見に行けなくても、祝える幸せ。老人ホームで開かれたもうひとつの入学式

「孫の入学式、見に行けたらええのになあ…」という何気ない一言から始まった、“もうひとつの入学式”。お孫さんの話を嬉しそうにしてくださるNさんの気持ちを、職員が受けとめ、形にしようと動き出しました。

「どっちが前？」「この方が映えるね」と飾りつけを進めるうちに、利用者様同士の会話も弾み、折り紙の桜や紙花、入場ゲートの飾り付けをするたび、場の雰囲気も和やかに。「自分のことじゃないのに、なんでこんな嬉しいんやろな」という声に、誰かを祝う喜びが詰まっていました。

厨房では男性スタッフが春らしい桜プリンを手作りし、「子ども喜ぶかな」と試行錯誤。見た目も味もこだわった“なごみ流おもてなし”に、スタッフも盛り上がりました。準備の時間そのものが、すでにお祝いのひとときになっていたのです。

前日にはゲートの仕上げが間に合わず「これは徹夜やな〜」と夜勤チームが色付けをし、完成した張り絵の門は温かみのある手作り感。準備の一つ一つが特別な思い出に。

当日、レッドカーペットを通って入場してきた新入生たちを、拍手で迎える入居者様たち。代表スピーチでは、孫の代わりに「ここで皆さんの門出を祝わせてもらいます」と話すTさんの誇らしげな笑顔が印象的でした。

子どもたちへのインタビューでは「ダンスを頑張る！」「友達100人作る！」など初々しい声が響き、会場は笑顔に包まれました。最後に利用者様が涙ぐみながら「ありがとう」と握手する姿に、職員一同も胸が熱くなりました。

初の企画で不慣れな部分もありましたが、心が通い合う素敵な一日となりました。

入学式は、子どもたちにとっての晴れ舞台であると同時に、
誰かの成長を願い、見守る大人たちにとっても、心を動かされる特別な時間なのかもしれません。

「行けない」から「ここで祝う」へ。
誰かを想う気持ちが形になるとき、人と人の距離はぐっと近づきます。

これからも、ガーデンホームなごみがそんな“交わり”の場であり続けられるよう、
スタッフ一同、日々を大切に重ねていきたいと思います。