老人ホームの選び方-まず意識したいポイントや探し方フロー

老人ホームの選び方で意識したい8つのポイントを解説。入居者に合わせた選び方の事例や、いい老人ホームの見分け方、探し方の段取りについても解説します。

老人ホーム選びの基準がわからない、というお悩みは非常に多く寄せられます。本記事ではポイントをしぼって解説しますので、ぜひ施設探しにお役立てください。

老人ホーム選びのポイント

施設の種類

立地

費用

介護・医療サービス体制

入居条件

退去条件

ホームの雰囲気

食事

有料老人ホームだけでも、全国でおよそ1万5千施設(※)あり、選び方のポイントを知らずに入居後に満足できる施設を探し出すことは困難です。

場合によっては人生の最期を迎える場所のため、納得できる老人ホームを選びたいですよね。ご本人やご家族の希望を整理するために、上記の8つの視点が役立ちます。

※出典:令和2年社会福祉施設等調査の概況|厚生労働省

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老人ホームの種類と選び方

運営 種別 入居条件 特徴
民間 介護付き有料老人ホーム 要支援1〜 24時間介護スタッフが常駐
民間 住宅型有料老人ホーム 自立〜 介護付きと比較して割安
民間 サービス付き高齢者向け住宅 自立〜 バリアフリーの賃貸住宅
民間 グループホーム 要支援2〜 認知症ケアの専門性がある
公的 特別養護老人ホーム 要介護3〜 比較的安価で終身利用できる
公的 介護老人保健施設 要介護1〜 在宅復帰を目指す施設
公的 ケアハウス 自立〜 所得に応じて安価に利用できる
公的 介護医療院 要介護1〜 医療サービスが充実
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老人ホームにはさまざまな種類があり、代表的なものは上記の8つです。それぞれに特徴や入居条件が異なっていますが、一部では重なっているところもあります。

そのため、探す際に厳密な違いを覚える必要はありません。大まかに入居条件と特徴をおさえ、入居される方に適した施設種別を覚えておくと良いでしょう。

民間施設と公的施設の違い

公的施設は、どれも比較的安く入居できるようになっています。これは、所得が低い

方や身寄りのない方を支援する目的で設置されているためです。

支援が目的のため入居条件が厳しく、入居待ちも多いのが現状です。

民間施設は公的施設よりも費用は高くなりますが、その分充実したサービスを受けられます。

入居条件も、公的施設に比べれば厳しくありません。また、同じ施設種別でも施設によりさまざまな特色があります。

関連記事老人ホームの種類

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老人ホームの立地の選び方-入居者の家の近くで探すべき?

入居してからもご家族の役割は多いもの。できればご家族が通いやすい立地で探すことをおすすめします。

入居した後も、衣替えや差し入れ、運営懇談会への参加など、面会が必要な場面が何かとあります。そのため、入居者の自宅近くというよりは「ご家族が通いやすいか」という視点を持って探すと、後悔がありません。

老人ホームの費用の考え方-安かろう悪かろうですか?

月額費用が安い=質が低いわけではありません。合う/合わないがあるので、入居した先で何を大事にしたいかを明確にして老人ホームを探しましょう。

LIFULL 介護に寄せられるご相談の中にも、月額費用が高い老人ホームに入居したが合わず、希望条件が叶えられる安い老人ホームに住み替えをされる方もいらっしゃいます。

老人ホームの良さは金額と比例するわけではないのです。

関連記事老人ホームと介護施設の違いを比較|種類ごとの特徴や費用について

無理のない資金計画を

月額費用は、平均寿命の少し先までご入居されることを想定した上で支払いに無理のない金額で探しましょう。

月額費用はパンフレットに書かれている金額だけでなく、医療費やオプションのサービス費など様々かかっていくものです。施設を探す際には、入居されている要介護度の近い方が、月額でトータルどれくらい支払っているのかを念のため確認しましょう。

また、入居一時金があるプランとないプランを用意している老人ホームの場合に、どちらを選択した方が良いかは、その方の年齢や資金状況によって異なります。この点も、未来を見据えた計画が重要です。

詳しくはこちらを参照してください。

関連記事老人ホームの資金計画の立て方

介護・医療サービス体制

確認すべきポイント

  • スタッフの人員体制(夜間の最少人数などを確認)
  • 在宅介護で行っていたケアを継続できるか
  • 提携する医療機関と提携内容(往診頻度、診療科目)
  • 理学療法士、作業療法士、看護師等の配置について
  • (終身入居を考えている場合)看取りが可能か
  • 認知症ケアへの取り組み例(改善事例など)

スタッフの人員体制は、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホーム、グループホームなどで「利用者3人に対して介護・看護職員1人」という基準があります。

この基準よりもスタッフの配置数が多いほど手厚い介護サービスが受けられます。

また、提携する医療機関や看護師、リハビリ専門職の方の配置がどのようになっているかで、入居後に受けられるリハビリや医療の内容が変わります。

入居先にこれらを求める場合は、しっかりと確認しておきましょう。

老人ホームなどで見る人員配置基準「3:1」の意味は?

入居条件

確認すべきポイント

  • 現在の介護度で入居できるか
  • 入居できない疾病がないか
  • 他地域からの入居ができるか

施設ごとに入居できる介護度は異なります。また、対応できる医療行為も異なるため、特定の疾病、感染症に罹患している場合は入居できないケースもあります。

さらに、グループホーム、特別養護老人ホームの一部にはその地域に住民票がないと入居できない場合がありますのでご注意ください。

関連記事【簡単解説】老人ホーム、介護施設の入居条件は?おさえたい5つのポイント

退去条件

確認すべきポイント

  • どこまでの介護度、医療依存度なら入居し続けられるか
  • 認知症になった場合に住み続けられるか
  • 長期入院した場合に戻って来られるか
  • どんなトラブルで退去勧告が出されるか

老人ホーム探しで見過ごされがちなのが「退去条件の確認」です。すぐに住み替えが必要にならないよう、確認しましょう。

老人ホームによっては、退去条件に当てはまっても、同じ系列で対応できるホームへ優先的に住み替えできる場合があります。そうした系列施設の有無も確認しましょう。

退去要件とは何ですか?

老人ホームの食事

確認すべきポイント

  • 医療食・介護食への対応、料金
  • 味付けや嫌いな食材などに対して、好みに応じてくれるか
  • 入居者から意見を取り入れて改善など努力しているか
  • ミールラウンドを実施しているか

食事は、時に住み替えの理由になってしまうほど重要な要素です。

味付けが好みに合うか、出来る限り試食を行ってみてください。また、温かい状態で提供されるかどうかも確認しましょう。

通常の食事が難しい場合、または介護度が重くなっても住み続ける場合は、身体状態に合わせた形状で食事を提供してくれるか、その対応料金についても確認が必要です。

ミールラウンドとは、管理栄養士、歯科衛生士、リハビリ職などが食事の様子を観察し、摂食状況を維持・改善する取り組みです。咀嚼や飲み込みに不安がある方は、この点を重視しても良いでしょう。

老人ホームの雰囲気

確認すべきポイント

  • 入居者の介護度、男女比はどうなっているか
  • レクリエーションやイベントが盛んか
  • スタッフの年齢構成、勤続年数

入居される方と合いそうな雰囲気かどうかを確認しましょう。おしゃべりが好きな方であれば、お元気な方が多くにぎやかな施設が良いですね。

どの施設も女性の入居者が多い傾向にあります。男性が交流を重視して入居する場合は、レクへの男性参加率や、レク内容も確認しておくと良いでしょう。

一方、静かに過ごしたい方はプライベートが守られる、人数が少ない老人ホームが適しています。

関連記事老人ホーム選びで重視したいポイント

スタッフ、入居者の雰囲気を重視する人は多い

実際にご家族が老人ホームに入居した方にアンケートをとると、多くの方が「スタッフ、入居者の雰囲気」を施設選びの条件としていたことがわかりました。月額費用の次に条件とする方が多かった項目です。

老人ホームの選び方を事例ごとに紹介

事例1:食べることが好きな若年性認知症の男性

同居するご家族による介護が難しくなったため、施設入居を選択した男性。

若年性認知症のため、ご家族は入居期間が長くなることを想定。費用が抑えられる特別養護老人ホームに限定して老人ホーム探しを始めました。また、ご家族が車をお持ちでないため、徒歩で通える点も条件となっていました。

最終的に、食べることが好きなご本人の嗜好を尊重し、食事制限が緩やかな特別養護老人ホームに入居を決めたそうです。

関連記事老人ホーム探しの体験談 岡崎さんの場合

事例2:脚が悪くお話し好きの女性

認知症はないものの、一人暮らしの自宅で転倒を繰り返し、車椅子での生活を余儀なくされ、施設入居を検討し始めた女性。

入居費用が高くて人員体制が手厚い施設と、比較的安くお元気な方が多い施設で悩まれた末、入居後に他の方と交流できることを重視し、お元気な方が多い施設に入居されました。

入居者と年齢も近いためすぐにお友達ができ、一緒に生け花やネイルケアを行う仲に。自宅では得られなかった生活の豊かさを実感されています。

事例3:認知症があり、帰宅願望が強い女性

外出し、家に帰宅できないことが多くなってきて施設入居を検討することに。入居資金に余裕がないことが検討のネックでした。

ご本人は「子供の頃住んでいた場所に帰りたい」という願望が強いため、ご家族は当初、お住まいの地域で老人ホームを探していました。しかし、その地域は地価が高く、希望の予算ではなかなか見つかりません。

ある時、費用が安く認知症ケアに優れた施設が隣県にあることを知り、そちらへ見学へ。

見学の際、施設長と同席した認知症ケア専門士に家族の症状を相談すると、同じような状態の方の改善事例を複数聞くことができました。「ご本人の不安を取り除くケアを根気よく続けます」という言葉が入居の決め手に。

入居後は大半の時間を施設内で過ごします。生まれた地域にこだわらず、ご家族の面会と、施設スタッフの専門的なケアでご本人の安心できる暮らしを支えることに決めました。

老人ホームの選びに失敗する例

  • 比較検討、見学をせず決めてしまう
  • 安さを重視しすぎる
  • 入居する本人の意向、嗜好を無視
  • 家族、親族間の話し合いが不十分
  • 将来的な見通しを立てずに決めてしまう
  • 老人ホームの知名度で決めてしまう

いずれも、せっかく入居したのに退去の理由につながってしまうものです。大きな決断ですので、入居するご本人の意向、好みにぴったりの施設を十分に比較検討した上で決めましょう。

関連記事老人ホーム選びの失敗談

関連サイト老人ホーム選びで後悔しがちなポイント7選

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良い老人ホームの見分け方は?

  • スタッフが信頼できるか
  • 施設長が信頼できるか
  • 入居後の生活を提案してくれるか
  • 入居後、定期的に連絡をくれるか

「良い老人ホーム」は人により様々ですが、人がサービスを提供する以上、信頼できることは大事な要素です。

目先の入居者獲得を優先して、何でも「できます」と安請け合いをするスタッフ、「即決してくれたら安くする」など決断を迫るスタッフがいる場合は、避けた方が良いでしょう。

関連記事編集長が教えるいい老人ホームの見分け方

認知症がある人の施設の選び方・探し方

認知症がある人が入居できる施設

  • グループホーム
  • 特別養護老人ホーム
  • 介護付き有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • 一部のサービス付き高齢者向け住宅

認知症の方は生活環境の変化で大きなストレスを受け、場合により症状を悪化させてしまいます。そのため、認知症ケアに専門性がある施設を選びたいものです。

今は症状がなくても、予期せぬ外出や、暴言、暴力などが発生した場合にどのような対応をとっているか確認しておきましょう。

また、ご本人が慣れ親しんだ環境を大きく変えずに生活できるか、例えば日課や趣味が継続してできるか、日頃使っていたものが持ち込めるかどうかも確認したいポイントです。

関連記事認知症がある人の施設の選び方・探し方

老人ホームの探しの流れ

老人ホームの探し方を動画で見る

(1)どのようなことに困っているのかを書き出す

今の生活に足りないもの、不便を感じること、不安を覚えることなど、現在の状況を入居する方と一緒に整理しましょう。

(2)入居者とご家族が、どのような暮らしがしたいのかを確認する

入居した後にどのような暮らしがしたいのかを、入居する本人に聞いてみましょう。続けたい日課、趣味の活動、食事の意向などを引出します。

ご家族は面会などでサポートを行います。月に何度面会に行きたいか、オンライン面会を望むか、などをご家族や親族で話し合っておくと良いでしょう。

(3)1,2をもとに条件の優先度を決める

現在の生活の不満や、叶えたいことをもとに、立地や月額利用料、受けられるサービスなど条件の優先度を決めます。

この時、大まかな費用と探すエリアだけでも決めておくと探しやすくなります。

関連記事老人ホームを探す時、まずやることは?

(4)情報収集をする

  • ケアマネジャーに聞く
  • 役所や地域包括支援センターで相談する
  • インターネットで検索

探すエリアに、実際にどのような老人ホームがあるかをピックアップしてみましょう。多くの方はケアマネジャーに相談しますが、ケアマネジャーも地域の老人ホーム全てに詳しいわけではありません。

役所で相談することも一つの手ですが、来訪の時間が取れない場合、インターネットは強い味方です。

LIFULL 介護でも、お住まいの地域の老人ホームを一覧で見られるのでぜひ活用してみてください。

情報収集をする時間がない場合、また選び方に不安がある場合は専門家に頼ることもおすすめです。

LIFULL 介護入居相談室では、多くの方の老人ホーム探しをサポートしてきた経験豊富な相談員が、あなたのご状況に合わせた老人ホームをご提案します。

LIFULL介護相談窓口

専門スタッフが介護施設についてご相談をお受けします。

0120-652-140( 9時~18時、土日祝日休み )

関連記事LIFULL介護での施設の探し方

(5)資料請求、見学をする

ご自身で決めた条件と照らし合わせながら、資料や見学で得た情報をもとに老人ホームを絞り込んでいきます。気になる施設は、必ず見学しましょう。

関連記事老人ホームの見学のポイント

(6)体験入居をする

見学を終えて入居したいと思うホームが見つかったら、本契約の前に体験入居をしましょう。見学ではチェックしきれなかった部分も含め、最終確認を行います。

関連記事老人ホームの体験入居のポイント

まとめ

  • 老人ホーム選びのポイントは大きく8つ
  • 入居後に叶えたい暮らしに合わせてポイントの優先度を決める
  • 見学せず焦って決めてしまうと、満足できす引越しすることも
  • スタッフや施設長が信頼できる老人ホームを選ぶ
  • インターネットは網羅的に探せて便利
  • 時間がない場合は専門家に相談することもおすすめ

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この記事の制作者

武谷 美奈子

著者:武谷 美奈子(シニアライフ・コンサルタント)

学習院大学卒 福祉住環境コーディネーター 宅地建物取引士
これまで高齢者住宅の入居相談アドバイザーとして約20,000件以上の高齢者の住まい選びについての相談を受ける。 「高齢者住宅の選び方」「介護と仕事の両立」等介護全般をテーマとしたセミナーの講師をする傍ら、テレビ・新聞・雑誌などでコメンテーターとして活躍。 また日経BP社より共著にて「これで失敗しない!有料老人ホーム賢い選び方」を出版。

小菅 秀樹

監修者:小菅 秀樹(LIFULL介護 編集長/介護施設入居コンサルタント)

老人ホーム、介護施設の入居相談員として1500件以上の入居相談に対応。入居相談コールセンターの管理者を経て現職。「メディアの力で高齢期の常識を変える」をモットーに、介護コンテンツの制作、寄稿、登壇。YouTubeやTwitterでも介護の情報発信を行う。

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