介護保険制度の改正

介護保険制度とは、介護や支援を必要とする人を社会全体で支える制度です。介護保険法は2000年4月に実施され、初めての見直しが5年後の2005年に行われました。その後は3年おきに見直しが実施され、直近では2015年4月より順次施行(見直しは2014年)されています。
今回の見直しは「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため」を趣旨とされた法律に基づき改正されました。
2015年の主な改正内容は以下の5つです。 老人ホーム・介護施設を探す

1. 一定以上の所得がある場合、自己負担割合が2割に増加

介護保険サービスを利用する場合に、利用者自己負担はこれまで一律に「介護サービス費の1割」としていました。2015年の改正により、65歳以上の方で合計所得金額が160万円以上の場合は、自己負担割合が2割に増えました。ただし、合計所得金額が160万円以上の場合でも、世帯の65歳以上の方の「年金収入とその他の合計所得金額」の合計が、単身世帯の場合280万円、2人以上の世帯の場合346万円未満の場合に限り、1割負担のままです。

利用者負担の判定の流れ
利用者負担の判定の流れ

厚生労働省 リーフレットより

2015年8月以降のサービス利用分から負担割合が変更になりました。ご自身の自己負担割合を知るには「介護保険負担割合証」で確認できます。これは要介護・要支援認定を受けた場合に、毎年6~7月に市区町村から交付されます。

2. 特別養護老人ホームに入所できるのは要介護3以上に

これまで特別養護老人ホーム(以下、特養)は要介護1から入所する資格がありましたが、今回の改正により「原則要介護3以上」の方のみに限定されました。ただし、要介護1や2の場合でも以下のようなやむを得ない事情があれば、特例的に入所が認められます。

認知症で、日常生活に支障を来すような症状などが頻繁に見られること
知的障害・精神障害などを伴い、日常生活に支障を来すような症状などが頻繁に見られること
深刻な虐待が疑われるなどにより、心身の安全・安心の確保が困難な状態であること
単身世帯など家族などで支援が期待できず、地域での介護サービスなどの供給が不十分であること

※入居条件は施設により変動する場合があります。各施設へお問い合わせください。

特養は入所希望者が多いものの全国的に施設が足りず、重度の要介護状態でもやむを得ず在宅生活を続けている人が多い状況です。今回の改正は、そのような方が優先的に特養に入所できるようにすることを目的にしています。なお、すでに入所している要介護1及び2の方は、現在のところ退所することなく施設サービスを受けられるようです。

3. 介護保険施設での「食費・部屋代」負担軽減基準の厳格化

介護保険3施設「介護老人福祉施設(特養)・介護老人保健施設・介護療養型医療施設」やショートステイを利用する方の食費・部屋代は、一定の低所得者に限り負担軽減を行っています。この負担軽減の判定基準は、これまで本人及び同一世帯の方の「前年の所得」を基準にしていましたが、今回の改正から以下二点の判断基準が追加されました。

  • 配偶者が市区町村民税を課税されている場合は、負担軽減の対象外とする
  • 配偶者がいる場合は本人の預貯金など合計が2,000万円、配偶者がいない場合は本人の預貯金合計1,000万円を超える場合は負担軽減の対象外とする

2015年8月から変更し、以前は所得のみを判定基準にしていたものが、配偶者の課税状況や世帯の預貯金まで含まれ、厳格化されました。

なお、一度負担軽減の対象外になっても、その後該当しなくなった時点で申請することにより、再度負担軽減対象になることができます。

4. 高額介護サービス費の上限の引き上げ

介護サービスを利用する場合の利用者負担は、月々で上限が設けられています。例えば、世帯内に市区町村民税を課税されている人がいる方の場合、これまでは上限が37,200円とされていました。具体的には、この方が50,000円分の介護サービスを利用しても、上限を超えた12,800円(50,000円-37,200円)分は払い戻される計算になります。

2015年の改正により、同一世帯内に現役並みの所得(課税所得145万円以上)の65歳以上の方がいる場合に、高額介護サービス費の上限が44,400円に引き上げられました。

高額介護サービス費の上限の引き上げ
区分 負担の上限(月額)
現役並み所得者に相当する方がいる世帯の方 44,400円(世帯)※〈新設〉
世帯内のどなたかが市区町村民税を課税されている方 37,200円(世帯)
世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方 24,600円(世帯)
・老齢福祉年金を受給している方 ・前年の合計所得金額と公的年金等収入額 の合計が年間80万円以下の方等 24,600円(世帯)15,000円(個人)※
生活保護を受給している方等 15,000円(個人)

※「世帯」とは、住民基本台帳上の世帯員で、介護サービスを利用した方全員の負担の合計の上限額を指し、「個人」とは、介護サービスを利用したご本人の負担の上限額を指します。

ただし、以下の場合は事前に申請することで上限を37,200円にできます。

  • 同一世帯内に65歳以上の方が1人の場合で、の方の収入が383万円未満
  • 同一世帯内に65歳以上の方が2人以上の場合で、それらの方の合計収入額が520万円未満

当改正は2015年8月以降に利用したサービス費の負担分から適用されます。

5. 高額医療・高額介護合算制度における利用負担上限の引き上げ

「介護保険」と「医療保険」の両方のサービスを利用し、世帯での1年間における利用者負担額の合算が一定の上限金額を超えた場合に、超えた分だけ払い戻しを受けることができます(高額医療・高額介護合算制度)。

当制度における70歳未満の所得区分が細分化され、「2014年8月以降」と「2015年8月以降」とで段階的に上限金額が引き上げになりました。

高額医療・高額介護合算制度における利用負担上限の引き上げ
医療と介護の自己負担合算後の年間限度額(70歳未満)
区分 平成26年8月〜平成27年7月 平成26年8月以降
基準総所得額 901万円超 176万円 212万円
600万円超~901万円以下 135万円 141万円
210万円超~600万円以下 67万円 67万円
210万円以下 63万円 60万円
市区町村民税非課税世帯 34万円 34万円
医療と介護の自己負担合算後の年間限度額(70歳以上)
区分 金額
現役並み所得者(課税所得145万円以上) 67万円
一般(市区町村民税課税世帯) 56万円
低所得者(市区町村民税非課税世帯) 31万円
上記低所得者のうち、世帯の各収入から必要経費・控除を差し引いたときに所得が0円の方(年金収入のみの場合80万円以下) 19万円

※70歳以上は改正による変更はありません。

払い戻しを受けるには、7月末日時点に加入していた医療保険担当窓口に申請する必要があります。また、同じ世帯でも、家族がそれぞれ異なる医療保険に加入している場合は合算できないので注意しましょう。

介護保険制度は、今後も3年おきに改正が行われる予定です。日本は少子高齢社会がいっそう進み、介護保険制度もそれに対応できる見直しがされるでしょう。今後も注意してみていきたいものです。

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