グループホームとは|費用相場やサービス内容、入居手順まで解説

グループホームとは、認知症の高齢者に特化した小規模の介護施設で、住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスの1つです。

グループホームでは、認知症の方に合わせた環境が用意され、認知症介護の知識と技術を持ったスタッフが対応します。

グループホームに入居するための条件や費用の相場、老人ホームとの違いなど、その特徴を解説します。

動画でサクッとグループホームを知る

グループホームについて、LIFULL介護編集長・小菅が動画でご説明します。

グループホームとは?

要支援2以上の認知症高齢者を対象とした少人数のユニット制小規模の介護施設です。

サポートを受けながら、家事をスタッフや他の入居者と役割分担して生活します。

グループホームは、認知症の進行を抑えることと、機能維持を目的とした小規模の介護施設です。"ユニット"と呼ばれるグループに分かれ、家事などを役割分担しながら共同生活を行います。1ユニットの定員は最大9名です。

認知症高齢者は環境変化にうまく適応できない場合もあり、家庭的な馴染みのメンバーで生活できるユニット型の生活環境は、認知症ケアに適しています。スタッフも担当制で、それぞれの状況に合わせた認知症ケアが受けられるのも特徴です。

介護保険法の定義

介護保険法第8条第20項

この法律において「認知症対応型共同生活介護」とは、要介護者であって認知症であるもの(その者の認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者を除く。)について、その共同生活を営むべき住居において、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うことをいう。

法律上グループホームには、認知症対応型共同生活介護(根拠法律:介護保険法)と共同生活援助(根拠法律:障害者総合支援法)の2種類があります。

高齢で要介護や要支援の認定を受けている場合は認知症対応型共同生活介護、「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」のいずれかの障害者手帳を持っている場合は共同生活援助が利用できるグループホームです。

ここでは高齢者のグループホーム(認知症対応型共同生活介護)について解説します。

グループホームの入居条件

  • 65歳以上の高齢者で、「要支援2~要介護5」の認定を受けている方
  • 65歳未満の若年性認知症、初老期認知症と診断された、「要支援2~要介護5」の認定を受けている方
  • 医師により認知症の診断を受けた方
  • 施設と同じ市区町村に住民票がある方
  • その他、集団生活に支障のない方(感染症にかかっていない、共同生活に適応できるなど、施設によって設定)

グループホームに入居するには認知症の診断があり要支援2以上の認定を受けていることが大前提。また、法律上「地域密着型サービス」というものに該当するため、施設と同じ市区町村に住民票があることが入居条件です。

グループホームの退去要件

  • 暴力、暴言、自傷行為
  • 他の入居者への迷惑行為
  • 身体状態の悪化によりホームで対応ができなくなった場合
  • 長期入院
  • 料金の支払いができなくなった場合

グループホームは家事などを役割分担しながら共同生活をするところです。そのため暴力や暴言、迷惑行為など、共同生活に支障が出てしまう場合は退去を求められる可能性があります。

グループホームは看護師配置が義務付けられていません。看護師がいないグループホームでは、医療行為が必要になったときなど、身体状況によっては退去せざるを得ない場合があります。

グループホームの費用

グループホームの全国相場
初期費用 52,578円
月額費用 入居金あり 141,499円
入居金なし 145,547円

出典:LIFULL 介護 掲載情報より集計(2022年8/31時点)

初期費用の内訳

グループホームに入居する際に必要な初期費用として、入居一時金があります。入居一時金とは、敷金や保証金に当たる費用で、通常は退去時の原状回復費などに充てられます。グループホームを利用するために必要な費用です。

また、入居一時金は0円~100万円程度と幅があり、施設の設備などによって異なるため注意が必要です。

月額費用の内訳

賃料 約80,000円
食費 約40,000円
水道光熱費 約15,000円
管理費・その他 約20,000円
合計 約155,000円

グループホームでは、初期費用とは別に、家賃や管理費などの居住費、食費などの「生活費」が発生します。費用は、土地や建物代、食事内容、介護体制などで施設により違いがあります。グループホームにおける、賃料をはじめとする生活費の目安は上記の通りです。

なお、賃料はそれぞれの施設の立地条件や規模・設備により差があります。また、施設によっては、おむつ代やその他サービス料など雑費が発生する場合もあるため、注意が必要です。

介護保険の自己負担額

1ユニット 2ユニット
要支援2 22,800円 22,440円
要介護1 22,920円 22,560円
要介護2 24,000円 23,610円
要介護3 24,690円 24,330円
要介護4 25,200円 24,810円
要介護5 25,740円 25,320円

グループホームは介護保険の地域密着型サービスです。介護サービスにおける費用は介護保険が適用されます。

なお、介護度と施設の規模によって、介護サービス費が変わるのも特徴です。

サービス加算

費用(1日あたり)
※自己負担1割の場合

内容
初期加算 30円

入所から30日間において発生。
施設での生活に慣れるまでのサービス費用。

看取り介護加算

死亡日以前2・3日:680円
死亡日当日:1,280円

回復の見込みがない利用者に対して、
医師・看護師・介護職員が連携しながら看取りを行う際に発生する加算費用。
認知症専門ケア加算(Ⅰ) 3円 認知症ケアを専門とする職員がサービスを行う際に発生する加算費用。
若年性認知症利用者受け入れ加算 120円 専門スタッフが若年性認知症を持つ利用者に対して
ニーズに合わせたサービスを行う際に発生する費用。

グループホームでは、介護サービス費とは別に、看取り対応や手厚い介護を受けた時に発生するサービス加算があります。

サービス加算とは、利用者ひとりひとりに合わせて充実したサービスを行うために設けられている加算処理です。

グループホームの費用について詳しく見る

生活保護を受けていてもグループホームに入れる?

生活保護を受けている方でも、生活保護法による指定を受けているグループホームであれば入居のご相談ができます。

生活保護の方がグループホームを選ぶ際には、下記のことに注意しましょう。

生活保護受給者の確認項目

  • 生活保護法の指定を受けているグループホームであるか
  • 生活保護対応の居室はどれか(グループホーム全体が生活保護に対応している場合と、一部の居室だけ対応しているケースがある)
  • グループホームの所在地に住民票があるか(入居したい生活保護対応のグループホームが居住地域と違う場合、住民票を移し、その自治体に生活保護申請をする必要がある)

なお、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。

グループホームのサービス

介護サービス・認知症ケア

主に食事や排せつ、入浴などの支援や、機能訓練などのサービスを受けます。認知症介護の知識と技術を持った認知症ケアの専門スタッフが、日常生活のサポートからメンタルケアなどを行います。

医療

グループホームの医療体制については、看護師の配置が義務付けられていないこともあり、医療的ケアが必要な人は入居が厳しい場合があります。

しかし、看護師を配置したり、訪問看護ステーションと密に連携したりと、医療体制を整えているところも少しずつ増加しています。

実際は、施設により看護師の勤務時間や訪問頻度が異なるため、医療体制の充実度はまちまちです。検討している施設に問い合わせてみましょう。

グループホームの医療対応例

  • 入居者の健康管理、日々の観察
  • 医療処置の範囲
  • 緊急時の対応、オンコール体制の有無(夜間など緊急時に、医師や看護師にいつでも連絡がとれる体制)
医療体制強化ホームを探す

看取り

グループホームで看取りまで対応できるのか。それは、そのグループホームの介護・医療体制の充実度で変わってくると言えるでしょう。

例えば、認知症の症状が進み、常時見守りが必要になった場合や、24時間の看護体制が必要になった場合でも、対応できる介護スタッフや、常駐の看護師がいれば退去せずに住み続けることができるでしょう。

これは看取り体制についても同じです。介護スタッフ、看護師との連携が重要となる看取りには、十分なスタッフの確保と教育が必要です。

また、協力医療機関の医師が看取りまで実施しているかどうかもかかわってくるでしょう。

近年、看取りの体制が整っているグループホームは徐々に増加傾向にあります。

パンフレットに「看取り加算」の金額が記載されているかどうかがその一つの目安になると思いますが、詳細は施設へ問い合わせが必要です。

看取り相談可能ホームを探す

食事

サポートを受けながらスタッフと他の入居者と分担して料理を行います。献立決めから入居者が関わるホームもあったり、料理が苦手な人でも問題にないよううまく家電製品が使われていたりと、さまざまな工夫がされています。1日3食が基本で、おやつが出るホームもあります。

グループホームの取材レポートを見る

グループホームの運営基準

人員体制基準

管理者
  • 3年以上認知症の介護従事経験があること
  • 厚生労働大臣が定める研修を修了した者が常勤専従すること
介護職員
  • 日中は利用者3人に1人(常勤換算※)
  • 夜間はユニットごとに1人
計画作成担当者
  • ユニットごとに1人 

(最低1人は介護支援専門員。ユニット間の兼務はできない。)

※常勤換算とは:勤務時間の異なる職員を均して「通常何人で働いているか」を計算した数字です。基本的には、「常勤職員の人数」+「(非常勤職員の勤務時間)÷(常勤職員が勤務すべき時間)」で算出します。

他基準

施設基準
  • 立地は住宅地など
  • 居室面積7.43㎡以上の個室が原則
  • 居間、食堂、キッチン、浴室、消火設備、その他非常災害に際して必要な設備
運営基準
  • 運営推進会議を設置すること
  • 外部評価を実施すること
  • 定期的に避難、救出訓練を実施すること
定員基準
  • 1ユニット5人以上9人以下

グループホーム見学時にチェックすべきこと

ここまで、グループホームの費用の相場や医療体制などについて見てきましたが、実際にグループホームを選ぶ際にはどこに留意したらよいのでしょうか。

グループホームの入居のタイミングや選び方、さらに入居までの流れについてご紹介します。

  • 医療体制
  • スタッフの対応や表情
  • 入居者の表情

医療体制

持病をお持ちの方や、今後医療行為の発生する可能性の高い方の場合は、医療行為の対応が可能かを細かく確認してください。

スタッフの対応や表情

認知症でうまくコミュニケーションがとれない方などに、どのような表情で対応しているか確認しましょう。大切なご家族を安心してお任せできるかを基準にしてもいいと思います。また、スタッフ同士のコミュニケーションもチェックしておくといいでしょう。

入居者の表情

認知症の影響で表情が出ない方もいらっしゃるかもしれませんが、入居者がどのような表情で生活しているかも、判断基準のひとつとして役立つでしょう。

グループホームのメリット

  • 認知症の症状への対応
  • 少人数制のアットホームな空間
  • 住み慣れた良い環境での生活
  • 自治体で定められた明確な運営基準
  • 個室
  • 有料老人ホームより料金が安い

認知症ケア専門のスタッフのサポートを受けて、家事分担などで自分の役割を持って生活していくため、認知症の進行を遅らせたり和らげる可能性があります。また、少人数制で関わる人が少ないのも、認知症の方にとって安心できる環境となるでしょう。

有料老人ホームより金額が安いことも、メリットのひとつです。

認知症について詳しく知る

グループホームのデメリット

  • その地域に住民票がないと入居ができない
  • 定員数が少ない
  • 医療体制
  • 家事が苦手だと不向きの可能性がある
  • 特養と比べると料金が高い

グループホームは、住民票が同じ市区町村にないといけない、定員数が少ないなど、入居できる人に限りがあります。遠方にいらっしゃるご家族の入居検討となると、まずは住民票を移すことからはじめなくてはいけません。

また、看護師配置が義務付けられていないので、看護師がいないグループホームでは医療行為が対応できませんのでご注意ください。

家事についても、分担しながら共同生活をおくるため、これまで家事を一切やってこなかった方だと不向きな可能性があります。入居者が日々どのように生活をしているのか、見学時に確認してください。

有料老人ホームよりは低価格ではありますが、公的施設である特養と比べると高額です。お住まいの地域や、ご予算、お体の状態によっては、特養の方が適している可能性もあります。

特養について詳しく知る

他介護施設との主な違い

有料老人ホーム

有料老人ホームは自立・要支援・要介護の方まで相談可能なところが多く、また認知症ではない方も入居できるので、入居条件の幅がグループホームよりも広いです。

介護士が在籍していたり、訪問看護のサービスを受けられる所もあるので、医療面でもグループホームより相談がしやすいでしょう。

施設で用意した食事が提供され、家事の分担がないので、家事が好きではない方は有料老人ホームの方がご希望に合うかもしれません。

有料老人ホームは定員数がグループホームよりも多いので、少人数の環境の方が安心できる方は、グループホームの方が適している可能性があります。

有料老人ホームについて詳しくみる

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)

サ高住も自立・要支援・要介護の方まで入居の相談ができて、入居している方は要支援や要介護度の低い方が多いです。認知症がなくても入居の相談が可能。こちらも基本的に食事の用意をしてもらえます。

要介護1・2が全体の4割で比較的自由度が高い生活のため、グループホームと比べると、レクなど他の入居者とのコミュニケーションの機会が少ない可能性があります。

サ高住について詳しくみる

特養(特別養護老人ホーム)

グループホームが入居条件が認知症で要支援2以上なのに比べ、特養は認知症の有無にかかわらず原則要介護3以上が条件です。そのため、特養の方が寝たきりなど介護の状態が重い方が多いです。

特養について詳しくみる

老健(老人保健施設)

老健は、在宅復帰を目的としたリハビリを行う施設です。入居期間が3〜6ヶ月であり、入居を継続する場ではありません。リハビリを専門とした施設のため、理学療法士や作業療法士などのリハビリの有資格者がいたり、機能訓練の設備も充実しています。

老健について詳しくみる

グループホームの1日の生活の流れ 

  6:00 起床

  7:00 朝食

  8:00 口腔ケアなど

  9:00 バイタルチェック、体操、体を動かすレク など

10:00 ティータイム(水分補給)

11:00 レク

11:30 昼食

12:00 余暇の時間(その間にお風呂介助や洗濯など家事を行う)

15:00 おやつ

16:00 レクしたり、テレビみたり人によって自由な時間

17:30 夕食

20:00 就寝介助(介護が必要な方のみ)

グループホームにヒアリングした1日のスケジュールです。各ホームによってスケジュールは異なりますので、見学時に聞いてみましょう。

家事や役割分担は、身体状態を考慮しながら、できることを担当します。全員が家事ができるわけではないので、職員は担当制で、入居者は担当を常に持って家事を行っているわけではありません。あくまでもお手伝いをお願いするというようなかたちで自立サポートを行っています。

入居者インタビューのレポート

グループホームの入居におすすめのタイミング

入居相談員 宮崎より

まずは訪問介護・看護のサービスや、デイサービスを利用してみて、それでも心配になってきたタイミングでグループホームなど介護施設の入居も検討するといいでしょう。

おすすめな理由

LIFULL 介護にいただくご相談の中で、よくある認知症の症状がこちらです。

  • 薬を正しく飲めなくなった。
  • 火の消し忘れがある。
  • ご飯を食べたこと自体を忘れてしまうようになった。
  • 食材を管理できなくなったり、調理ができなくなった。
  • 同じものを買ってきてしまうようになった。
  • 繰り返し同じ話をすることが多くなった。
  • 物の場所を忘れてしまうようになった。
  • お手洗いの失敗が増えた。
  • 鍵のかけ忘れが増えた。

訪問介護・訪問看護のサービス、またはデイサービスを利用すれば、ある程度在宅での生活はできるでしょう。訪問介護・看護やデイサービスの利用でも不安になってきたら、グループホームをはじめとする介護施設の検討するとよいでしょう。

グループホームは、管理してもらう部分と、分担して家事を行うなど在宅に近い生活を送れる部分のバランスがとれるので、自立支援を希望する方にもおすすめです。

LIFULL 介護入居相談室に相談する(無料)

まとめ

住み慣れた土地や地域で暮らしたいという利用者の思いにこたえるグループホーム。さまざまなサービスを組み合わせることで、利用者のニーズに寄り添うような充実した施設が日本全国で数多く誕生しています。

グループホームの費用の相場やサービスの詳細を参考に、よりよい施設選びにお役立てください。

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イラスト:安里 南美

この記事の制作者

武谷 美奈子

著者:武谷 美奈子(シニアライフ・コンサルタント)

学習院大学卒 福祉住環境コーディネーター 宅地建物取引士
これまで高齢者住宅の入居相談アドバイザーとして約20,000件以上の高齢者の住まい選びについての相談を受ける。 「高齢者住宅の選び方」「介護と仕事の両立」等介護全般をテーマとしたセミナーの講師をする傍ら、テレビ・新聞・雑誌などでコメンテーターとして活躍。 また日経BP社より共著にて「これで失敗しない!有料老人ホーム賢い選び方」を出版。

小菅 秀樹

監修者:小菅 秀樹(LIFULL介護 編集長/介護施設入居コンサルタント)

老人ホーム、介護施設の入居相談員として1500件以上の入居相談に対応。入居相談コールセンターの管理者を経て現職。「メディアの力で高齢期の常識を変える」をモットーに、介護コンテンツの制作、寄稿、登壇。YouTubeやTwitterでも介護の情報発信を行う。

在籍LIFULL senior

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お問合せ小菅 秀樹 lit.link

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