。

イメージとしては、シニア向けのスポーツジムと思っていただければと思います。

若いころにスポーツに打ち込んでいた方や、体を動かすことが好きな方には特にオススメできます。

趣味に特化したデイサービス

父親が好きなことや、むかし熱中していた趣味などがあれば、それが実現できるデイサービスも検討してみましょう。

男性に人気なのは、囲碁や将棋。麻雀、パチンコなどがありますが、実際にこれらを提供しているデイサービスもあります。

その他に、農業のご経験や家庭菜園が趣味の方には、デイサービスでプランターを用意してくれて、野菜作りを楽しめるところもあります。

お風呂が楽しめるデイサービス

銭湯や温泉にいくのが好きだった方であれば、お風呂が充実しているデイサービスを選んでみてはいかがでしょうか?

開放感のある大浴場で、日本庭園のような小さな庭を眺めることが入浴できるところもあります。

また、浴槽がヒノキでできておりその香りを楽しんだり、温泉気分を味わいながら入浴できるところもあります。

旅行気分が味わえるデイサービス

月に1回程度、日帰りで地域の観光名所に連れて行ってくれるデイサービスもあります。歴史が好きな方、観光や旅行が好きな方には、気に入っていただけるかもしれません。

行き先は、デイサービスを利用している方と相談しながら決めてくれます。当日はデイサービスのクルマに乗車し、スタッフも付き添うので、車いすの方でも楽しむことができます。

お住いの地域に、上記のようなデイサービスがあるかどうかケアマネジャーに確認してみましょう。

デイサービスは生活を豊かにするところ

ここまでデイサービスの利用にあたり、ご本人が納得できるポイントをご紹介してきました。

デイサービスを利用する背景には、「自宅に父親を1人でおいておけない」といった心配や不安。また、仕事と介護を両立しなければならないというご家族の事情もあるかもしれませんが、デイは父親の生活を豊かにする場所であるということを決して忘れないでください。

デイを提案する家族の思いは父親にも伝わります。前向きな家族の思いが父親に伝わり、デイサービスを利用することで生活が豊かになり、家族みんなが幸せな介護生活を送れることが一番です。

一度デイサービスを拒否されたとしても、父親の気持ちをよく確認しじっくりお話しされることをオススメします。

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この記事の制作者

森 裕司

著者:森 裕司(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、障がい支援専門員)

株式会社HOPE 代表取締役 
医療ソーシャルワーカーとして10年以上経験した後、介護支援専門員(ケアマネジャー)に転身。介護の相談援助をする傍ら、医療機関でのソーシャルワーカーの教育、医療・介護関連の執筆・監修者としても活動。近年は新規事業やコンテンツ開発のミーティングパートナーとして、企業の医療・介護系アドバイザーとしても活動中。

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