中楽坊は、あの頃の日本のコミュニティ。
「中楽坊」は、戦後、都市化や核家族化によって失われた「視線や声掛け」「誘い(仲間)」「執り成し(取り計らい)」「助け合い(お互い様,おかげ様)」「貢献の機会(仲間の役に立つ。求められる)」「見守りや救助の機能」を蘇らせることによって、特に高齢の人々の心身を癒し、心から暮らしやすいと感じられるようにしたコミュニティです。
昔あった、井戸端会議、おすそ分け、祭り、運動会、神社や寺の掃除、商店街、豆腐屋のラッパ、銭湯、縁側・・・。
「中楽坊」は、伝統的な日本の地域社会や人々の関わり方を再現した住まいであり、今やこの国のどこにもない古き良き日本の暮らし、人間らしい触れ合いのある生活から生まれる「楽しさ」や「安心」を提供しています。それは、見知らぬ人が作った遊びやゲームでは味わえない「本当の楽しさ」であり、専門家や業者にお金を払って得るのとは質の異なる「本当の安心」です。
このような意味で、「中楽坊」は“新しい”ものではありません。むしろ、誰もが心豊かに暮らしていたあの頃を想起する“懐かしい”ものです。
高齢者がその昔に見た、感じた、体験したことがあるコミュニティです。そこでは、現代社会に対する様々な違和感が解消され、自然で気兼ねなく、自分らしく生きられるはずです。また、同世代が集まって住むことにより、様々な感情を分かち合えますから、喜びは倍増し、痛みや哀しみは半減したり忘れたりできます。「中楽坊」は、そんな昔の日本にあった優れた共同体の本質を、ただ忠実に再現したものなのです。
「孤独・孤立対策担当大臣」が設置されるほどに、人間関係の希薄さや社会関係資本の貧弱さが問題になっている現代。高齢者についても、三世代同居が1980年代の約半数から、約9%にまで落ち込むなど、孤独や孤立に陥りやすい状況にあります。そして、孤独や人に会わない生活が高齢者の死亡・要介護・抑うつ等のリスクを大きく高めてしまうことも、多くの調査研究から明らかになっています。すなわち「中楽坊」は、地域コミュニティの再生を通して、孤独や孤立という現代の重要課題を解決するとともに、健康寿命の延伸にも寄与しているのです。人生百年時代の「住み続けられる街づくり」とも言えるでしょう。