在宅介護はいつまで頑張れば…?アンケートでわかった、老人ホームを考えるタイミング

2019年の厚生労働省のデータによると、介護をしている方のうち半数以上の方が要介護者と同居しています。無理なく同居を続けられれば問題はないですが、介護者が精神的、肉体的に疲弊していき共倒れになってしまうケースも。在宅介護から施設介護に移行した方は、何をきっかけに老人ホームへの入居を考えたのでしょうか?

このページでは、LIFULL 介護が行ったアンケート調査から、老人ホームに入居された方は、入居前にどのような状態だったのか、そして、どんなきっかけで施設入居を検討されたかをご紹介します。

データの出典
2020年「介護施設入居に関する実態調査」LIFULL 介護
調査方法
インターネット調査
調査対象
家族・親族の中で1年以内に介護施設入居者がいる方、または家族・親族の介護施設の情報収集や選定に関与した方

入居を検討したきっかけは

入居検討のきっかけ(アンケート調査から)

  1. 自宅での介護が困難になった、介護の負担が大きくなったため
  2. 認知症の症状が現れた、または悪化したため
  3. 体力、身体機能が衰えてきたため
  4. トイレ、食事など日常生活の動作が自分でできなくなったため
  5. 介護者の病気やケガ、心身の疲弊のため

入居を検討したきっかけで一番多かったのは「自宅での介護が困難になった」との回答でした。「これ以上は物理的に難しい」と限界まで在宅介護をされている方が多いことがわかります。ついで多かったのは、認知症の症状が現れたことをきっかけに入居を検討したという声です。

介護度別に、入居を検討したきっかけをまとめた記事もありますので、詳しくはそちらを参照してください。

要支援1、2の方が老人ホームへ入居するきっかけは? 介護1、2の方が老人ホームへ入居するきっかけは?経験者の声を聞く 要介護3以上の方が老人ホームへ入居するきっかけは?経験者の声を聞く

LIFULL 介護入居相談室に寄せられた、老人ホームへの入居のきっかけ

LIFULL 介護入居相談室では日々、老人ホームについてのご相談を承っています。アンケート調査の補足として、寄せられたご相談から、入居検討のきっかけとして多いものをピックアップしました。

  • 排泄介助が必要になり、一人でトイレにいけず夜中に付き添いが必要になったため
  • 火の始末がお一人では難しくなってしまったとき
  • 外出して行方不明になったことから
  • 認知症が進み、暴力や暴言が増えたため
  • 介護を必要とする方が、どうしても一人になってしまう時間があるため
  • 介護者が仕事と両立できなくなってきたため
  • 介護者の精神的な負担が重くなってきたため

アンケート調査でわかった、入居する前の状態は

では、実際に入居を検討された方々は、入居する前にどのような状態だったのでしょうか?介護度と認知症の有無を以下グラフにまとめました。

老人ホーム入居前の要介護度は?

老人ホームは介護度の重い方が入居する場所と思われがちですが、意外にも要介護5は10%以下と少数派。要介護1と2がそれぞれ15%を超える多数派になっています。

特別養護老人ホーム(以下、特養)の入居条件は要介護3以上。一般的に特養に入居できないとされる要支援1〜要介護2でも老人ホームへの入居を決められた方は、54.5%と半分以上いらっしゃることがわかります。

認知症症状の有無

症状の内訳
物忘れ、記憶力の低下  60.2%
理解力、判断力の低下 48.8%
被害妄想、物取られ妄想 19.4%
外出して戻れなくなる 14.1%
幻視、幻聴 9.8%
暴力、暴言 8.8%
不潔行為 5.6%

老人ホームへの入居を検討される被介護者のうち、8割の方に認知症症状があったことがわかりました。症状の主な内容は記憶力の低下、理解力、判断力の低下でした。

入居検討のきっかけとして「介護負担の増大」と回答された方が多数だったことを踏まえると、認知症の症状が介護負担を大きくしているケースが多いのではないかと推察できます。

医療行為の有無

ではインスリン注射や人工透析など必要な医療行為の有無はどのような状況だったのでしょうか?

グラフを見ると、医療行為なしの方が多数派です。

必要な医療行為の有無は、老人ホーム入居検討のきっかけにあまり関連がなさそうです。

入居前の介護で大変だったこと

アンケートでは、介護者の方に「老人ホーム入居前の介護でどのような点に苦労したか」をお伺いしました。

  1. 体力や気力が持たないと思った
  2. 精神的な辛さやストレスを感じた
  3. 介護費用などの経済的負担が大きかった
  4. 何をすれば良いか分からなかった
  5. 介護による疲れを感じた
  6. 先が見えない/この先どうなるのか分からないと思った
  7. 介護保険サービスや制度の仕組みがわからなかった
  8. 被介護者の症状が急に変化、悪化した
  9. 被介護者の認知症の症状
  10. どこまで面倒を見ればいいか分からなかった

「体力や気力が持たない」「精神的な辛さやストレスを感じた」との回答が上位2つをしめる結果になりました。「何をすれば良いかわからなかった」「先が見えない」などの回答もあり、状況をコントロールできない介護者のストレスが垣間見えます。

在宅介護に難しさを感じたら、まず相談を

在宅介護から施設入居を検討するステップは、法律などで定められた明確な線引きがありません。判断は、いつも当事者の方々に委ねられています。

それゆえに、やはり住み慣れた自宅から別の場所へ移り住むことに抵抗を感じ、限界まで頑張ってしまわれる方が多いと思います。また、今まで介護サービスを使いながら自宅で生活することができていたなら、尚更「見守りや介助をもっと周りの人間が頑張れば…」という考えになるのも無理はありません。老人ホームの高額な入居費用に尻込みをしてしまい、より介護負担を抱え込むご家族の方も多いかと思います。

しかし、明確な線引きができないということは、ご自身が在宅で介護を続けることに少しでも困難を感じたらそこが施設介護への切り替えのタイミングとも言えます。費用の負担も、公的な制度を使えば現実的な選択肢になることもあるでしょう。

具体的な相談窓口は?

まずは担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談をしてみましょう。LIFULL 介護でも老人ホームについてご相談を承っています。

LIFULL 介護相談室ができること

あなたに最適な老人ホームをご提案します

ご入居される方のお体の状態や、嗜好、そしてご予算から、最適な老人ホームをご提案します。相談を承るのは、様々な施設に精通した専門スタッフです。

見学に同行、また施設との調整も行います

どんな観点で施設を選ぶべきかアドバイスし、時には見学もお手伝いいたします。施設に直接質問しにくいお話も、相談員を経由してお聞きください。

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