質問

有料老人ホームへ母の入居を検討しています。母は10年以上通っている心療内科があり、老人ホームへの入居後も同じ病院に通いたいと強く希望しています。老人ホームに入居してからも今までと同じ病院に通院できるか教えてください。

回答
中村 真佐子

入居後も通い慣れた医療機関に通うのは、条件が整えば可能です。
ただし、入居した老人ホームの場所が通い慣れた病院から遠く離れていたり、通院に金銭的負担や、本人に身体的な負担がかかったりするなど条件が整わない場合は、老人ホームの協力医療機関の受診を勧められることがあります。
通い慣れた医療機関に通い続けたい強い希望がある場合は、老人ホーム見学の際に通院について確認を取るようにしましょう。具体的に確認を取るべきことについて詳しく見ていきましょう。 中村 真佐子(マイアドバイザー®登録FP)

【目次】
  1. 1.協力医療機関外の通院は可能か
  2. 2.緊急時の老人ホームの対応はどうなっているのか
  3. 3.特殊な科目の受診が必要な場合
  4. 4.通院への付き添い有無
  5. まとめ

1.協力医療機関外の通院は可能か

老人ホームには、提携している協力医療機関があります。
診療科目は「内科」、「精神科」、「歯科」が主なもので、定期的に医師が訪問し、ホーム内で診察を受けることができます。ただ、それまで通い慣れていた医療機関に引き続き通いたいという本人の希望がある場合は、入居前に相談をしてみましょう。

老人ホームからの通院は、自立している方であれば、自宅から病院に行くのと同様に通院が可能です。しかし、体が不自由で一人では通院できない場合は、継続することが可能か検討する必要があります。
通院可能な条件が整えば、協力医療機関以外の通院も可能となります。(付き添いに関しては、後述します)また、本人の医療情報は、老人ホームで常に把握していますので、他の医療機関の投薬の対応も相談にのってくれるでしょう。

2.緊急時の老人ホームの対応はどうなっているのか

緊急時の対応は入居前に確認を取りましょう。
急に高熱が出た、病院内で感染症が流行しうつってしまった等の内科的な病気の場合は、協力医療機関の医師が迅速に対応できます。看護師が常駐しているホームでは医師が駆けつける前に応急処置をしてくれます。
インフルエンザやノロウィルスなど感染症の場合は外出しての通院は困難になります。健康相談もできるかかりつけ医として、内科に関しては老人ホームの協力医療機関にかかることをお勧めします。

また「転倒して動けなくなった」、「心臓や脳血管の病気により倒れた」というような緊急時は救急車を呼びます。本人の医療情報はホームから救急隊員に伝えられ、受け入れ医療機関の選択にも考慮されます。ただ、このような緊急時は本人の意に添うことが難しく、遠くのそれまでかかったことのない病院へ搬送されるケースも少なくありません。

3.特殊な科目の受診が必要な場合

協力医療機関では対応できない特殊な病気の場合は、老人ホームの生活相談員から近隣の通院可能な病院の情報提供をしてもらい、ホームから通院することになります。
人工透析など定期的に通院するケースや、通院でがんの治療を行うケースなどもそれにあたります。また、眼科や整形外科等、協力医療機関にない診療科目の受診も同様です。

4.通院への付き添い有無

協力医療機関の医師は定期的に老人ホームに訪問してくれ、居室で診療を受けることができますので、心身だけでなく経済的にも負担が軽くなるはずです。

4-1.一人で通院できない場合は家族の協力も必要

協力医療機関以外の病院へ、本人が一人で通院ができない場合は、まず家族が付き添うことになります。家族が付き添えない場合は、ホームの職員が付き添ってくれるところがあります。
また、ホームの職員で対応ができない場合は、通院介助をしてくれる有償ヘルパーの利用を検討しなければなりません。有償ヘルパーを通院時に利用する場合は、自費で介護事業所と別途契約を結ぶことになります。
家族以外の方が付き添う場合は、別途費用が掛かる場合があります。入居契約前に確認をしておきましょう。

4-2.通院にかかる交通費

さらに公共交通機関での通院が難しい場合は、移動にタクシーを使うことになりますので交通費もかかります。一人で通院可能であれば付き添い費用は発生せず、費用は交通費のみとなります。
自治体によっては通院にかかるタクシーの費用を福祉タクシー券として助成してくれるところがあります。
人工透析をしている方など要件はありますが、こういった制度を利用できるか、老人ホームの責任者やケアマネジャーに確認をしてみるとよいでしょう。

まとめ

老人ホーム入居後でも、通い慣れた医療機関での受診は条件が整えば可能です。
条件とは、

・通院可能な心身の状態であるのか?
・付き添いはどうするのか?
・老人ホームの職員の付き添いが可能か?
・別途介護事業所を経て有償ヘルパー契約をするのか?
・その場合いくらい費用が掛かるのか?
・ホームへの月額負担に加え、通院費用を今ある資産や年金で負担可能なのか?

このような点をクリアすることです。

通院は、診療する病院と処方された薬受け取りで2か所に足を運ぶことになりますので、思いのほか体力を使います。元気なうちはよいですが、年を重ねるうちに通院が負担になってきます。
経済面、心身面で条件をクリアすることができなければ、協力医療機関に変更することを検討します。老人ホームによっては、看取りを行ってくれるところがあります。

そして、老人ホームでの看取りは、基本的に協力医療機関が対応することになりますので、そのような希望があれば、入居時から本人、家族ともに協力医療機関との信頼関係を築いていくとよいでしょう。
協力医療機関の情報、診療可能な科目、訪問頻度、薬の処方などを入居前に確認をしましょう。

このQ&Aに回答した人

中村 真佐子
中村 真佐子(マイアドバイザー®登録FP)

ファイナンシャルプランナーとして、住宅ローン・教育資金など、若い世代の普通の家庭におこりうるお金周りの相談は、生活者目線を大切にしています。
社会福祉協議会で生活支援員としての活動もしており、高齢者や障害者の介護、住み替え、成年後見制度分野の相談も得意としています。